焼き鳥屋の内装|デザインのポイント事例、費用相場などについて解説

焼き鳥屋の内装|デザインのポイント事例、費用相場などについて解説

競争の激しい焼き鳥業界で、他店との差別化に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。ある調査によれば、全国には13,000件以上もの焼き鳥屋が存在するとされています。その中で、自店を選んでもらうためには、内装デザインが非常に重要な役割を果たします。

本記事では、コンセプト設計、配色、照明など、集客に繋がる内装デザインのポイントを詳しく解説します。さらに、内装工事の費用相場、資金調達方法、工事業者選びの注意点なども併せてご紹介します。魅力的な内装で、繁盛する焼き鳥屋を目指しましょう。

焼き鳥屋の内装デザインの特徴

焼き鳥屋と言えば、スタッフとの距離が近いカウンター席や、調理風景を楽しめるオープンキッチンをイメージする方も多いでしょう。

焼き鳥は、お酒のつまみとしてはもちろん、食事のおかずや、小腹を満たす軽食としても親しまれており、老若男女問わず幅広い世代に愛されている料理です。そのため、焼き鳥屋の内装デザインには、様々な選択肢があります。例えば、ビールやチューハイを楽しむ方には、賑やかな居酒屋風のカジュアルな内装が好まれる一方、カクテルやワインを嗜む方には、スタイリッシュで洗練された雰囲気の内装が好まれる傾向があります。このように、ターゲット層、業態、価格帯などによって、最適な内装デザインは大きく異なるのです。

焼き鳥屋の内装デザインのポイント

繁盛する焼き鳥屋の内装デザインを実現するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

  • コンセプト
  • 防音対策
  • 配色
  • 空調・換気設備の性能
  • 照明の効果

これらのポイントを意識することで、他店との差別化を図り、魅力的な店舗空間を創造できます。それでは、各ポイントについて詳しく見ていきましょう。

コンセプトにこだわる

他店との差別化を図り、競争の激しい焼き鳥業界で勝ち抜くためには、徹底的にこだわり抜いたコンセプト設計が不可欠です。明確なコンセプトがないと、独自性のない、ありふれた店舗になってしまう恐れがあります。コンセプトを設定する際には、まず、競合店舗や、市場の調査を徹底的に行いましょう。調査を通して、周辺地域の焼き鳥屋の内装デザインの傾向や、顧客ニーズを深く理解することができます。さらに、ターゲット顧客を、性別、年齢、職業など、様々な角度から詳細に設定することで、ターゲットが求める内装デザインを、より具体的にイメージすることができるでしょう。

店舗のレイアウト、使用する家具、トイレの設備、キッチンの仕様など、細部に至るまでコンセプトを反映させ、オリジナリティ溢れる内装デザインを実現しましょう。

防音対策を講じる

店内で流すBGMや、お客様の話し声など、音に関する対策も重要です。特に、住宅街などに焼き鳥屋を開業する場合、適切な防音対策を施さないと、近隣住民とのトラブルに発展する可能性があります。

店舗のイメージを守るためにも、防音対策は必要不可欠です。具体的な防音対策としては、以下のような方法が挙げられます。

  • 壁に布やフェルト生地を貼る
  • 吸音材を壁や天井に設置する
  • 既存の窓の内側にもう一枚窓を設置する(二重窓)
  • 防音性能の高いガラスを採用する
  • 防音ドアを導入する

新築物件か、既存物件かによって、選択できる防音対策は異なります。どのような防音対策が効果的か、施工業者に相談し、最適な提案を受けましょう。

配色で統一感を出す

店舗のコンセプトに合致した配色を選定し、内装全体に統一感を持たせましょう。焼き鳥屋は、一般的に、大衆的で親しみやすいイメージが強いため、お客様がリラックスでき、親しみを感じられるような雰囲気作りが重要です。

例えば、温かみのある雰囲気を演出したい場合には、赤、オレンジ、黄色などの暖色系を基調とした配色が効果的です。また、暖色系の色は、料理をより美味しそうに見せ、食欲を増進させる効果も期待できます。一方、洗練されたスタイリッシュな雰囲気を演出したい場合には、白や黒などの無彩色を基調とした配色が適しています。

このように、店舗のコンセプトに合わせた配色で、統一感のある雰囲気を演出することは、お客様の満足度向上に繋がります。そのため、ちぐはぐな配色にならないよう、コンセプトに基づいた配色で、全体の統一感を出すことが重要です。

空調・換気設備の性能を検討する

焼き鳥屋では、調理中に発生する煙を適切に処理するために、高性能な空調設備や、換気扇などの換気設備の設置が不可欠です。これらの設備の性能が不十分だと、店内に煙が充満し、お客様が快適に食事を楽しめなくなってしまいます。

また、煙や臭いは、近隣住民とのトラブルに発展する可能性もあります。そのため、煙の発生を最小限に抑え、お客様が食事や会話を存分に楽しめる、快適な空間を提供することが重要です。特に、カウンター席で、スタッフとの会話を楽しむことを目的として来店されるお客様にとって、快適な空間であることは、非常に重要なポイントとなります。

