イタリアンレストランの内装デザイン|集客アップのポイントと費用を解説

イタリアンレストランの内装デザイン|集客アップのポイントと費用を解説

イタリアンレストランの開業を検討している方の中には、どのような内装がいいか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

内装は居心地の良さだけでなく、料理やサービスの価値を高める大切な要素です。イタリアンレストランでは、ご自身の好みやこだわりだけではなく、コンセプトやターゲットにマッチし、お客様が期待する雰囲気が味わえるような内装が大切です。

本記事では、イタリアンレストランの内装のポイントに加え、コンセプトやターゲットを決めるうえで重要な業態などを解説します。

イタリアンレストランにお客様が抱く印象

イタリアンレストランを経営するうえで、お客様がイタリアンレストランに抱く印象を知ることは大切です。

期待を反映させた内装は、お店を訪れたお客様の満足度を高め、集客やリピーター獲得につながるでしょう。

まずは、お客様がイタリアンレストランにどのような印象を持っているのか解説します。

欧州らしいおしゃれなイメージ

イタリアは、地中海に面した南欧の国です。ファッション、芸術、美しい街並みなど、おしゃれなイメージを持つ方も多いでしょう。

そのため、イタリアンレストランに対して、欧州の雰囲気が味わえるようなおしゃれなイメージを持っている方は少なくありません。

インテリアや小物などを駆使してイタリアを彷彿とさせる空間を演出すれば、お客様の気分を盛り上げることができ、より食事を楽しんでもらえるでしょう。

フレンチレストランよりカジュアル

フレンチレストランは、高級なコース料理、厳格なテーブルマナー、ドレスコードなどから、格式が高いイメージを持たれることが多い一方、イタリアンレストランは、比較的手軽に利用できるカジュアルなイメージがあります。

イタリアンレストランでも高級店になれば相応のマナーが求められるものの、フレンチレストランのような敷居の高さは感じにくいでしょう。

開放的で気軽に入店しやすく、カジュアルながらもおしゃれな空間を内装で演出できれば、お客様の期待に応えたイタリアンレストランとして日常的に利用してもらえるでしょう。

イタリアンレストランのタイプ

イタリアンレストランは、そのグレードや提供する料理によって、さまざまなタイプに分類されます。イタリアンレストランには、フルコースを提供する高級店から郷土料理を提供する家庭的なレストランまで、以下のようなタイプがあります。

  • リストランテ
  • トラットリア
  • オステリア
  • バール
  • ピッツェリア

タイプによって適した内装が異なるため、各タイプの特徴を知り、ご自身が開業したいレストランがどのタイプにあたるのか明確にしておくことが大切です。

リストランテ

リストランテは、格式高いイタリアンレストランです。ドレスコードやテーブルマナー、テーブルチャージを求められる場合もあり、フレンチレストランのような高級感を提供します。スタッフが料理の説明を行い、ソムリエが在籍するリストランテも少なくありません。

リストランテでは、基本的に前菜・パスタやピザなどのプリモピアット・メイン料理・ドルチェ・コーヒーのコース料理を提供します。

ゆっくりとコース料理を味わいながら過ごせるよう、リストランテの内装は高級感と落ち着いた雰囲気が重要です。テーブル間に十分なスペースを取ると、コース料理をスムーズに運べるうえ高級感ある空間づくりが叶うでしょう。

トラットリア

トラットリアは、リストランテよりカジュアルな雰囲気で、気軽に利用できるイタリアンレストランです。格式ばったマナーはありませんが、コース料理を提供したり、ドレスコードを設定している場合もあります。

本場イタリアでは個人経営のレストランに多い業態で、家庭料理や地域の伝統的な料理を提供する店舗がよくみられます。

トラットリアには、タイルやレンガを使用したカジュアルな内装や、オレンジやベージュなどの暖色系を取り入れた内装が適しているでしょう。女子会やデートなどでの利用も想定されるため、高級感を抑えつつインテリアや小物を活用しておしゃれな雰囲気を演出するのがおすすめです。

オステリア

オステリアは、ラテン語のHospite(客をもてなす人、もてなす場所)を語源とする飲食店です。ワインやおつまみ・家庭料理などを提供する庶民的な居酒屋のような場所で、イタリアンレストランのなかでも特にカジュアルな業態です。

