中華料理店成功の鍵!内装作りのポイントと費用を徹底解説
中華料理店の開業において、内装作りは成功を左右する重要な要素です。魅力的な内装は、お店の個性を表現し、お客様の満足度を向上させます。しかし、理想の内装を実現するためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
この記事では、中華料理店の内装作りのポイントや、おすすめの内装デザインを工事費用の相場とともに解説します。
中華料理店の内装作りのポイント
中華料理店の内装を考えるうえで抑えておきたいポイントは以下のとおりです。
高火力が出せる厨房施設を導入する
中華料理では、高温の油で一気に炒める調理法が多く用いられます。そのため、強火調理が可能な、高火力が出せる厨房設備の導入が不可欠です。
中華料理店の厨房には、高火力な中華レンジの導入がおすすめです。中華レンジは、主にガス式とIH式の2種類に分けられます。ガス式は、導入費用が比較的安価ですが、日々の手入れに手間がかかります。一方、IH式は、導入費用は高めですが、手入れがしやすく、安全性にも優れています。
吸排気設備にこだわる
飲食店では、店内のにおい・煙・熱などをお店の外に出すために、吸排気設備が必要です。
特に、中華料理店ではニンニクや油を多く使用するため、強力な吸排気設備が不可欠です。
排気口の高さや向きにも配慮し、油汚れが蓄積しないよう、定期的なメンテナンスを行いましょう。
グリストラップを設置する
中華料理店では大量の油を使用するため、厨房排水に含まれる生ゴミや油が、下水道へ直接流出するのを防ぐ「グリストラップ」の設置が義務付けられています。グリストラップは、排水から生ゴミや油を分離、収集し、一時的に貯留する設備です。
グリストラップ内に溜まったゴミを放置すると、悪臭や害虫の発生、排水管の詰まりや逆流の原因となるため、定期的な清掃が必要です。
厨房とホールの間にエアカーテンを設置する
調理中に飛散する油は、店内の床や壁に付着し、ベタつきの原因となります。厨房とホールの間にエアカーテンを設置することで、油の飛散を抑えることが可能です。さらに、汚れが付きにくく、油を吸収しにくい素材を内装に使用することで、ベタつきを軽減できます。
また、ガラス張りのオープンキッチンにすることで、調理風景を見せ、ライブ感を演出することも効果的です。中華鍋から立ち上がる炎など、中華料理ならではのダイナミックな調理風景は、お客様の期待感を高め、食事の満足度向上に繋がるでしょう。
中華料理店のおすすめ内装デザイン
ここからは、中華料理店におすすめの内装デザインのイメージを紹介します。
オリエンタル
オリエンタルは東方という意味です。欧米文化とは異なる、東洋の民族的なイメージを感じさせるデザインを指します。
建具の模様やクロスの配色、東洋の国々で使用される家具や小物などでオリエンタルな雰囲気を演出することができます。特に中国で演技が良いとされる赤色や金色は、中国風のイメージを感じさせます。
クラシック
中国製のアンティーク家具、伝統的な格子や扉、絵画、彫像などは、重厚でクラシカルな雰囲気を演出します。格式高い高級中華料理店などに適したスタイルです。
モダン
モダンスタイルは、現代的で洗練されたインテリアを用いた内装デザインです。直線的なフォルムや無機質な素材をベースに、透かし彫り、伝統工芸品、ディスプレイなどの中国美術の要素をアクセントとして取り入れることで、中華料理店ならではの雰囲気を演出できます。
ゴージャス
煌びやかな装飾を施した豪華な雰囲気は、中華料理店のイメージにマッチします。大理石や天然木などの上質な素材を使用することで、ゴージャスでラグジュアリーな空間を演出できます。クラシックスタイルと同様、料理の質とサービスにこだわる、高級中華料理店などに適しています。
シック
上品で落ち着いた雰囲気を演出するシックスタイルは、洗練された高級感を表現できます。グレー、ブラウン、深みのあるパープル、ダークレッドなど、落ち着いた色合いを基調とします。さらに、照明にもこだわることで、より洗練された空間を演出できるでしょう。