さらに、焼き鳥屋は、調理の熱で、店内が暑くなりやすい傾向があります。そのため、従業員の労働環境を改善し、お客様に快適な空間を提供するためにも、高性能な空調設備や換気設備の設置は、非常に重要です。

照明の効果を生かす

照明は、その明るさや光の色によって、店内の雰囲気を大きく変えることができます。また、照明は、お客様の居心地の良さや、店舗全体の印象を大きく左右します。そのため、焼き鳥屋のコンセプトや、ターゲット顧客層に合わせて、最適な照明を選ぶことが重要です。

例えば、明るく活気のある雰囲気を演出したい焼き鳥屋で、暗い照明を使用してしまうと、コンセプトと矛盾が生じ、ちぐはぐな印象を与えてしまいます。カジュアルな雰囲気の内装には、スポットライトやペンダントライトなど、シンプルなデザインの照明器具が適しています。一方、高級感のある内装には、間接照明や、暖色系のライトを使用することで、空間全体に統一感を演出できるでしょう。

また、複数の照明器具を組み合わせることで、より効果的に空間を演出することが可能です。例えば、暖色系の照明は、温かみや、リラックス感を演出し、寒色系の照明は、スタイリッシュで清潔感のある雰囲気を演出します。さらに、食材本来の色味を美しく見せるためには、演色性の高い照明が効果的です。また、調光機能付きのダウンライトを使用すれば、時間帯や、利用シーンに合わせて、明るさを調整でき、空間演出の幅が広がります。

このように、照明器具の特性を理解し、焼き鳥屋のコンセプトや、利用シーンに最適な照明を選ぶことが重要です。

焼き鳥屋の内装デザインの事例

焼き鳥屋の内装デザインの事例

飲食店を選ぶ際、お客様は、料理の価格やメニューだけでなく、店内の雰囲気も重視します。お客様の視点に立った内装デザインを心がけなければ、訪れたお客様に良い印象を与えられず、リピーター獲得は難しいでしょう。ここでは、参考にすべき、焼き鳥屋の内装デザイン事例をいくつか紹介します。

例えば、ある炭火焼き鳥店では、カウンター席から、職人が炭火で焼き鳥を焼き上げる様子を、間近で見られる設計を採用しています。このように、調理のライブ感をダイレクトに楽しめるカウンター席は、お客様に、特別な食事体験を提供できます。カウンター席を設計する際には、カウンターの高さが重要なポイントとなります。例えば、一般的なカウンターよりも、やや低めに設計することで、スタッフとお客様が、自然な目線で会話を楽しめる、親しみやすい空間を演出できます。

また、ある店舗では、オープンキッチンを店舗の中心に据え、その周囲をコの字型のカウンター席で囲むレイアウトを採用しています。このように、中心に広い調理スペースを設けることで、お客様はどの席からも、調理風景を楽しむことができます。このレイアウトを採用する場合、調理エリアと客席の間に、高めのガラスなどで仕切りを設け、油はねや煙の拡散を防ぐ工夫が必要です。さらに、スタッフがスムーズに移動できる動線や、各座席に、小さな荷物置き場を設けるなど、細部まで配慮することが重要です。

お客様を惹きつける魅力的な演出と、店舗運営の効率化を両立させる工夫を組み合わせ、理想の焼き鳥屋を実現する、最適な内装デザインを検討しましょう。

焼き鳥屋の内装工事費用の相場

一般的に、焼き鳥屋の開業には、700万円以上の資金が必要と言われています。必要な資金は、スケルトン物件か、居抜き物件かによって大きく異なります。予算に合わせて、最適な物件を選びましょう。

スケルトン物件の場合

スケルトン物件とは、建物の躯体のみで、内装や設備が一切ない状態の物件です。配管がむき出しであったり、コンクリートが打ちっぱなしであったりします。スケルトン物件の内装工事費用は、1坪あたり20万~40万円が目安です。例えば、20坪の店舗であれば、約400万~800万円の内装工事費用がかかります。この費用に加え、空調設備や厨房機器などの設備導入に、約200万~400万円の費用がかかると想定されます。ただし、これらの費用は、導入する設備によって、大きく変動する可能性があります。

スケルトン物件のメリットは、以下の通りです。

  • 前テナントのイメージを刷新できる
  • 内装、設備を自由に設計でき、コンセプトを忠実に再現できる
  • 最新の厨房機器や、排気設備を導入できる

一方、スケルトン物件のデメリットは、以下の通りです。

  • 居抜き物件と比較して、初期費用が高額になる
  • 居抜き物件と比較して、工事期間が長くなる
  • 退去時に、スケルトン戻し(原状回復)が必要となり、そのための費用が発生する

スケルトン物件は、内装デザインの自由度が高い反面、居抜き物件と比較して、初期費用が高額になり、工事期間も長くなる傾向があります。そのため、入念な資金計画と、スケジュール管理が不可欠です。

