カフェ開業準備期間に何をする?スケジュールや資金調達方法を解説

カフェ開業準備期間に何をする?スケジュールや資金調達方法を解説

カフェの開業が決まり、実際に準備を始める段階になった際、何から始めればいいのかわからない方は多いでしょう。開業準備はわからないことの連続です。スムーズに進められるよう、開業までのスケジュールと準備しておくべきことについて解説します。参考にして開業準備を楽しんでくださいね。

カフェ開業準備期間のスケジュール

開業までは資金準備・各種申請・内装業者選定・備品の選定など、行うことが多岐にわたります。ここでは開業1年前からの準備スケジュールの目安を紹介します。特に、開業が近づいてくると忙しさは倍増するので、早めに準備を進めましょう。

開業1年前~半年前

開業を決めたらやるべきことは次のとおりです。

  • コンセプト・事業計画作成
  • 物件探し
  • 自己資金をためる
  • 受けられる融資について調べる
  • SNSを運用する

まずはコンセプトを考え、事業計画を作り始めます。コンセプトや事業計画をもとに物件を探し始めるのがおすすめです。
明確なコンセプトや事業計画があれば、対象物件も絞られ、効率よく内覧ができます。納得できる物件が見つかるまで、長ければ半年かかる場合もあります。先に資金のことが気になる方が多いと思いますが、物件が見つからないと融資の交渉ができないため、まずは物件探しから始めましょう。

規模にもよりますが、カフェ開業の開業資金は1,000万円程度が相場といわれています。融資を受ける際には全体の資金の3割ぐらいの自己資金を準備することで信頼を得やすい傾向があるため、300万程度の自己資金を準備しておくと開業準備を進めやすいでしょう。資金調達に関してはさまざまな補助金や助成金に関する詳細は各自治体のホームページなどで確認しましょう。

また、並行してSNSなどでの情報収集や、お店のアカウント作成などでファンやフォロワーを増やすのもよいですね。

開業2~3ヵ月前

開業2〜3ヵ月前になるとオープンまであっという間です。やるべきことを整理して進めましょう。

  • 内装業者を選び、図面を作成してもらう
  • 保健所で図面に修正点がないか確認してもらう
  • 保健所・消防署に開業の相談に行く
  • 内装施工
  • 収支計画書作成
  • 従業員の募集
  • 助成金・補助金の申請
  • ライフライン開通
  • 会計ソフト・レジ準備

内装業者を選ぶ際はカフェの内装に慣れた業者に頼むと知識があり、アドバイスなどももらえてスムーズに進められるでしょう。
内装業者が決まり、図面ができあがったら、施工前に保健所で不備がないか確認してもらうのがポイントです。必要な場合は、保健所や消防署などで申請手続きを早めに相談しておきましょう。相談時に申請書類なども案内してもらえます。
図面に問題なければ施工が始まります。

家賃は改装中から発生するので、収支計画書に組み込んでおきましょう。給料日や仕入れ先の支払日、各種引き落とし日など、このタイミングで支出スケジュールを整理することも大切です。
補助金や助成金を利用する場合は、申請も済ませましょう。助成金は要件を満たせば受給できることがほとんどですが、補助金には審査があります。助成金の使い方、補助金の使い方は分けて計画を立てましょう。

必要であれば従業員もこの時期から募集します。

内装が仕上がってきたら、電気・水道・ガスなどの開通の手続きと、設備や備品を運び込むために配送業者と打ち合わせします。電気・水道・ガスなどが開通し、設備の搬入・設置が完了すれば、いよいよ実際の店舗で作業が進められるようになります。

店舗を使い始められる日にちに余裕があると準備の作業効率もアップします。この時期に会計ソフトやレジの準備もできると、使い方についても十分理解できる余裕が生まれます。近年はキャッシュレス化が進んでいるため、レジを選ぶ際は多様な決済方法に対応できるか、必要な機能があるかに注意し、サイズや使いやすさ、予算などを考慮して選びましょう。

開業1ヵ月半前~1ヵ月前

開業に向け、日に日に忙しさが増してくる時期です。やるべきことが抜けてしまわないよう注意しましょう。

  • 告知
  • ホームページ開設
  • 仕入れ業者選定
  • 屋号の口座開設・クレジットカードを作る
  • 従業員研修・シフト作成
  • 備品の搬入

オープン1ヵ月前から告知を始めます。ホームページを開設する場合は準備を進め、広告やチラシなどターゲットや地域に合った方法で宣伝します。
食材などの仕入れ業者を決める、カフェの屋号でクレジットカードや口座開設する、従業員の研修やシフトを考えるなど、カフェ運営に関わることも準備を進めます。
備品の搬入設置が完了したら、店内を仕上げる作業も始まります。

