飲食店の店舗デザインで成功!集客・売上アップの秘訣を解説

飲食店の店舗デザインで成功!集客・売上アップの秘訣を解説

飲食店にとって、店舗デザインは料理の質と同じくらい重要な要素です。魅力的な店舗デザインは、集客だけでなく、顧客満足度向上にも大きく貢献します。では、店舗をデザインする際には、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

この記事では飲食店をデザインする際のポイントや注意点について詳しく解説します。

飲食店の店舗デザインの重要性

飲食店において、店舗デザインに力を入れることで次のような効果が得られます。

顧客満足度・ブランド価値が高まる

店舗のデザインは顧客満足度や店舗のブランドイメージに大きな影響を与えます。お客様が店舗で食事をする際には、料理のおいしさはもちろんですが、居心地の良さや雰囲気にも価値を求めているからです。

特別な食事体験や高い満足感は、リピーター獲得に繋がります。競合店との差別化を図り、お客様に「また来たい」と思ってもらうためには、料理だけでなく、店舗デザインを含めた総合的な演出で、満足度の高い体験を提供することが重要です。

従業員のモチベーションが高まる

飲食店として成功するためには、お客様に感動していただくことが求められます。

そして、お客様の感動体験を作りだすためには、従業員が仕事に対して高いモチベーションを維持できる環境でなければいけません。

雰囲気が良い・おしゃれである・居心地が良いなど魅力的なデザインの店舗での業務は、従業員に高いモチベーションをもたらします。さらに、ブランドイメージが高い店舗で働くことは、従業員の満足度をあげるでしょう。

安全面への配慮も重要です。整理整頓(2S)された働きやすい職場環境は、従業員に安全と安心をもたらし、モチベーションアップにも繋がります。

転倒などの労働災害を防ぐ安全面にも配慮し、従業員が働きやすい環境を整えることで、従業員の満足度を上げる結果となるでしょう。

飲食店の外観デザインのポイント

ここからは、飲食店の店舗デザインのポイントを解説します。まずは外観デザインのポイントを確認しましょう。

お客様の目に留まりやすい入口

店舗の認知度をあげるために、入口にはお客様の視線をとらえられる工夫をしましょう。

人の目を引くためには、特徴のある看板、暖簾、日除け、壁付サインなどが効果的です。また、魅力あるサンプルケースを設置するのも良いでしょう。

明るい照明は店名や店頭メニューパネルが読みやすく、お客様の足を止めるのに役立ちます。

【店頭開放型と店頭閉鎖型】
入口を多く・広くしたものを店頭開放型、逆のものを店頭閉鎖型と呼びます。一般的に、お客様はエントランスが広いと入店しやすいですが、お店の個性によってはあえて閉鎖型を選ぶ方が効果的なケースもあるでしょう。

【透視度】
エントランスまたは路上からの店内の見通しを透視度といいます。
透視度を高くし、従業員の動きやお客様の入り具合を外から確認しやすくするほど、お客様が「気軽に入れそう」と感じやすいといえます。
店頭開放型と店頭閉鎖型、透視度も考慮して、お店のコンセプトに合うエントランスをデザインしましょう。

コンセプトに合った外壁

外壁はエントランスやドアと並んで、お客様のお店に対する第一印象を作る重要な要素です。

第一印象は、集客力を大きく左右します。特に、視覚的な情報は第一印象の6割を占め、さらに、最初の3~5秒で形成されるといわれます。そのため、最初に目にする外壁やエントランスのデザインは、お客様の興味を引くうえで非常に重要です。

外壁を含む外観が魅力的でかつニーズに合っているという印象を持ってもらえれば、お客様を惹きつけることができます。

また、他店との差別化を図り独自性や特徴を強調するためにも、外壁の素材や色合い・質感は役立ちます。植栽や壁面アートなどを活用して視覚的な楽しさを作れば、前を通りがかる方の注目を集められるでしょう。

外壁のデザインで注意したい点は、清潔を保てるかどうかです。

飲食店では特に、店舗の清潔さはお客様にとって非常に気になる点です。外壁に汚れが目立っては、お店のイメージも落ちてしまいます。外壁のデザイン要素や素材を選ぶ際は、清掃が容易で耐久性があるものを選びましょう。

料理の魅力を伝える写真や装飾

飲食店を探すお客様の多くは、徒歩か車で移動しながらお店を探しています。そのため、一瞬で「おいしそう」「気になる」と思ってもらえるような、視覚的に訴求力の高い外観デザインが重要です

