メニュー開発の手順とポイント

どのようなメニューをラインナップするかは、お店の集客を左右するとても重要な要素の一つです。しかし、どんな料理を、どのくらいラインナップするかは原価やオペレーションなども絡んでくるため、どう決めていくか難しい問題でもあります。とはいえ、メニュー表から自分の食べたい料理を選ぶことは、飲食店ならではの楽しみです。うまく提案することで、お客様満足度も向上し、選ばれる店づくりにもつながってくるでしょう。そこで今回は、どのようなメニューをいくつラインナップすべきかをはじめ、メニュー構成の要点や、開発の手順などについて解説していきます。

メニュー開発で大切なコンセプト

料理の方向性を決める上で、非常に重要なのがターゲットを明確にすることです。ターゲットは、コンセプトをまず明確にすることで導き出されます。

コンセプトは端的にいうと、お店の方向性のことです。お店の軸となり、お客様を呼び込むメッセージにもなる重要な役割を果たします。コンセプトを象徴するものは、看板メニューに他なりません。それをどのような空間で、どんなお客様に提供して、どういった気分を味わってほしいかを考えることで、コンセプトが明確になるとともに、どのようなお客様に来店してほしいかも決まります。それがどんなメニューを用意すべきかの基準にもなるので、最初にぜひコンセプトを明確にしてみてください。

ラインナップすべきメニュー数は、業種・業態によってさまざまな違いがあります。お客様の属性や、来店頻度をどのくらいで設定するかでも大きく変わってくるでしょう。また、シフトに入れる人数やオペレーションはもちろん、お店で活用できる調理器具の数や質によっても変わってきます。ただ基本的に、メニューを選べることは飲食店の価値です。もし居酒屋で20品くらいしかメニューがなかったら、グループで行った場合、すぐに全品をオーダーし尽くしてしまうでしょう。下手をすると、同じ商品を何回もオーダーせざるを得えず、体験としてあまり価値の高くないものになってしまいます。ですので、1回の来店で飽きさせず、かつお店の体験価値を十分に伝えられるような数はそろえた方がいいでしょう。

メニューのラインナップを決める上で、食材から逆算をしていく方法は有効な手段の一つです。同じ食材から、複数のメニューを考案できたら、原価を抑えることができ、オペレーションの負荷も減らすことができます。注意すべきなのは、お客様に同じ食材を使っていると勘づかれてしまったら、お店の価値が軽減してしまうことです。煮る、蒸す、焼く、炒める、揚げるなど、調理方法や見せ方を変えて、一品一品の料理に価値づけを行っていきましょう。また、グランドメニューだけでなく、季節別のメニューの提案を行うことも効果的です。旬のものをおいしく食べられることは、飲食店ならではの価値の提供になります。ぜひ積極的に提案を行っていってください。

最も大切なのは、お客様を飽きさせないことです。飽きてしまうと、「このお店はこんなものか」となってしまい、再来店されることはありません。コンセプトを踏まえた上で、ターゲットとするお客様がどうすれば喜ぶか。その軸をぶらさずに開発を行っていきましょう。

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うまくいくメニュー開発のステップ

メニューを試作してから、実際にお客様に提供するまでは、できるだけ多くの方に食べてもらいましょう。家族やスタッフ、常連など、多くの人の口で判断されることで、メニューがブラッシュアップされます。中には、自分自身では気が付かなかった点を指摘してくれる人もいるかもしれません。例えば、大手飲食チェーンだと、料理の試作に何人もの人が携わったり、テストマーケティングをしてお客様の評判を確かめたりした上でリリースしています。それでも売上の芳しくないメニューが生まれることがあるほど、メニュー開発は簡単ではありません。現在は、SNSなどでの写真映えも、料理に求められる要素の一つです。どんな料理がSNSで流行っているかは、若い世代の方が知っていたりします。ぜひいろいろな人の協力を得て、お客様からの支持を集めるメニューを開発してください。

メニューとして提供する前に、たくさんの人の口を通ることはリスク軽減にもなります。もし一人で料理を開発して、いまいちの料理を提供してしまっても、お客様から直接クレームを言われることはないでしょう。その代わり、グルメサイトやGoogleに悪い口コミを書かれてしまう危険性はあります。そうした口コミは、一度書かれたら消すことはなかなかできません。インターネットでお店探しをすることが当たり前になった今、「料理のいまいちなお店」というレッテルをつけられてしまうことはかなりの痛手です。そうした事態に陥らないためにも、試作は念入りに行った方がいいでしょう。

実際にメニューとして提供した後は、ABC分析が重要になります。この分析法は、アイテムを売上や貢献度に基づいてA(最も売れている)、B(平均的な売れ行き)、C(売れ行きが低い)の三つのカテゴリに分類します。ABC分析をした結果、実際に出ていると思っていたメニューがそうでもなかったり、意外なものが人気メニューだったりすることも珍しくありません。お客様がお店に何を求めているかを読み取ることができる貴重な機会ですので、ぜひ定期的にABC分析を行ってください。ただ、それぞれのメニューの出数などを手作業で集計するのは非常に手間と時間がかかります。日々の営業に追われて、後回しになってしまうこともあるでしょう。そうした場合は、テクノロジーを活用してみるのも一つの手段です。ひと昔前まで、レジというと、大きな筐体のいわゆるガチャレジが主流でした。しかし、現在は手頃な価格で導入できるタブレット型のPOSレジが増え、多くの飲食店で活用が進んでいます。中には、ABC分析を自動で行ってくれるサービスもあるので、ぜひ活用を検討してみてください。

値決めとコスト管理のポイント

値決めは、飲食店の経営を成功させるため、とても重要な要素です。価格に敏感なお客様も多くいるため、ライバル店との少しの価格差が来客数に影響を及ぼします。一方で、原材料費や賃料、人件費とコストの高騰が続いているため、低すぎる価格をつけるわけにもいきません。

価格を決めるとき、まず残したい利益から計算すると、スムーズに値づけができるでしょう。もし10%の利益率のお店にしたかったら、そこに家賃や人件費の割合を乗せていくと、おおよそ掛けられる原材料費が決まってきます。家賃比率は10〜15%、人件費率は25〜30%が相場です。光熱費をはじめとした諸々の経費も加えれば、より実態に沿った原材料費を割り出せるでしょう。なお、原材料費率は、業種、業態によって変わってきますが、おおよそ25〜35%くらいになると思います。

ただ、原材料費率は、算出して終わりではありません。その後、適正な比率に収まっているかコントロールが必要です。そうしないと、売上が伸びているにもかかわらず、原価率が高騰していて利益が出ていなかったということになり兼ねません。大切な利益です。だからこそ、理論原価ではなく、実原価を大切にしていきましょう。

とはいえ、全てのメニューの原材料費を日々追いかけていくのはなかなか大変です。そこで、ここでもテクノロジーの活用を検討してみてください。コストをしっかりと仕分けして入力をしていけば、原価計算までしてくれるレジもあります。最低でも月に1回は原材料材比率を計算して、しっかりと利益がでるお店になっているかどうか確認をしていきましょう。

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