中華料理店の内装デザインで意識すべきポイント

中華料理店の内装をデザインする場合、意識すべきポイントは以下のとおりです。
中華風の調度品を飾って雰囲気を作る
料理の味だけでなく、店舗の居心地や雰囲気も、お客様の満足度を大きく左右します。視覚的な演出は、お客様に特別感や満足感を与えるための重要な要素です。お客様に感動を与え、リピーターになってもらうためには、総合的に満足度の高い飲食体験を提供することが重要です。そのため、中華料理店としてのコンセプトを明確に表現した内装デザインが求められます。
中国格子、壺、龍や仏像の置物など、中華風の調度品を効果的に配置することで、中華料理店ならではの雰囲気を演出できます。これらの調度品は、空間にアクセントを加えるだけでなく、内装全体の統一感を高める効果も期待できます。
内装の照明や色にもこだわる
照明は、内装の雰囲気を大きく左右する重要な要素です。形状、明るさ、光の色などを効果的に組み合わせることで、空間の印象を自在に演出できます。
例えば、吊り下げ式のペンダントライトは、空間におしゃれなアクセントを加えます。一方、シャンデリアは、豪華な雰囲気を演出したい場合に効果的です。また、フロアスタンドライトは、広い範囲を照らすことができるため、客席や店舗の入口付近に設置されることが多く、空間の用途に応じて、上向きに天井を照らすタイプと、下向きに床面を照らすタイプを使い分けます。
さらに、照明の色(色温度)も重要なポイントです。例えば、暖色系のやわらかな光は、温かみや居心地の良さを演出する効果があります。中華料理店では、一般的に昼白色から昼光色の照明が用いられます。これらの照明は、中華料理店の内装で多用される「赤」を鮮やかに見せる効果があります。また、料理をより美味しそうに見せ、彩りを楽しませたい場合にも効果的です。特に、大衆向けの中華料理店では、シンプルな昼白色の蛍光灯が用いられることが多く見られます。
さらに、飲食店の内装においては、色彩が持つ心理的効果も考慮する必要があります。例えば、赤やオレンジなどの暖色系の色は、一般的に食欲を増進させる効果があると言われています。多くの中華料理店で「赤」が多用されているのは、そのためです。ただし、店舗全体のイメージとの調和も考慮し、椅子の背面や壁の一部など、部分的に赤を取り入れるなど、お店のコンセプトに合わせた配色を検討しましょう。
日本人の好みの内装を意識する
ターゲット顧客が日本人の場合、日本人の好みや使い勝手を考慮した内装デザインを意識することが重要です。本格的な中国の内装をそのまま取り入れることも一つの選択肢ですが、日本人の生活様式やマナーに配慮しなければ、居心地の悪さを感じさせてしまう可能性があります。
例えば、中華料理の定番ともいえる回転テーブル(ターンテーブル)は、本場中国では一般的ですが、日本では馴染みが薄く、場所を取るため、設置しないという選択肢もあります。一方、高級中華料理店では、十分なスペースを確保したうえで回転テーブルを設置することで、本場の雰囲気を演出できるでしょう。
壁や床は汚れが目立ちにくい工夫をする
清潔感は、中華料理店に限らず、全ての飲食店において重要な要素です。特に、中華料理店は油を多く使用するため、床や壁がベタつきやすくなります。そのため、汚れが目立ちにくく、掃除しやすい素材や色を内装に採用し、こまめな清掃を心がけ、清潔な空間を維持しましょう。また、アンティークの調度品や装飾品は、掃除が難しい場合があるため、導入する際には注意が必要です。

中華料理店の内装工事費用について
中華料理店を開店する場合の内装工事費の相場はどのくらいでしょうか。
中華料理店の内装工事費用の相場
独立行政法人中小企業基盤整備機構の資料によると、繁華街などの駅前周辺に、35坪45席の中華料理店を開業する場合、内装工事費の目安は約520万円とされています。さらに、厨房設備工事費が約180万円、空調設備費が約200万円、什器・家具・その他の費用が約150万円と試算されています。