そのためには、ビジュアルで料理やサービスの内容を知らせるのが効果的です。

お店の外観には料理の魅力を伝える写真もしくは装飾を置くのは、お客様にお店が提供するものを一瞬で知ってもらうのに大変役立ちます。

真っ赤な入口の韓国料理店・魚の巨大オブジェがある海鮮居酒屋などがその例です。色や形によりお店の個性が伝われば訴求力は高いといえるでしょう。

内装デザインとの調和

店舗をデザインする際には、外装と内装のデザインを調和させましょう。

お客様は、外装と内装のデザインからお店の雰囲気を感じ取ります。そのため、外装と内装のデザインに統一感を持たせ、調和させることが重要です。ちぐはぐなデザインは、お客様に違和感を与え、居心地の悪さを感じさせてしまう可能性があります。

また、店舗デザインを成功させるためには、はっきりとしたコンセプト作りが大切です。

コンセプトを決めたら、常にそこに立ち返り、そこからブレないお店作りを心がけましょう。コンセプトのはっきりしないデザインでは、お客様にお店の魅力や特徴がうまく伝わりません。

感動は総合的な印象から生まれるものです。そのため、内装に統一感があるだけでなく、外装にまでコンセプトを行き届かせましょう。

外装に惹かれて入ってきてくれたお客様が、入ってみたらイメージと違う内装のお店だったということになれば、お客様は多少なりとも失望してしまうかもしれません。これではお客様に感動していただくことはできないでしょう。

お店作りでは、一貫したブランドイメージを築くように心がけましょう。

飲食店の内装デザインのポイント

次は、飲食店の内装をデザインする際に抑えておきたいポイントを解説します。

料理のジャンルに合う雰囲気の演出

インテリアは、提供する料理と調和しているかを基準に選びましょう。

インテリアが料理やサービスにそぐわなくては、お客様はちぐはぐな印象を受け、高い満足度につながりにくくなります。料理への印象を高めるためにも、料理のジャンルに合った雰囲気作りが大切です。

インテリアの配置は、お客様の印象や店舗の雰囲気への影響が大きいものです。理想とする店舗デザインに合ったインテリアを選び、適切な場所に配置して効果を上げましょう。

店舗の雰囲気に合う照明

照明は、店舗の雰囲気を大きく左右します。ダウンライト、ペンダントライト、間接照明など、さまざまな種類の照明を効果的に組み合わせ、理想の雰囲気を演出しましょう。

照明の明るさにも留意が必要です。高級感を演出したい・ビンテージ感を出したいなどの場合は、天井近くを明るく下に向けて暗くといった、光量の差を利用する雰囲気作りが考えられます。

一方で回転率を上げたいラーメン店などのお店では、長時間の滞在を促さないために店舗全体の照明を暗めにする方法があります。

また、照明の色や明るさは、お客様の気分だけでなく食事の印象にも影響します。

クリアな白や青色の照明は、清潔感やフレッシュさを感じさせる色です。ヘルシー志向のカフェレストランや現代的なデザインのレストランでよく使われます。また、白系の色調の照明は、食材の鮮度や料理の美しさを引き立て、お客様に新鮮さを感じさせます。

温かみのある暖色系の照明は安心感を与えるので、くつろいで過ごせる雰囲気の店舗によく合います。

暗めの照明はロマンティックで高級感のある雰囲気を演出できるため、ディナーを楽しむ大人向けの雰囲気の演出に効果的です。

明るさを上げた照明は活気を出すので、ファミリーレストランやファーストフード店で使うと良いでしょう。

適切な照明の選択はお客様の居心地を良くし、食事のおいしさを高めます。リピート率の向上や高い評価につながる可能性があるので、効果を考えて選んでみてください。

インテリアなどの配色

色彩は、人間の心理に大きな影響を与えます。そのため、飲食店の内装における配色は、慎重に検討する必要があります。

色には特定のイメージを連想させる力があるので、お客様に与えたいイメージを設定して色選びをするのがポイントです。

例えば、暖色は食欲を刺激するため、レストランの席周りは青よりオレンジや赤のような暖色系が適しています。

店舗のコンセプトにもよりますが、さまざまな色を過剰に使用すると、お客様の視界を混乱させ、脳を疲労させてしまいます。色のトーンには統一感をもたせ、ベースの色を1つ選んで多くても3色程度にまとめると良いでしょう。

飲食店によく使用される白を基調とした内装では、何か物足りない印象を作ってしまうかもしれません。その場合は白と調和する原色などを差し色にし、色のアクセントを加えましょう。

回転率を高められる動線

非効率な動線の内装では、混雑時にお客様に満足いただけるサービスを提供できなくなるリスクがあります。従業員が動きやすい効果的な動線を設計すると、作業効率が上がり、お客様をお待たせする時間が減らせて、回転率の向上につながります。

