バーの内装をおしゃれにするには?デザインのポイントや失敗しないためのポイントを解説

バーの内装をおしゃれにするには?デザインのポイントや失敗しないためのポイントを解説

バーでは、商品の質だけでなく、内装デザインも「また来たい」と思わせる重要な要素です。

そこで今回の記事では、バーの内装をおしゃれにするための考え方や失敗しないためのポイント、内装工事の費用について解説していきます。

おしゃれなバーを作りたい方や、どうすればおしゃれな雰囲気になるのか悩んでいる方もぜひ参考にしてみてください。

バーの内装をおしゃれにするには

おしゃれな内装は、多くの人が好むものです。経営者視点で見ると、内装デザインには集客や売上アップにつながる具体的なメリットがあります。

まず、お客様に「おしゃれなお店だな」と感じてもらえると、リピート率が高まるとともに人伝いで新規顧客の獲得にもつながります。また、店舗内の様子やメニューがおしゃれだとSNSで画像や情報がシェアされて広がる可能性も高まるでしょう。

雑誌やインターネットへの広告掲載には費用がかかります。しかし、お客様が良い口コミを拡散しやすい環境を作ることで、広告費を抑えながら知名度アップを狙えます。

さらに、内装が洗練されていると、お客様が特別な場所と感じやすく、ブランド力の向上・競合店との差別化にもつながるはずです。加えて、内装がおしゃれで心地良い店舗は、お客様の滞在時間が延びる傾向があるため、追加注文による売上増加も期待できます。

内装をおしゃれにするためには、まずバーのコンセプトを明確にすることが重要です。ターゲット顧客や提供したい体験を具体化し、コンセプトに基づいたデザインを選びましょう。コンセプトのヒントとなるバーの種類については後述します。

大まかな方向性が決まったら、次に具体的な内装デザインを詰めていきます。先に方向性を決めることで、店舗の基調となる色彩や照明のバランスも考えやすくなるはずです。そこから、その色調や照明の雰囲気に合ったテーブルや椅子を選ぶというように、大枠を決めて徐々に小さい部分を決めていくと全体の統一感が出しやすくなるでしょう。

主なバーの種類

一口にバーといっても、ターゲットとする客層や店内の雰囲気・提供するメニュー内容などによりいくつかの種類に分けることができます。

自分が目指すバーがどの種類に近いのか知ることも内装のヒントになるため、ここでは主な5種類のバーについて特徴を紹介します。

オーセンティックバー

オーセンティックバーとは、「本物」「正統派」を意味する「オーセンティック」を冠した、落ち着いた雰囲気の中でお酒そのものを楽しむことを重視したバーです。

深い色味の木材やレザーを使用した重厚感のある内装が多く、お酒に関する専門的な知識やカクテルを作る技術を持ったバーテンダーが在籍します。一人または少人数で来店するお客様が多く、若年層よりも中高年を中心に好まれる傾向があります。

ショットバー

ショットバーとは、ワンショット(1杯)から気軽に楽しめるバーのことです。ボトルキープが主流だった時代に生まれた名称で、短時間でも気軽にお酒を楽しめるカジュアルさが特徴です。現在では、居酒屋でも1杯ずつ注文するのは一般的ですが、ショットバーはよりカジュアルな雰囲気を楽しめます。

店舗は小さめのスペースを活用することが多く、内装にはデザインのシンプルさと機能性が求められます。価格や雰囲気のハードルが低いため、若い世代を中心に幅広い層の来客が期待できるでしょう。

スタンディングバー

スタンディングバーはショットバーの一種ともいえますが、椅子を設置せず立ったまま飲食を楽しむスタイルが特徴のバーです。

内装の雰囲気はさまざまですが、短時間の利用を想定したデザインが特徴で、特にビジネス街や駅近くでの営業に向いています。お客様一人あたりに必要なスペースや備品も少ないため、初期投資を抑えやすい形態でもあるでしょう。

ダイニングバー

ダイニングバーは、食事とお酒の両方を楽しめるバーです。食事の提供を重視するため、他形態のバーよりも広いキッチンスペースが必要となります。また、お客様の滞在時間が長くなる傾向にあるため、照明や家具にこだわった、リラックスできる空間作りが重要です。複数人や団体での利用が多いため、ボックス席を設けるほか、レイアウト変更が可能な内装にしておくと良いでしょう。

