和食店の内装デザインで成功!集客アップのポイントと費用を解説

和食店の内装デザインで成功!集客アップのポイントと費用を解説

和食店にとって、内装デザインは集客を左右する重要な要素です。そのため、これから和食店を開業する方にとって、内装のデザインは大きな悩みの種となるのではないでしょうか。

本記事では、和食店の内装において押さえておきたいポイントや失敗しないコツ、利用可能な融資や助成金について解説します。

これから和食店の開業を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

和食店の内装はどうしたらよい?

和食店の内装デザインを考える前に、改めて「和食」とは何かを確認してみましょう。和食とは、日本古来の伝統的な料理であり、以下のような特徴があります。

  • 自然や素材の味わいが生かされている
  • 自然の美しさが感じられる
  • 季節感が表現される

これらはあくまで一例にすぎませんが、典型的な和食の特徴です。

内装で和食の世界をどのように表現するのか、どこまで表現するのか、季節感を演出するにはどうしたら良いのかなど、検討すべき点が多く出てくることでしょう。

また、同じ和食店でも高級な店からカジュアルな店まで幅広く存在し、提供するメニューも幅広いため、価格やメニューに合わせた内装を考える必要があります。考えるポイントは多くありますが、まずは和食店の内装のデザインのポイント、コンセプトの重要性などを把握していきましょう。

和食店の内装で押さえておきたいデザイン

和食店は文字どおり和食を提供するお店で、内装のデザインでも、あらゆるところに和の要素を取り入れることが一般的です。店内で日本らしさをいかに感じさせるかが重要です。そこで、デザインのポイントを3つ挙げていきます。

和を感じる素材感と色合い

落ち着きと温かみを感じさせる素材と色合いを選ぶことで、居心地の良い雰囲気を演出できます。具体的には木・和紙・竹など自然の素材、色合いは木の色・白・藍色・深い緑など、日本らしい自然を感じさせるものなどがおすすめです。

家具や食器にもこだわる

椅子やテーブルなどの家具にもこだわり、和の雰囲気を統一させましょう。

料理を盛り付ける食器も重要な要素です。和食器などは繊細なつくりのものが多く、和食の美しさを引き立てる役割を持ちます。また洋食と違い和食では器を手に持って食べることが多いことから、手触りや温もりなどの触覚でお客様に楽しみを提供することもあるでしょう。

食器でも、陶器・ガラス・漆器などの素材にこだわってみるのも1つの方法です。

照明にも和を感じるものを取り入れる

照明は、お店の雰囲気を大きく左右する重要な要素です。明るさや色合いなどで、内装の雰囲気が大きく変わります。

昔の日本では和紙を使った照明、和ろうそく、提灯などの照明が主流でした。これらはやわらかく優しい明るさの照明が特徴です。蛍光灯のような白っぽく明るい照明よりも、白熱灯のような温かみのある照明に近いでしょう。

和食店の内装のポイント

和食店の内装のポイント

和食店の内装において、押さえておきたいポイントを3つ解説します。

幅広い客層をイメージする

まず重要なのは、ターゲットとする客層を具体的にイメージすることです。詳細なターゲット設定は、内装の検討、準備を後押しする重要な情報となります。

客層とは、飲食店を利用するお客様を性別・年齢・職業・所得額などでカテゴライズしたものです。学生層・ビジネス層・シングル層・ファミリー層・シニア層・富裕層などが挙げられます。どの客層を相手にするかを明確にすることで、内装のデザインやレイアウトから家具、小物類が決めやすくなります。

例えば、シニア層の利用をイメージするのであれば、店の内装を昭和レトロな雰囲気にすることで話が弾む場を提供できるかもしれません。ファミリー層のニーズを内装にも取り入れるのであれば、お子さん連れでも安心できる座敷や半個室を用意すると良いでしょう。

