飲食店経営にかかる経費の「その他」ってなに?その他経費の内訳をご紹介
飲食店の開業後は、食材の仕入れや人件費、家賃など様々な経費がかかります。それらの他にかかる経費には、どのようなものがあるのでしょうか。本記事では、飲食店経営に必要な「その他費用」について解説しています。
飲食店の開業後にかかるランニングコストとして、食材の仕入れや人件費、家賃などが知られています。全体にかかる経費の中の割合として、仕入れ、人件費、家賃が占める割合が大きいですが、店舗経営にはそれらの他にさまざまな経費がかかります。
今回は、飲食店経営に必要な「その他費用」について解説していきます。
飲食店開業後にかかる経費とは
最初に、飲食店開業後にかかる経費について、みていきましょう。
ランニングコストの内訳
飲食店経営にかかる費用には、以下の項目があります。
・原材料費
料理の材料となる食材やドリンクなどの仕入れにかかる費用です。
・人件費
社員やアルバイトなど、従業員に支払う給料です。
・家賃
店舗物件の家賃です。
・水道光熱費
店舗の電気、水道、ガスなどにかかる費用です。
・その他費用
その他にかかる経費です。
売上からこれらの費用を引いたものが、お店の利益になります。
各経費の目安
飲食店のランニングコストのうち、原材料費(Food)と人件費(Labor)を合わせて「FLコスト」といい、FLコストは売上の60%以内におさめるのが目安といわれています。さらに家賃(Rent)と合わせFLRコストと呼ぶこともあり、FLRコストで70%以内におさめるのが目安です。実際に物件探しの際にも、売上の10%以内の家賃を目安にすることも多いでしょう。
水道光熱費が売上の約5%前後、その他費用が10~15%程度が目安ですから、残りの10%程度がお店の利益となるわけです。
このように、飲食店の経営には、さまざまな費用がかかりますので、利益を残していくには、それぞれの費用をシビアに管理していく必要があります。
飲食店にかかる経費の「その他費用」には何がある?
飲食店を経営するときに必要な経費の「その他費用」に含まれる費用には、どんなものがあるのでしょうか。代表的なものを順にあげていきます。
消耗品費
お店で使う食器や調理器具、ストロー、トイレットペーパーなどの備品にかかる費用が該当します。そのうち、購入金額が10万円未満の物を消耗品費として扱い、10万円以上のものは減価償却費として会計処理することになります。
消耗品日の割合は、売上の5%程度が目安といわれています。
支払手数料
クレジットカードや電子マネー、QRコードの決済手数料などが支払手数料にあてはまります。お店にとっては、売上から手数料が引かれるのが痛いところですが、キャッシュレス決済が主流となりつつある今、カード決済の導入は飲食店にとって必須といえるでしょう。
利用するお客様にとっては、「現金を持ち歩かなくていい」「カードのポイントが貯まる」などのメリットがあります。お店にとっては、来店率や客単価のアップが期待できるかもしれません。その他、銀行の振込手数料なども支払い手数料に含まれます。
通信費
店舗の電話代やインターネット代が通信費で、お客様からの予約受付など、飲食店の運営には欠かせない経費です。
近年では、お客様向けにWi-Fiを設置する店舗が増えました。Wi-Fiを設置することで、ビジネスマンや若い世代、外国人など、新たな客層を呼び込むきっかけにもなります。
また、Wi-Fiを利用できることでお客様の滞在時間が長くなり、客単価のアップが期待できます。その他、タブレットでの注文受付が可能になるなどのメリットもあります。
広告宣伝費
グルメサイトなどへの掲載費用や予約サイトから受けた予約分の手数料などが、広告費に該当します。その他、チラシやダイレクトメールの印刷代などが含まれます。
お店の経営が軌道に乗るまでは積極的な販促活動が必要になりますので、最初は広告費用がかさむかもしれません。SNSの運用など、大きな費用をかけずにできる販促活動もありますので、取り入れてみるとよいでしょう。
また、従業員の採用に求人広告を出すにも費用がかかります。新規に開業する店舗は知名度も低く、求人広告を出さないと応募者を集めるのは難しいケースがほとんどですので、従業員の採用を考えている場合には予算に組み込んでおきましょう。
衛生費
飲食店ならではの経費として、衛生費があります。お店の衛生状態を保つための経費で、マスクや消毒液、清掃代などが当てはまります。
新型コロナウィルスの感染拡大で、ますます衛生面が重要視されるようになりました。各所に消毒液の設置や店内のクリーニングなど、衛生費の割合が増えた店舗も多いことでしょう。その他、厨房スタッフの制服のクリーニング代なども衛生費に含まれます。
修繕費
店舗の床や壁の張り替え、使っている設備や備品などの修理やメンテナンスにかかる費用が修繕費です。開業直後はあまり機会がないかもしれませんが、飲食店を長く経営していると、修理やメンテナンスが必要な事項が出てきます。
支払い利息
支払利息は、金融機関から借入をした場合の借入金の利息です。
開業のための融資を受けた場合、「措置期間」といって、金利のみの返済でよい期間を設定することがあります。その期間は元本の返済は不要となりますので、開業直後の売上が安定しない時期には、多くの事業者が利用する制度です。ただし、必ずしも措置期間が認められるとは限りません。
いずれにせよ、支払い利息は払っていかなければなりませんので、措置期間の設定を含め、返済期間は事前にしっかりと計画しておきましょう。
リース料
冷蔵庫や食洗器、エアコンなどの機器を購入せずにリース契約をすることもあるでしょう。リース契約した機器に対する月々の支払いがリース料です。厨房機器は高額なものが多いため、リース契約で利用すると初期費用が抑えられるのがメリットです。
ただし、リース契約は6年間の契約期間が一般的で、途中解約ができません。廃業など、やむを得ず途中解約をする場合には、違約金が発生しますので、注意が必要です。加えて、最終的には購入するよりもリース契約の方が割高になる点も頭に入れておきましょう。
店舗経営の経費には変動費と固定費がある
店舗経営にかかる経費には、変動費と固定費があります。売上などによって費用が変わるのが変動費、売上の増減を問わず固定でかかる費用が固定費です。以下のように分類できます。
【変動費】
売上原価、消耗品費、支払手数料、通信費、広告宣伝費、衛生費、修繕費など
【固定費】
家賃、支払い利息、リース料など
飲食店の利益を確保するには、売上をあげるだけでなく、ランニングコストをおさえることも重要です。固定費は、家賃交渉などの余地はあるものの、必ずしも応じてもらえるとは限りませんので、まずは変動費から見直せるものがないかみていくとよいでしょう。
・原材料費
仕入れ業者に値引き交渉をすることや、メニュー数を絞ることも検討してみましょう。賞味期限が短い食材を扱うメニューは数量限定にするなどして、食材のロスを防ぎましょう。
・人件費
正社員の給与は固定費になりますが、アルバイトなど、流動的に勤務する人材配置は見直しの余地があります。繁忙期や混雑する時間帯を分析して、無駄のない人材配置を意識しましょう。
まとめ:店舗経営には思った以上にさまざまな経費がかかる
本記事では、店舗経営に必要な「その他費用」について解説しました。
店舗経営には思った以上にさまざまな経費がかかるとお感じになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。細かな経費も無駄がかさむと経営を圧迫しますので、しっかりと管理していきましょう。
また、固定費は開業後に調整しにくい経費です。特に家賃の支払いに無理が生じないよう、開業準備段階で慎重に判断するようにしましょう。
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