店舗の回転率を高めるためには、店内を最大限に使う工夫と、お客様が過ごしやすい空間の提供が大切です。

飲食店の店舗デザインが集客に与える影響

飲食店の店舗デザインが集客に与える影響

2015年に経済産業省が実施したデザイン活用に関する実態調査によると、デザインが製品やサービスのイノベーションに大きな影響を与えていると回答した企業が多く見られました。

とりわけブランド力や顧客満足度の向上、売上の増大に及ぼす影響が大きいとされています。

飲食店の魅力的な店舗デザインはお客様を引き付けると同時に、お客様の満足度を上げるために欠かせないものです。

また、お店のコンセプトを的確に表現した店舗デザインは、お客様に強い印象を与え、リピート率や拡散率を高めるでしょう。

飲食店の店舗デザインの事例

飲食店の店舗デザインの事例をみてみましょう。

例えば、鶏料理専門店の事例では、「鶏料理の研究室」をコンセプトに、研究室をイメージした内装デザインを採用しています。具体的には、店内に張り巡らせた鉄管はすべてメッキ加工され、研究室を表現しながらも、高級感を演出しています。また、照明やキャンドルプレートもオリジナルで統一され、カウンターには無垢の一枚板を使用するなど、細部までこだわり、本格的な料理と空間を提供しています。

また、あるお好み焼き店では、客数も売上も伸び悩んでいたときに来店してくれた友人に「お店がなかなか見つからなかった」と言われたそうです。オーナーがお店を外から眺めて確認すると、自分のお店が何屋なのかわからない外観になっていることに気付きました。

そこで、メインの看板にはお好み焼きの写真を表示し、外装の一部をリニューアルしました。その店舗ではリニューアル直後から客数が伸び、内装やメニューを変更せずに、売上20%アップを達成したといいます。

すでに店舗があって客数や売上に問題を抱えている場合は、お客様の視点で店舗を点検してみることも大切です。

飲食店の店舗デザインの注意点

飲食店の店舗デザインを考えるときは、以下のような点に注意しましょう。

コンセプトやイメージを具体化する

店舗デザインには、お客様にお店のコンセプトを具体的に伝える効果があります。お客様への訴求力を高めるためにはお店のコンセプト作りが大変重要です。

例えば『中世ヨーロッパ風』といった抽象的なイメージではなく、お客様が具体的な利用シーンをイメージできるようなコンセプトを設定しましょう。

そのためには何を・誰に・何のために・いつ・どこで・どのように・いくらで、といった各項目をクリアにしておきましょう。特に、どのように・いくらでは重要な項目です。

コンセプトを決めたら何度もそこに立ち返り、店舗のデザインがそこからずれていないかを確認しましょう。

照明や色彩の力を借りるのも、コンセプトやイメージの具体化に大変役立ちます。

あらかじめ客席の広さを決めておく

客席の広さはお客様の飲食体験に大きな影響があります。ゆったりと過ごしてもらいたい場合は客席を広めにとり席間をあける、回転を早くしたい場合は客席をやや狭くするなどコンセプトに合わせて客席の広さを設定しましょう。

客席面積は、お店の経営にも大きく影響します。利益を最大化するためには、適切な店舗面積を把握することが重要です。

広すぎるお店を借りてしまうと、開店時の工事費用が高くなります。また冷房や暖房などにかかる費用も高額になるでしょう。

座席数が多ければ従業員の数も増やさなくてはならないので、混雑時以外は費用が多くかかってしまいます。

反対にお店が狭すぎると、売上規模が小さくなって利益が上がらないという結果になりかねません。

お店の効率を図る指標として坪効率が挙げられます。どのくらいの坪数のときに1番効率が良くなるかをあらかじめ検討しておくことが大切です。

法令や規制にあった設計にする

飲食店を営むためには保健所に届け出て、営業許可証を受ける必要があります。

営業不許可とならないよう、店舗のデザインは飲食店に関する法令や規制に適合しておかなくてはいけません。

あらかじめ調査をし、法令や規制に詳しい業者にデザインや施工を依頼しましょう。

調理場と客席の仕切りの高さ・シンクの数・調理場の面積・トイレや手洗いの設置・テラス式客席の有無などに関しては、届け出る自治体によって基準が異なるので注意が必要です。

まとめ

業績の上がる飲食店作りのためには適切な店舗デザインが大変重要なものです。

訴求力の強い外観や居心地の良い内装はお客様を引き付け、お客様に感動的な飲食体験を提供するでしょう。

そのために、お店のコンセプトに合った照明や色彩を採用することが大切です。

また店舗デザインは雰囲気作りだけでなく、業務の効率化も目指すことが求められます。

効率的な店舗デザインは従業員の満足度を高めサービスの質を上げて、お店の回転率を上げると同時にお客様の満足度の向上にも寄与するでしょう。

一貫性のあるデザインで、お客様に感動を与える、魅力的なお店を作り上げましょう。

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