コンセプトを明確にする

ターゲットとする客層を決めたら、次に、お店のコンセプトを明確にしましょう。

お店が目指す姿や提供する価値を言語化してみます。例えば「気軽に利用できる店」「落ち着いた話をする場所として利用できる店」といったものです。

伝統的な和を感じる空間にするのか、現代風にアレンジをした和モダンな空間にするのかなど、和の表現にはさまざまな方法があります。明確なコンセプトがあることで、内装だけでなく家具や照明・食器などの小物類も決めやすくなります。

コンセプトが明確でないまま内装工事や備品調達を進めると、全体的に統一性のないお店になってしまいます。訪れたお客様に、店内の調和が取れていない、ちぐはぐとした印象を持たせることになるでしょう。そのため、コンセプトを明確にすることはとても重要です。

サービスしやすい店内のレイアウトにする

店内のレイアウトは、スタッフが円滑にサービスできるかどうかを大きく左右し、売り上げや顧客満足度に影響します。事故予防の観点もあり、レイアウトを検討することはとても重要です。

例えば、通路のスペース確保は欠かせません。スタッフは、厨房に行ったり客席に行ったりと、店内を行き来します。両手に料理や食器を持って店内を動き回るため、通路スペースが十分でないことが原因で、お客様とぶつかるリスクが高まることも考えられます。

また、お客様にとってのわかりやすさも重要です。例えば、各席やお手洗い、レジなどをわかりやすく設置すれば、お客様も迷わずに移動できるでしょう。

和食店の内装にかかる費用

飲食店の開業費用は、立地や規模によって異なりますが、一般的に500万円〜から1,000万円程度が相場です。そのうち、内装工事費用は約40%を占めることが多く、200万円から400万円程度が目安となります。

和食店ではインテリアの素材や床材にこだわる傾向があります。

上質な木材や良い素材を使うといったこだわりが多い程、当然ですが内装にかかる費用も高くなります。そのため、複数の企業に見積もりを依頼し、費用対効果を総合的に判断しましょう。

和食店の内装で使える助成金の種類

和食店の内装では、こだわればこだわる程に費用が高額になりがちです。当初の予算内では済ませられないケースも出てくることでしょう。

そのような場合、公的機関からの融資、国や地方自治体が提供する補助金や助成金を利用して、内装工事の費用負担を軽減する方法があります。地域活性化や雇用創出の観点から支援対象となることが多いため、内装費や設備投資を一部補助してもらえるケースがあります。

内装費用が予算内であったとしても、資金を別の部分に投入できる、初期費用の負担軽減につながるなどのメリットがあります。ここでは利用できる融資の種類、対象となる補助金の種類を確認しておきます。

※いずれも記事公開時点での情報であるため、それぞれの自治体や商工会などで新しい情報を確認してください。

日本政策金融公庫や金融機関からの融資

日本政策金融公庫は、政府系金融機関です。事業計画に無理がなく、遂行できる能力が十分にあると判断された場合に利用できます。

  • 年齢性別問わず幅広い方の創業を新規開業支援資金として利用できる
  • 金融機関と比べて、融資がとおりやすく金利が低い特徴がある
  • 上限融資額は7,200万円(そのうち運転資金は4,800万円まで)
  • 新しく事業を始める方、創業7年以内の方が対象
  • 返済が必要

地元の地方銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受けることも方法の1つです。金融機関からの融資を受ける場合はこのような傾向があります。

  • 長期的に大きな融資を受けることが可能
  • 信頼が土台となるため法人としての実績(黒字経営を継続できている)が必要になるケースが多い
  • 新規開業の方には融資を受けるハードルが高い傾向
  • 返済が必要


まずは、政策金融公庫の融資を利用し、その信用を土台に金融機関の融資を利用することも可能です。いずれも融資であるため、当然ながら返済は必要です。

業務改善助成金

業務改善助成金は、厚生労働省が実施する助成金制度です。従業員の給与アップと生産性向上に資する設備投資費用を助成するもので、内装工事や機械設置費も対象経費となり、下記のような特徴があります。