オステリアでは地元食材や季節の食材を使用した家庭料理を提供し、こだわりの地元ワインを豊富に取り揃えています。

シンプルな木製のインテリアが並んでいたり壁に地元の写真が飾られていたりと、本場イタリアのオステリアはカジュアルな印象です。落ち着いた雰囲気よりもワイワイと楽しむ雰囲気のため、誰でも気軽に立ち寄りやすいアットホームな内装が良いでしょう。

バール

バールは、お酒を楽しむことをメインとしたイタリアンレストランの業態を指します。日本のバールはバーに近い薄暗く落ち着いた雰囲気の店舗が多い傾向にありますが、本場イタリアではカフェに近いレストランです。

イタリアのバールはコーヒーを好むイタリアの方々にとって欠かせない憩いの場で、カプチーノやエスプレッソを立ち飲みするスタイルが一般的です。営業時間が長い店舗も多く、昼間は軽食とコーヒーを楽しむカフェ、夜はワインや創作料理を味わう場所として愛されています。

カジュアルに立ち寄ってリラックスできる本場のバールの雰囲気を演出するなら、開放的で温かみのある内装が良いでしょう。レンガや木をテーマにした内装も適しています。

ピッツェリア

ピッツェリアは、主にピザを提供する庶民的なイタリアンレストランです。本場イタリアでは日常的に利用するポピュラーな飲食店で、カジュアルで気軽に入店できる雰囲気が特徴です。日本のピッツェリアでは、ピザだけではなくパスタやサラダ、デザートなどを提供している店舗もあります。

レンガや石・木材を使用したナチュラルで温かみのある内装や、港町ナポリをイメージした開放的な内装が、ピッツェリアには適しています。また、ピザ窯で焼いている様子を楽しめる内装でライブ感を演出するのもおすすめです。

イタリアンレストラン内装のポイント

イタリアンレストラン内装のポイント

イタリアンレストランの内装デザインを決めるとき、どのような点に注意すれば良いのか、悩んでいる方もいるでしょう。

内装はレストランを訪れたお客様の印象を大きく左右し、その印象は口にする料理の味にも影響するといわれています。

イタリアンレストランの内装を決めるうえで、重要なポイントは主に以下の4点です。

  • 地中海をイメージさせる
  • 温かみを感じさせる
  • イタリアの特定の地域をイメージさせる
  • タイプごとのコンセプトを大切にする

それぞれのポイントと具体的な例を解説します。

地中海をイメージさせる

イタリアらしさを演出するなら、地中海をイメージした内装が効果的です。地中海をイメージした開放的でリゾート感のある内装はイタリアらしさを演出し、訪れたお客様に非日常の空間を味わってもらえるでしょう。地中海を連想させる内装の例は、以下のとおりです。

  • あえてムラを残した塗り方の白い壁
  • 手作り感のあるカウンターやテーブル
  • ランプや暖色系の照明

地中海沿岸の地域は白い壁の建物が特徴的で、内装に取り入れると地中海をイメージさせられるでしょう。また、アンティーク風のインテリアや温かみのある照明などは白い壁との相性が良く、本場イタリアを思わせつつカジュアルに利用できる雰囲気も演出できます。

温かみを感じさせる

イタリアンレストランは、業態に関わらず温かみを感じさせる内装が適しています。温かみを感じさせる内装のポイントや具体例は、次のとおりです。

  • 木材やレンガを基調とする
  • 古材でカジュアルさを演出
  • 落ち着いた雰囲気にするならダークブラウンのインテリア
  • アンティークの照明や小物
  • 暖色系の色味で統一する
  • オレンジ系の照明
  • カジュアルなデザインのテーブルクロス

木製のインテリアは温かみをイメージさせたいときに適しており、色味によってナチュラルやクラシカルなど雰囲気が異なります。イタリアの一般家庭のような親しみやすい雰囲気を演出した内装なら、お客様にゆったりと過ごしてもらえるでしょう。

イタリアの特定の地域をイメージさせる

イタリアは地域によって料理に特色があり、イタリアの各地域の料理を総称してイタリア料理と呼びます。

ご自身のレストランで提供する料理の地域をイメージさせるような内装にするのも一つの方法です。

酪農が盛んな北部では、乳製品を使用したドリア・ラザニア・パスタなどの料理が中心です。そのため、このような料理をメインで提供する場合は、山や酪農をイメージさせるナチュラルな内装が適しています。

