立ち飲み屋の開業は難しい?立ち飲み屋のメリットや開業準備、成功のポイントを解説!

立ち飲み屋の開業は難しい?立ち飲み屋のメリットや開業準備、成功のポイントを解説!

立ち飲み屋の開業を考える際に、「難しいのではないか?」と不安に感じる方もいるでしょう。

しかし立ち飲み屋は一般的な飲食店よりも少ない開業資金で始めることができ、安定した売上を確保しやすいという特徴があります。

この記事では、立ち飲み屋の開業におけるメリットや成功のポイントなど、立ち飲み屋の開業に向けた一歩を踏み出すための情報を解説しますので、参考にしてみてください。

立ち飲み屋の開業について

立ち飲み屋には、ほかの飲食店とは異なる魅力があります。

ここでは立ち飲み屋とはどういった業態なのか、立ち飲み屋の開業は難しいのかという点について解説します。

立ち飲み屋の業態とは

立ち飲み屋は都市部や駅近の場所に多く見られる、座席を設置せずに「立って飲む」スタイルの飲食店です。

主に手軽さや低価格を特徴としており、ビジネスパーソンの仕事帰りや一人飲みなど気軽に利用でき、メニューが充実してる点も特徴です。

ドリンクはビールやハイボール、日本酒などが中心で、料理も簡単に提供できる一品料理や乾き物が多い傾向です。

立ち飲み屋開業は難しい?

立ち飲み屋は一般的な飲食店と比べると開業資金が少なく、スタッフも大人数を雇う必要がないため、開業のハードルはそこまで高くないといえます。また食材費をはじめとする運営コストも低い傾向にあり、回転率も高いことから、立ち飲み屋は一般的な飲食店よりも利益を上げやすいと考えられています。

しかし、注意点もあります。開業のハードルが低いということは、立ち飲み屋を開業しようとしているライバルも少なくないということです。

利益をあげるためには、他の立ち飲み屋との差別化を図ることが重要です。同じようなコンセプトの場合、利用者は価格で判断する傾向が強くなります。なので、オリジナル要素を打ち出すことが大切になってくるでしょう。

立ち飲み屋を成功させるポイントについては記事の後半で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

立ち飲み屋を開業するメリット

開業資金や運営コストを抑えられることが、立ち飲み屋を開業するメリットです。ほかにも、回転率の高さやお客様を獲得しやすいなど、さまざまなメリットがあります。

ここからは、立ち飲み屋を開業するメリットについて詳しく説明します。

初期費用を抑えられる

先述したように、立ち飲み屋は初期費用を抑えられる点がメリットです。

立ち飲み屋は椅子やテーブルが必要なく、カウンターがあれば小さいスペースでも店舗を構えることが可能です。そのため、家賃や物件取得費用などの費用を抑えることができます。

店舗が広くないので内装をはじめとする設備投資も抑えられるでしょう。

回転率が高い

立ち飲み屋ならではの魅力として、回転率の高さが挙げられます。

一般的な飲食店では座席に座って飲食するため、滞在時間が長くなる傾向にあります。しかし立ち飲み屋には座席がないため、軽く一杯飲んでいこうという仕事終わりのサラリーマンなどが立ち寄り、食事やお酒を楽しんだ後はすぐに帰るため、回転率が高くなります。

あえて少し高めのカウンターを設置するなど、回転率をさらに上げる工夫をしている立ち飲み屋もありますが、お客様が居心地の悪さを感じるような工夫はおすすめできません。お客様にとって居心地のよい空間を作りながらも、回転率を上げるための工夫を考え、回転率を上げましょう。

一人客や常連客を獲得しやすい

立ち飲み屋は一人客や常連客を獲得しやすいというメリットがあります。

居酒屋など立ち飲み屋以外の飲食店ではテーブル席しか用意されていない店もあり、一人で入りにくいと感じるお客様もいます。立ち飲み屋ならそういったお客様も、気軽に入れると感じやすいでしょう。

また立ち飲み屋の多くは店内のスペースが狭くてお客様との距離が近いことが多く、店長やスタッフと会話しやすいといえます。会話が弾むことで常連客の定着につながるケースも見られます。

人件費を抑えられる

人件費を抑えられるのも立ち飲み屋のメリットです。

立ち飲み屋はスペースが狭いので、お酒や料理の提供のためにスタッフが歩き回る必要がありません。

また、立ち飲み屋は回転率を上げるために提供サービスを簡略化していることも少なくありません。オーダーや後片付けの手間が少なく、料理のメニューもシンプルなものを提供することが多いため、スタッフの数が少なくても多くのお客様の対応ができます。