居抜き物件の場合

居抜き物件とは、前テナントが使用していた内装や設備を、そのまま、または一部改装して利用できる物件のことです。居抜き物件の内装工事費用は、1坪あたり15万~30万円が目安で、20坪の店舗であれば、約300万~600万円となります。特に、厨房設備が充実している居抜き物件は、新規で設備を導入する費用を大幅に削減できる可能性があります。

居抜き物件のメリットは、以下の通りです。

  • 内装や設備を、そのまま、または一部改装して利用できるため、初期費用を大幅に削減できる
  • スケルトン物件と比較して、工事期間が短いため、早期の開業が可能
  • 設備投資を抑えることで、運転資金など、他の用途に資金を充当できる

一方、居抜き物件のデメリットは、以下の通りです。

  • 設備の老朽化による、故障のリスク
  • 古い設備を使用することによる、電気代増加のリスク
  • 既存の内装が、自身の店舗コンセプトに合わない可能性がある
  • 前テナントのイメージが、顧客に想起される可能性がある

契約前には、設備の状態、前テナントのイメージ、造作譲渡料の妥当性などを、慎重に確認することが重要です。居抜き物件を賢く活用することで、初期費用を抑え、効率的に開業できる可能性があります。

焼き鳥屋の内装工事の資金調達の方法

焼き鳥屋の開業には、多額の資金が必要です。特に、内装工事費用は、自己資金だけで賄うのが難しい場合が多いため、金融機関からの融資と、補助金・助成金などを併用し、資金調達を行うことが一般的です。

銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受ける方法は、焼き鳥屋の内装工事資金調達において、最も一般的な方法です。融資を受けるためには、実現可能性の高い、具体的な事業計画書の作成が必須です。事業計画書には、ターゲット顧客、店舗の立地、売上予測、収支計画などを、詳細に記載する必要があります。また、事業規模や、希望する融資金額に応じて、適切な金融機関を選択することも重要です。

国や地方自治体が提供する補助金や助成金は、返済不要の資金源として、非常に有効です。これらの支援制度を活用することで、資金調達の負担を、大幅に軽減できます。例えば、以下のような補助金・助成金制度があります。

  • 小規模事業者持続化補助金:広告宣伝費や、内装工事費用の一部を補助
  • 事業再構築補助金:事業再構築に取り組む事業者を支援する補助金

いずれの補助金・助成金も、申請には事業計画書の提出が必須であり、審査を通過する必要があります。また、申請から受給までには、時間を要する場合が多いため、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。さらに、補助金・助成金は、年度によって内容が変更されたり、新たな制度が創設されたりする可能性があるため、常に最新情報を確認することが重要です。

金融機関からの融資と、補助金・助成金を、効果的に組み合わせることで、資金調達の負担を軽減し、スムーズな開業に繋げることができます。

内装工事を依頼するときの注意点

内装工事の費用は、依頼する業者によって大きく異なります。そのため、複数の業者を比較検討し、信頼できる内装工事業者を見極めることが重要です。

施工業者を選ぶポイント

複数の業者から見積もりを取得し、費用、工期、施工体制、保証内容などを比較検討することが重要です。また、費用や工期だけでなく、施工実績が豊富な業者を選ぶことも、重要なポイントです。経験豊富な業者は、工事中に発生する様々なトラブルにも、柔軟に対応できる可能性が高いです。特に、焼き鳥屋の内装工事では、排気設備や、耐熱・耐火対策など、専門的な知識や経験が求められます。そのため、業者選定の際には、焼き鳥屋の内装工事実績が豊富かどうかも、必ず確認しましょう。

業者選びを焦ったり、安易に妥協したりせず、納得できるまで、じっくりと比較検討することが、理想の内装を実現する、第一歩となります。

開業資金は残しておく

開業資金は、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。焼き鳥屋を開業する際には、内装工事費用、設備・備品などの初期費用だけでなく、様々な費用が発生します。

例えば、店舗の家賃は、物件の契約時から発生します。また、開業後、経営が軌道に乗るまでの、運転資金を確保しておくことも重要です。食材費、水道光熱費などを含む、1ヶ月あたりの運転資金を、仮に60万円と想定すると、最低でも3ヶ月分、可能であれば6ヶ月分、つまり180万円~360万円程度の運転資金を準備しておくと安心です。

準備した開業資金ギリギリで見積もりを取得し、工事を発注してしまうと、想定外の事態が発生した際に、対応できなくなる恐れがあるため、注意が必要です。

まとめ

焼き鳥屋の内装デザインは、他店との差別化を図り、集客を成功させるための重要な要素です。理想の焼き鳥屋を実現するためには、まず、明確なコンセプトを設計することが重要です。

明確なコンセプトがあれば、内装デザインだけでなく、店舗運営全体の方向性も定まります。内装デザインにこだわりたい場合は、自由度の高いスケルトン物件、初期費用を抑えたい場合は、居抜き物件がおすすめです。

内装工事業者を選ぶ際には、過去の施工実績を十分に確認し、複数の業者から見積もりを取得して、比較検討することが重要です。信頼できる施工業者と二人三脚で、理想の焼き鳥屋を実現しましょう。

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