開業10日前

いよいよ開店目前です。

  • 保健所・消防署の検査
  • 金銭の取り扱いマニュアル
  • 試運転・試作
  • レイアウト
  • プレオープン

保健所・消防署に連絡し、予定を調整して検査に来てもらいましょう。不備のないよう、事前に準備しておくことが重要です。

レジと金銭の取り扱いについてマニュアルを作り、管理できる体制を作ります。カード決済などの使い方、動作性の確認も済ませましょう。備品を実際に使用し、試運転や試作も行いましょう。
店内のレイアウトはこだわりたいポイントですね。並べてみるとイメージと違った、ということも想定できるので、細かいレイアウトはスケジュールに余裕をもって行いましょう。

プレオープンとは予行演習のことで、実際にお客さんに店内に入ってもらいます。細かい準備漏れや不備を洗い出し、開店前に準備することができます。プレオ―プンは2回するのがおすすめです。1回目は親戚や友人に来てもらい、率直な感想を聞くことで課題を見つけて修正しましょう。2回目は近隣の方に声をかけて来ていただきます。ご挨拶とお披露目に重点を置き、宣伝につなげたいですね。修正点が見つかれば改善し、よりよい状態でグランドオープンを迎えられるでしょう。

カフェ開業に必要な資格

ここではカフェ開業のために必須の資格と、規模により必要となる資格の2点について解説します。

「食品衛生責任者資格」は必須

食品衛生責任者資格とは、食品衛生法により定められている食品衛生責任者のことです。栄養士・調理師などの有資格者、都道府県知事などが開催する講習の修了者がこの資格を得られます。受講の所要時間は、約6時間で受講費用は10,000円程度です。

食品衛生責任者の役割は、大きく3つあります。

  • 施設の衛生管理をすること
  • 営業者に必要な助言をすること
  • 定期的に講習を受けるなど新しい知識の習得に努めること

基本的には、カフェに常駐する人を食品衛生責任者に定めます。この資格には期限や更新はありませんが、地域により定期的な再講習が義務付けられていたり、実務講習が必須であったりすることがあります。

「防火管理者」は店舗の規模によっては必要

防火管理者は、火災による被害を防止するための防火管理に関する業務の責任者のことです。収容人員が30人以上の飲食店であれば、防火管理者を置く必要があります。延べ床面積が300平米以上なら甲種防火管理者300平米未満なら乙種防火管理者に分けられます。

防火管理者となるためには、自治体などが開催する講習を受けることが必要です。受講期間は甲種が二日、乙種が一日、受講費用は3,000円〜6,000円が相場です。営業者や食品衛生責任者と兼任することもできます。

防火管理者の役割は、主に3つあります。

  • 消防計画の作成
  • 避難訓練の実施
  • 消防設備などの点検

防火管理者が常駐しておかなくてはいけないなど、勤務についての条件はありません。

カフェ開業に必要な届け出

カフェを開業する際、設備や提供する商品によりさまざまな届け出が必要です。項目ごとに必要な書類や届け出の方法・時期について解説します。

「飲食店営業許可申請」は必須

飲食店営業許可証はすべての飲食店に必要です。
飲食店営業許可申請書は、保健所や自治体のホームページから取得できます。不備があれば申請が通らないため、いきなり申請に行くのではなく、まずは保健所に開業の相談に行きましょう。必要な設備などの相談をしてから内装業者に施工してもらうようにします。手数料は地域差がありますが、おおむね16,000円~19,000円です。

パンやスイーツを提供するなら「菓子製造業許可申請」

パンやスイーツを提供するなら「菓子製造業許可申請」

パンやスイーツを提供する場合、菓子製造許可が必要です。保健所へ申請するもので費用は14,000~17,000円程度で、申請には食品衛生責任者の設置・施設の設計・設備の整備が必要です。自治体により5~8年の有効期限があります。期限切れになる前に更新手続きを忘れずに行いましょう。

アルコール類を提供するなら「深夜酒類提供飲食店営業開始届出書」

午前0時から午前6時に酒類を提供する場合、深夜酒類提供飲食店営業開始届出書を提出しなければなりません。申請に必要な提出書類は以下の通りです。

  • 届出書
  • 営業時間や提供するメニューなどが記された営業方法
  • 店舗の図面
  • 個人の場合営業者の住民票(個人の場合)
  • 役員全員の住民票のほかに定款、登記全部事項証明書(法人の場合)