このように少人数で対応できるため、人件費を抑えることができるのです。

立ち飲み屋の開業資金の相場

ここまで、立ち飲み屋とはどのような業種なのかや、立ち飲み屋を開業するメリットについてお伝えしてきました。

では、立ち飲み屋を開業する際、どのくらいの資金が必要なのでしょうか。立ち飲み屋の開業資金の相場を解説します。

初期費用

初期費用は開店準備に必要な費用です。物件を契約するための保証金や敷金、家賃、内装工事や外装工事などの費用があります。このほかにも、初期費用には設備費や広告・宣伝費、食材調達費、求人費などが含まれます。

店舗の規模や立地、そしてコンセプトによって大きく変わりますが、立ち飲み屋の初期費用の相場は300~500万円程とされています。

初期費用のなかでも特に費用がかかるのは、物件取得費と内装工事費でしょう。物件取得費は物件の契約に必要な費用の総称で、保証金・礼金・仲介手数料・前家賃などが含まれています。物件取得費の目安は、家賃の10ヶ月分です。5畳程の小さなスペースでも立ち飲み屋の開業はできるので、小スペースの物件を探すことで物件取得費を抑えることができます。

内装工事費を抑えたい場合は、居抜き物件を選ぶとよいでしょう。

何もない状態の物件をスケルトン物件といい、自分が理想とする店舗を作ることができますが一から内装と設備を準備する必要があるため費用がかかります。一方、居抜き物件は以前の店舗の内装や設備が残っている状態の物件です。一から準備が必要ではないため、初期費用を抑えることができます。

運転資金

運転資金は家賃や人件費といった、立ち飲み屋を経営していく際にかかるランニングコストのことです。このほかにも水道光熱費や原材料費、通信費などが必要になります。

これらのランニングコストは売上金から支出しますが、オープンしてすぐに売上が安定することは少なく、一般的に軌道に乗るまでは半年程かかるといわれています。安定した売上がないと、すべてのランニングコストを賄うことが難しく、資金難に陥る可能性もあるでしょう。

そのため、売上が安定するまでの運転資金を用意しておくのがおすすめです。例えば毎月100万円のランニングコストがかかる店舗の場合は、半年分の運転資金として600万円、最低でも3ヶ月分の300万円を用意しておくことで資金の心配が少なくなり、経営に集中することができます。

立ち飲み屋の開業にはさまざまな要素が絡みますが、適切な資金計画を立てることで安定した経営が期待できます。開業資金の相場や運転資金の確保についてしっかりと理解し、成功に向けて着実に準備を進めていきましょう。

立ち飲み屋の開業準備

立ち飲み屋の開業準備

立ち飲み屋を開業するためには、どのような準備が必要なのでしょうか。資金調達も大事ですが、計画をしっかりと立てることも大事です。

ここでは立ち飲み屋開業までの流れと、開業するために必要な資格について解説します。開業に必要な準備を理解しておくことで、円滑に進める可能性が高まるでしょう。

立ち飲み屋開業までの流れ

まず、事業計画を立てましょう。事業計画書に盛り込む内容は下記のとおりです。

  • コンセプト
  • 内装や外装のデザイン
  • 提供するメニュー
  • 必要な設備(冷蔵庫や冷凍庫・ガスコンロ・作業台など)
  • 必要な備品(制服・食器・レジなど)
  • 資金計画

金融機関から融資を受けるためには緻密な事業計画書が必要なので、融資を受ける予定の方は事業計画書を作成しましょう。

事業計画書の作成が終わったら、物件探しです。物件が決まったら契約を行い、内装・外装工事の依頼や設備・備品の準備を進めます。

飲食店を経営するためには、資格や許可も必要です。資格がなかったり申請を行わずに営業したりすると罰せられる可能性があるので、資格取得や各種申請も忘れずに行ってください。

立ち飲み屋の開業に必要な申請は、飲食店営業許可深夜酒類提供飲食店営業開始届です。飲食店営業許可を取るためには、食品衛生責責任者の資格が必要です。申請後、間取りや立ち入り検査が行われます。審査が通れば、許可証をもらうことができます。

深夜0時以降も営業する場合は、警察署に深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出しなければなりません。

立ち飲み屋の開業に必要な資格については次項で紹介します。

開店前には広告宣伝を行うことも重要です。開店直後からお客様に来てもらえるように、SNSやポータルサイトなどを使って宣伝しましょう。

立ち飲み屋の開業に必要な資格

立ち飲み屋の開業に必要な資格は主に2つです。

1つめは食品衛生責任者の資格です。資格を取るためには各都道府県で行っている講習を受講し、保健所に申請する必要があります。食品衛生責任者は国家資格で、飲食店に一人以上は在籍していないといけません。栄養士・調理師・製菓衛生師などの資格を持っている場合は、講習の受講は必要なく、保健所に申請するだけです。

2つめは防災管理者の資格です。店内の収容人数が30人以上の場合は、防火管理者の資格が必要です。この30人にはスタッフの数も含まれます。店舗の面積によって取る資格は異なるので注意しましょう。