内装工事費用を検討する際には、以下の点に注意しましょう。
- 出店予定地の家賃や保証金が、周辺相場と比較して妥当か
- 飲食店の内装・外装工事の経験が豊富な工事業者を選定しているか
- 複数の工事業者から見積もりを取り、工事費用の妥当性や相場を把握しているか
- 調達可能な資金の範囲内で、内装工事費用が収まっているか
- 開業時の広告宣伝費や運転資金を確保しているか
店舗規模や資金計画に基づき、内装や設備を検討することが重要です。開業後に資金不足に陥らないよう、内装工事費用は慎重に見積もりましょう。
内装工事費用を安く抑えるコツ
内装工事費用を抑えるためには、スケルトン物件よりも居抜き物件の活用が効果的です。スケルトン物件とは、内装が何もない、いわゆるコンクリート打ちっ放しのような状態の物件です。一方、居抜き物件とは、床、壁、厨房、トイレなど、主要な設備が以前のテナントから引き継がれている物件を指します。居抜き物件の中には、すぐにでも営業を開始できる状態のものや、一部の内装のみが残っている「一部居抜き」物件も存在します。
スケルトン物件は、自由度の高い内装デザインを実現できますが、内装工事費用が数百万円以上かかることも珍しくありません。一方、居抜き物件を利用すれば、内装工事費用を大幅に削減できる可能性があります。ただし、設備や機器の造作譲渡料が発生する場合もあるため、新規で購入するよりも費用を抑えられるかどうか、事前に確認することが重要です。また、譲渡される設備の内容、内訳、価格の妥当性についても、十分に確認しましょう。
厨房設備を中古品で揃えることで、開業費用を削減できる可能性があります。特に飲食店の場合、状態の良い中古厨房設備が市場に多く流通しています。中には、使用期間が1年未満の良品が見つかることもあります。しかし、中古品はメーカー保証が切れている場合が多く、故障した際の修理費用が高額になるリスクがあります。そのため、冷蔵庫のようにモーターが搭載されている機器は、新品もしくはリースでの導入を検討するのも良いでしょう。
中華料理店の内装作りの注意点
中華料理店の内装を設計する際には、店舗のコンセプトとデザインが一致しているか、常に確認しながら進めることが重要です。コンセプトが不明瞭なまま内装工事を進めてしまうと、一貫性のない店舗空間となり、お客様にお店の魅力や特徴が伝わりにくくなります。お客様に愛されるお店にするためには、明確なコンセプトに基づいた、統一感のある内装デザインを心がけましょう。
コンセプト設計と同様に重要なのが、効率的な動線計画です。従業員の動線がスムーズでないと、混雑時に、お客様へのサービス提供が遅れてしまう可能性があります。特に、以下の点に注意して動線を設計しましょう。
- お客様の入店から着席までの通路幅と長さ
- 従業員の作業効率を高める、キッチンとホールの位置関係
- エントランス付近が混雑しないような、会計スペースや待合スペースの配置
- トイレやパウダールームの面積、位置、数
まず、レジの位置を決定することで、他の設備レイアウトを決めやすくなります。
まとめ
中華料理店の内装を成功させるためには、まず、高火力な調理が可能な厨房設備を導入することが重要です。さらに、照明、色彩、調度品などを効果的に活用し、店舗のコンセプトに沿った雰囲気を演出しましょう。
内装デザインのスタイルは、お客様に与えたい印象に基づいて決定します。美味しい料理はもちろん、内装デザインにもこだわることで、お客様の満足度を高め、記憶に残る食事体験を提供できます。それが、結果的にお店の評判を高め、リピーター獲得に繋がるのです。
明確なコンセプトに基づき、一貫性のある内装デザインを心がけ、お客様に愛される中華料理店を目指しましょう。
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