営業開始日の10日前までに所轄の警察署を経由して、公安委員会に届け出をしなければなりません。

店舗の規模によっては「防火管理者選任届」

上記のカフェ開業で必要な資格で触れたとおり、収容人数が30名を超える場合などは防火管理者の設置が義務付けられています。指定の講習を修了し防火管理者の資格を得たら、営業者は所轄の消防署へ選任届を提出します。

キッチン設備に必須となる「火を使用する設備等の設置届」

火を使用する設備等の設置届は、キッチン設備を設置する7日前までに管轄の消防署に届け出る必要があります。電子申請または窓口で申請ができ、届け出後、原則として消防署の検査を受けます。届け出が必要かどうかの判断基準があるので、一度、管轄の消防署に問い合わせるとよいでしょう。

すべての雇用形態で必要な「労災保険の加入手続き」

雇用形態が常勤・パート・アルバイト・派遣などいずれの場合でも、労働者を雇用する場合は労災保険の加入が義務付けられています。労働者の勤務日数が1日の場合も事業場が加入対象です。加入手続きは、雇用した翌日から10日以内に労働基準監督署、またはハローワークで行います。

雇用形態によっては「雇用保険の加入手続き」

労災保険加入者のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがあれば、必ず加入しなければならない保険です。労災保険と同じく、雇用した翌日から10日以内に労働基準監督署などで加入手続きを行います。

カフェに使う物件と内装備品の選び方

飲食店が多く集まるエリアは人も集まるので、カフェを開業するにも人気のエリアです。物件探しはコンセプトと事業計画に沿って広さ・予算の合うものに絞っていきます。
カフェの内装はコンセプトが大切です。ターゲットの客層とエリア、コンセプトにずれがないか確認し、内装のテイストを固めていきます。コンセプトのほかに動線、空調に配慮するとストレスが少なく快適な空間が作れます。色彩や照明の調整、レイアウトを考えて備品を選んでいきましょう。

メニュー作成と価格設定の適切な方法

客層によりニーズが異なるため、メニュー作成と価格設定は客層に注目することがポイントです。

例えばオフィス街なら会社員向けのランチ、郊外ならファミリー向けにキッズメニューの充実、などが考えられますね。
メニューのボリュームは周辺ライバル店を参考にするとよいでしょう。また、メニュー名はお客さんが注文時に必ず目にするものです。商品がイメージしやすく興味を引くメニュー名を考えましょう。メニュー名に、ふわふわ、しっとりなどの擬音語や産地が入るとこだわりが伝わりやすくなります。

飲食店の原価率の目安は30%程度です。価格を設定する際は、原価率やコンセプト、近隣の競合店の価格などから総合的に判断しましょう。メニューを考える際は価格と量に気を取られがちですが、時間がかかりすぎるとお客さんの不満につながったり、生産コストが高くなったりすることが考えられるため提供時間も考慮すべき点です。

開業資金の調達方法

開業資金の調達方法は、自己資金を貯める・助成金や補助金を受給する・融資を受けるなどがあります。
自己資金の貯め方はさまざまですが、ブログなどSNSの運営で収入を得られると開業後の顧客獲得にもつながります。助成金や補助金は地域により条件や金額にばらつきがあるのでよく調べましょう。助成金は、審査などの手続きを経て通常、無償で受け取れる有効な財源です。さまざまな種類の助成金があり、要件を満たしていれば受給できる可能性が高いです。補助金は審査などを経て、採択されれば支給されます。しかし、倍率が高く採択件数や金額が決まっているため、必ず受けられるわけではありません。

自己資金だけで不足する場合は銀行の融資を受けるのが基本です。しかし、自己資金がゼロでは融資を受けにくいことが考えられます。まずはしっかり自己資金を準備し、助成金や補助金の申請も検討しましょう。

まとめ

開業準備を始めて物件が決まると、カフェのオープンまであっという間です。開業までのタスクは膨大ですが、上記のスケジュールと必要な届け出を参考に、準備して一つずつ着実に進めていきましょう。

開業まで大変ですが、この記事を参考にして開業準備を乗り切ってくださいね。

<関連記事>
【飲食店開業】カフェ経営を成功に導くメニュー作りのポイントとは?
カフェ開業に必要な資格や申請 │ スムーズなオープンのためにはスケジュール調整が大切!
カフェ開業資金はどのくらい?初期費用の見積もりが大事!?