  • 延べ面積が300平方m以上:甲種防火管理者
  • 延べ面積が300平方m未満:乙種防火管理者

防火管理者の資格を取得するためには、消防署が実施する講習を受講する必要があります。甲種防火管理者と乙種防火管理者はこの講習を受講する時間や費用が違います。

講習防火管理者は2日間で約10時間、費用は8,000円です。乙種防火管理者は1日約5時間で、7,000円となっています。

立ち飲み屋で成功するための重要なポイント

最後に、立ち飲み屋で成功するためのポイントを紹介します。立ち飲み屋を開業するハードルは低いですが、何もしないでお店を繫盛させるのは難しいでしょう。

立ち飲み屋で成功するためのポイントとなるのは、次の6つです。

  • コンセプトを明確にする
  • 立地選びに力を入れる
  • 店内が見えて入りやすい雰囲気を演出する
  • 動線を意識して移動しやすい設計にする
  • 客層を意識してメニュー開発する
  • 看板メニューで常連客やリピート客を獲得する

下記ではこれら6つのポイントについて詳しく解説します。

コンセプトを明確にする

立ち飲み屋を成功するための第一歩は、明確なコンセプトを持つことだと言えます。お店の経営方針や雰囲気、どのようなサービスを提供するのかがコンセプトです。

コンセプトとあわせて、どのようなお客様に来てほしいのかターゲット層を明確にすることで、お店の方向性や全体像をつかめるようになります。

  • いつ
  • どこで
  • 何を
  • 誰に
  • どのように

これら5つを軸に、コンセプトを考えるといいでしょう。

立地選びに力を入れる

立地も重要なポイントです。立地はお客様の来店に大きく影響するため、立地選びには特に力を入れましょう。

立ち飲み屋は入りやすさや気軽さ、回転率を挙げられる立地を選ぶことが重要なので、オフィス街や繫華街など通勤途中の方や仕事終わりの方が気軽に立ち寄れるところがおすすめです。周辺にあるライバル店や交通アクセスなども確認し、立地選びをしましょう。

店内が見えて入りやすい雰囲気を演出する

立ち飲み屋に行く際、お客様が重視するのは入りやすさでしょう。お店の中がどのような雰囲気かがわからないと入りにくく、客足が遠のいてしまうこともあります。

外から店内が見えるようにすることでそのお店の雰囲気が伝わり、入りやすくなります。また、通行人の興味を引くことができるのもメリットです。

入りやすい雰囲気だけではなく、あえて混雑しているように見せる工夫も大切です。混雑していると新規の客層獲得につながらないのではと思う方も少なくないでしょう。しかし、混雑しているお店は魅力的に感じることができ、今度行ってみようと思わせることで新規のお客様獲得につながることもあります。

動線を意識して移動しやすい設計にする

立ち飲み屋は飲食が終わったらすぐに帰るお客様も少なくないため、お酒やお料理の提供スピードが重要です。立ち飲み屋の店内は小スペースなことが多いため、移動が妨げられないように内装を工夫することも必要です。人の動きや物の配置を考え、移動がスムーズになるように内装を考えましょう。

また、調理スペースとお酒などのドリンクを提供するスペースがつながっていると、オーダーを受けてから提供するまでのスピードを上げることができます。

例えば、カウンターとキッチンの配置を近くするという方法もあります。できあがった料理を迅速に提供でき、お客様も待ち時間をあまり感じません。

客層を意識してメニューを開発する

立ち飲み屋を成功させるためには、客層に合ったメニュー開発が欠かせません。

例えば、会社員やOLが多く来る立ち飲み屋では、仕事帰りに気軽に立ち寄れる軽食メニューやおしゃれなカクテルやクラフトビールなどが人気を集めるでしょう。

一方、大学生や若い世代をターゲットにする場合は手軽に提供できるボリュームのあるメニューや飲み放題プランで注目を集めることができます。

定番メニューや日替わりメニュー、季節限定メニューなどを取り入れると、さまざまな客層の人にアプローチしやすくなります。

看板メニューで常連客・リピート客を作る

看板メニューは立ち飲み屋の魅力を引き立てる重要な要素です。おいしい料理や飲み物を提供することはもちろんですが、その他にもユニークなメニューやサービスを考えることが大切です。

常連客やリピート客を増やすためには、定番の料理に加えて季節限定メニューやおすすめの組み合わせなどを提案することがポイントです。

看板メニューは注文数が多くなる傾向にあるので、在庫管理がしやすいというメリットもあります。

まとめ

立ち飲み屋の開業は、一見難しいかもしれませんが、適切な準備とポイントを押さえることで成功する可能性を高めることができます。

一般的な飲食店よりも開業資金が少なくて済み、回転率の高さや一人客や常連客を獲得しやすいなどのメリットがあります。

本記事で紹介した開業準備を参考に、しっかりと計画して進めてください。立ち飲み屋を成功させるためのポイントもヒントになるでしょう。

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