発注業務がゼロになる!? 自動発注システムの可能性

手間のかかる発注作業、間違えたら利益損失に!

飲食店を経営する上では、利益確保が最重要課題となります。単に売上げを上げるだけでなく、廃棄ロスをなるべくなくすことも、利益確保に直結します。

そのために重要なことは、仕入れの適正化です。廃棄ロスを恐れて仕入れ量を減らし過ぎると、品切れで提供できないという機会ロスが発生します。そうしたロスも利益に直結するため、自店に適した食材の量とタイミングで食材発注を行うことが、何よりも大切になのです。

実際に発注作業を行うとなると、食材の在庫数や消費期限を細かくチェックし、記録する必要があります。この確認作業に手間と時間がかかり、勤務時間の超過につながったり、発注業務に人員を取られるケースも少なくありません。

また「これくらいでいいだろう」と、勘に頼ってしまう人もいるでしょう。さらに天気や気温、イベントなどによる客数変動で、ロスが発生する場合も大いにあります。

発注連絡はFAXやメール、☏であるケースも多いですが、手書きのミスが発生する可能性もあります。複数の業者を利用している場合、業者ごとに連絡手段が異なっていたり、発注先を間違ったり、発注をし忘れたりといった人為なミスも発生してしまうでしょう。

そのため、発注の予測精度を高める必要があるのですが、エクセルや紙の管理表で在庫数を把握するのには限界があります。

そこで近年注目されているのが「自動発注システム」です。これは、曜日や天候、季節トレンドも加味した需要予測を行い、適正な発注管理を実現するシステム。これまで発注業務に要していた時間を削減し、スタッフの負担を軽減するだけでなく、発注の際に発生する人為ミスや品切れ、食材ロスなどの防止に役立つシステムです。

AIによる高精度な予測で正確な発注を実現

株式会社Goalsが提供する「HANZO 自動発注」は、自動発注システムとして有名です。同システムは、独自のAIロジックによる高精度な発注を実現します。このAIが過去の売上げや天候、週末、祝日などを加味し、売上げ予測をベースに必要発注量を自動算出。ドラフトを自動作成するため、発注表入力の手間がなくなるサービスです。

また、祭りといった近隣のイベントや単発の飲み放題イベントなど、需要変動要素も登録できるため、その店に合った予測を立てることができます。

人為ミスを避けるためにも、発注数量の入力間違いがあるとアラートが鳴るなど、事前にミスを防止する機能もあり、安心して発注ができるようになります。

さらにロスや在庫切れ、小口購買をスタッフが入力し、共有することができる「ロス等、各種報告機能」は、情報の登録によりさらに高い発注精度につなげることが可能です。

HANZO 自動発注を活用した場合の発注時間は、83.3%削減できることが分かっています(導入企業の実績により算出)。

発注時間の大幅な短縮と心理的負担の軽減

実際に導入した、関東圏を中心に100店超を展開する居酒屋チェーンでは「発注作業の負担軽減につながっただけでなく、発注のプレッシャーからも解放された」と評価しています。

発注は教育も標準化も難しい分野のため、経験値から食材の過不足を判断できる人もいれば、とりあえず全部取っておこうという人もいたそうです。すべて“なんとなく”で発注が行われていたわけです。結果どうなったかというと、過剰発注による廃棄ロスをはじめ、食材を廃棄させないための仕込み作業の増大、さらに食材や仕込んだものを置いておくためのスペース圧迫による、オペレーションの非効率化などが発生したのです。

また、以前は株式会社インフォマートの発注システム「BtoBプラットフォーム」を活用していました。棚の食材の在庫数を確認してメモを取り、パソコンに数値を打ち込むという作業を行っていました。

HANZO 自動発注は、スマホでも入力ができるというメリットもあります。厨房とパソコンの置き場が離れている場合、メモをし忘れたときなど、いちいち厨房に戻って確認してといった往復の必要もあるでしょう。前述の企業では、パソコンがレジ横にあったため、レジ業務と並行しなければならず、集中できないという難点もありました。スマホで入力ができるということは、空いた時間に厨房で確認しながらの作業ができるようになります。

また、発注表が自動作成されるのも大きなメリット。担当者は在庫確認をしつつ、発注数が適正であるかをチェックするだけと、作業負担が大幅に軽減されました。

発注は、だいたい23時までに連絡をしなければならないケースが多いと思います。そのため、居酒屋では営業中に作業を行う必要があります。この居酒屋企業でも、発注担当のスタッフが1人抜けることで、一時的な人員不足が発生していました。しかし、発注作業が軽減されたことでお客様と向き合う時間が増えたり、他スタッフに休憩時間を与えられるなど、副次的な効果を生んでいます。

同システムの導入により、現場スタッフからは「発注作業を任されるプレッシャーから解放された」という声も上がっています。発注作業をアルバイトに任せていた店舗も多く、品切れや過剰在庫の発生などがアルバイトの責任になってしまうため、心理的負担を感じているスタッフも少なくなかったようです。AIの予測で、自動で発注表が作成されることから、担当者が負担を感じることなく、誰でも発注作業ができるようになりました。

さらに、適正な発注数が見えたことで、これまで仕入れ過ぎていた食材が分かるなどの効果もあったようです。

導入した居酒屋企業では、これまで発注作業に45分かかっていましたが、HANZO 自動発注によって5分で終わるようになりました。さらに発注精度も大きく向上し、利益確保にも結実しています。

自動発注のタイミングを残数や残量で計測

もう一つ、ユニークな自動発注システムが、「スマートマットクラウド」です。これは、BtoBプラットフォーム受発注と「IoT機器スマートマット(以下、スマートマット)」を活用した、受発注自動化サービス。商品の重量や数量で在庫管理を行い、不足してきたら自動で発注するシステムです。

まず、生鮮食品や消耗品、備品など、BtoBプラットフォーム受発注を利用して自動発注したい商品を、スマートマットの上に置きます。このスマートマットが定期的に残量・残数を計測し、自店で決めた発注点を下回ったら、自動で発注を行います。

さまざまな飲食店でも活用が進んでおり、例えば日本酒専門店では、日本酒ごとにスマートマットを活用。100種類以上の日本酒の液体残量を確認しています。銘柄ごとに残量をグラフ化する消費データもあるため、人気の銘柄が分かり、次の仕入れを検討する際に有効です。

このスマートマットは、特に日々在庫チェックをしない洗剤やおしぼり、割り箸などの消耗品の在庫チェックにも役立ちます。こうした消耗品は、厨房やバックスペースの奥にストックしている場合も多いでしょう。棚卸しの際に在庫チェックすることと思いますが、スマートマットクラウドを使えば、消耗品の在庫管理をする必要がなくなります。あまりチェックする機会のないものこそ、こうした自動発注システムを使うメリットは大きいでしょう。

「そういうシステムは複数店を経営するチェーン店向け」と考える人もいると思います。しかし、自動発注システムは1〜2店の個人店の利用率も、高い傾向にあります。

発注業務の作業負担を軽減することは、飲食店の本来の業務である接客や調理、商品開発に時間を投じることができるようになるのです。

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