ローマやフィレンツェなどの都市がある中部は北部と南部の料理が融合しており、肉料理をメインとするレストランが多くあります。幅広い種類のイタリア料理を提供する場合は、中部を意識したモダンかつスタイリッシュな内装がおすすめです。

地中海に面した南部は、ピザやパスタ・魚介類を使用した料理がメインです。このような料理を中心に提供するレストランであれば、南イタリアをイメージさせる開放的でさわやかな印象の内装が良いでしょう。

タイプごとのコンセプトを大切にする

イタリアンレストランのタイプによって、ターゲットや価格帯・提供する料理などのコンセプトが異なります。

ご自身のレストランのタイプやコンセプトを明確にすることで、内装デザインのブレを防いで統一感のある空間づくりができます。

例えば、お酒をメインとするバールを開業するのであれば、高級感よりも開放感や親しみやすさを感じられる内装がいいでしょう。

一方、コース料理を提供するリストランテの場合は高級感のある内装やアンティーク調のインテリア、テーブル間の距離に余裕を持たせることなどが重要です。

イタリアンレストランの内装は換気も大切

飲食店における換気設備の設置は、建築基準法によって義務付けられています。特に、火気を使用するイタリアンレストランでは、適切な換気が不可欠です。イタリアンレストランでは調理で火を使用するため、内装では換気も大切なポイントです。

また、換気が不十分だと煙やにおいが充満し、こだわって作った内装や雰囲気が台無しになってしまう可能性があります。

過ごしやすく清潔な空間を保つためにも、店舗の広さに合った換気設備を取り入れて適切に空気を入れ替えられるようにしましょう。併せて、室内の対角線上に2ヶ所以上のドアや窓を設置すれば、自然換気効果が期待できます。

どのようにして競合店と差をつけるか

世界各国の料理のなかでも、イタリア料理は日本で好まれている料理の一つです。ピザやパスタなどは日本でもメジャーな食べ物でカジュアルに楽しめるため、イタリアンレストランは競合店が多いといえるでしょう。

競合店と差をつけるためには、メニューだけではなく内装にもこだわり、競合店と違った内装を取り入れることがポイントです。ご自身のレストランのコンセプトを明確にして一貫性を持たせ、競合店との差別化を図って集客につなげましょう。

イタリアンレストランの内装費用

イタリアンレストランを開業する際に、内装費用がどのくらいかかるのか気になる方もいるのではないでしょうか。

実際の費用は業者によって異なりますが、目安を知っておくことで、どのくらいの費用を確保しておけば良いかの判断材料になるでしょう。

ここでは、物件にかかる費用や内装費用の目安を解説します。

物件自体にかかる費用

物件にかかる費用は、立地や店舗面積によって大きく変動します。

賃貸物件の場合には、保証金・仲介手数料・礼金などの費用がかかり、テナント契約時に前金として支払うケースが多くあります。初期費用の目安は家賃の約8〜10ヶ月分といわれています。

例えば、一般財団法人 日本不動産研究所が2024年に発表したデータの表参道エリアの賃料水準は、月坪単価3~4万5,000円がもっとも多い水準です。店舗を20坪と仮定すると月の家賃は60万~90万円となるので、初期費用として400~700万円が必要となります。

物件を探す際はあらかじめ予算を決めておき、予算に合わせた物件を探しましょう。

内装にかかる費用

イタリアンレストランの内装にかかる費用の目安は500~1,000万円です。内装費用は、業者や物件・店舗の広さなどによっても異なります。

イタリアンレストランの内装工事費用の坪単価は30~50万円といわれており、内装費用の約30%は厨房設備です。内装費用を抑えたい場合は、中古の厨房設備を検討してみてはいかがでしょうか。

また、スケルトン物件の場合は内装デザインの自由度が高い一方、居抜き物件よりも内装費用がかかります。開業時の内装費用を節約したいときは、前のオーナーが使っていた内装や設備が利用できる居抜き物件を探してみるのも一つの方法です。

まとめ

イタリアンレストランの内装のポイントや業態、内装費用を紹介しました。

イタリアンレストランの内装は、ご自身の好みやこだわりだけではなく、お客様が持つイメージも反映させることが大切です。
ご自身のレストランのコンセプトに合わせて、イタリアを彷彿とさせるおしゃれな非日常の空間を演出し、素敵なイタリアンレストランを作り上げていきましょう。

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