  • 事業場内最低賃金の引き上げ額ごとに30円コース・45円コース・60円コース・90円コースの4つのコース区分があり、補助額が異なる
  • 補助額は最大600万円
  • 採択率は補助金制度と比べて高い
  • 条件を満たせば車両などの汎用性の高い経費も対象になる
  • 返済が不要

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、中小企業庁が主体となり、今なおコロナの影響を受ける事業者、ポストコロナに対応した事業再構築をこれから行う事業者を重点的に支援するものです。設備投資費用を補助するため、和食店における内装にかかるデザイン、工事の費用も補助の対象になります。

  • 補助額は最大1億円
  • 補助率1/2〜2/3 (中小企業の場合)
  • 事業計画の内容が、政策点、事業化点など4つの項目での要件を満たす必要がある
  • 終了後のノルマ(補助事業終了後3〜5年で付加価値額の増加の達成が必要)がある
  • 返済が不要

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営を見直し、持続的な経営に向けた経営計画を作成したうえで申請する補助金です。飲食店の内装も補助の対象になります。全国商工会連合会が実施し、窓口は各地域の商工会議所にあります。興味のある方は一度相談に行ってみてはいかがでしょうか。

  • 補助額は最大250万円
  • 補助率2/3
  • 社員数20名以下の小規模事業者が対象
  • 現在赤字経営の事業者はさらに手厚い補助を受けることが可能
  • 類型と呼ばれる5種類の枠があり、いずれか1枠のみ申請することが可能
  • 返済が不要

和食店の内装で失敗しないポイント

ここまで、和食店の内装に関して成功につながるポイントや資金調達について解説してきました。和食店を安定した経営に導くためには、内装デザインをしっかりと考えることが大切です。

最後に、和食店の内装で失敗しないためのポイントを押さえていきましょう。

内装施工経験の多い業者を選ぶ

内装工事は、和食店の雰囲気を演出するだけでなく、実用性や耐久性も重要な要素です。内装施工経験の多い業者を選ぶことで次のようなメリットがあります。

  • 和食店特有のデザインを理解している
  • 施工の品質と仕上がりに信頼がおける
  • 予期しない問題への対応力


和食店にはカウンターや座敷など、和の空間ならではの設計が求められます。そのため品質や仕上がりに信頼がおけることが重要です。特に木材や和紙などの自然素材を使用する場合も多く、知識と経験が求められます。

内装施工の経験が多い業者であれば、和の雰囲気を的確に理解して再現できるでしょう。耐久性や手入れのしやすさなども考慮して、施工を進められる可能性が高くなります。

厚生労働省の調査によると、飲食業の経営者の30%が施設・設備の老朽化を経営上の課題としてあげています。施工時点で耐久性、メンテナンスについて相談できるのは心強く、長い目で見ると安心につながるのではないでしょうか。

実際に工事が始まり予期しない問題が発生した場合、経験豊富な業者であれば迅速に対応してもらえる可能性が高くなります。

見積もりは複数の企業に頼む

内装工事の見積もりは、複数の企業に頼むようにしましょう。多少の手間はかかりますが、結果的にコスト面や施工内容において適切な選択をすることにつながります。

同じ施工内容でも、企業によって料金が異なります。使用する素材や仕入れのルートの違い、職人の質、会社としての運営コストの違いなどが背景にあります。またアフターフォローの有無や工期、施工方法の違いもあるため、見積もり金額だけでなく、詳細までしっかりと確認をしましょう。

同等のサービス内容で金額に差がある場合は、他社の見積もりをもとに価格交渉をすることもできます。

まとめ

和食店の経営を成功させるためには、内装にこだわることはとても重要となります。

和食店の内装は、家具や食器など細かいところまで心を配ることで、顧客満足度を上げられる可能性を秘めています。

この記事が、これから和食店を開業する方の参考になれば幸いです。

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