コンセプトバー

コンセプトバーは、内装、接客、メニューなどに、特定の世界観や文化に基づいた統一感を持たせたバーです。例えば、監獄を模した内装の「監獄バー」、その他「ホラーバー」「学校バー」などがあります。

また、動物と触れ合えたりプラネタリウムを設置したりと、同じ趣味や好みを持つお客様が集まるようなコンセプトをもとにしている店舗もあります。このようなバーは、SNS映えする内装や商品を撮影できる場所として注目される可能性が高く、話題性が強みになります。

バーの内装を決める前にやるべきこと

バーの内装を決める前にやるべきこと

具体的な内装デザインを決める前に、収納スペースの確保とカウンターの配置を検討しましょう。これらは、スタッフの作業効率とお客様の居心地を大きく左右する要素です。デザイン性を考慮する前に、しっかりと検討しましょう。

グラスやボトルの収納スペースの確保

グラスやボトルを収納するスペースの確保は、機能性・見た目の美しさの両方につながるため重要です。まず、カウンターでの作業導線をイメージし、適切な収納スペースを設けることで、作業効率が向上し、サービスの質も高まります。

また、お客様の視点から見ると、整頓されたグラスや作業効率は清潔感・店舗の質の高さといったイメージにも結び付くでしょう。なお、グラスやボトルはすべてを収納する必要はなく、特にボトルはあえて見える場所にディスプレイすることでメニューの役割を果たしてくれます。

ボトルや銘柄がお客様の視界に入りやすいと「このお店ではこういうお酒が飲めるんだな」と注文にもつながるため、収納スペースの検討と、どこまでを見せるかも内装を考える前に決めておくと良いでしょう。

バーカウンターの配置の設定

バーカウンターは、バーの中心となる存在です。配置を決める際には、位置と高さに注目しながら、スタッフとお客様の両方の視点で設計しましょう。

まず、バーカウンターの位置は、スタッフの作業導線を最優先に考え、効率的に作業できる場所に配置することが重要です。また、お客様がカウンター席を利用する際、他のお客様の動線の妨げにならないか、出入口との位置関係は適切かなど、お客様の快適性も考慮して配置を検討しましょう。

次に、バーカウンターの高さは、ターゲットとする客層、想定される滞在時間、店舗のスタイルなどに合わせて決めます。例えば、長時間の滞在が予想される場合や、幅広い年齢層のお客様にゆったりと過ごしてもらいたい場合は、椅子に座った状態で足が床に付くローカウンター(高さ70cm前後)が適しています。

一方、短めの滞在時間を想定している場合や、スタッフとお客様とのコミュニケーションを重視している場合にはミドルカウンター(高さ85cm前後)やハイカウンター(高さ100cm前後)が良いでしょう。この高さは立って作業をしているスタッフとも目線の高さが近いため、親しみやすく圧迫感が少ない印象になります。

なお、ハイカウンターはスタンディングバーにもおすすめの高さです。

バーの内装をおしゃれにするポイント

上記のような基本的な配置を決めたら、いよいよ内装を考えていきます。店舗の方向性によりおしゃれ感を出す具体的な方法は異なりますが、まずはこれから紹介する5つのポイントを押さえながら内装を考えていきましょう。

コンセプトに合わせたデザインの統一

バーのコンセプトに基づき、デザインに統一感を出すことで、お客様は、店舗の世界観に没入しやすくなります。

コンセプトバーのように特殊な方向性の店舗に限らず、体験してほしい雰囲気やモデルとするスタイルを確立してから内装を考えることで、お客様に一貫性のある体験を提供できるでしょう。

カウンターの高さの調整

カウンターの高さは、お客様の居心地だけでなく、スタッフとの距離感にも影響します。前述したカウンターの高さごとの特徴を参考に、コンセプトに合わせて椅子とカウンターの高さを調整しましょう。

また、カウンターの幅も十分に確保し、お客様とスタッフがゆとりを持って利用できるスペースを用意しましょう。

照明の明るさや配置による雰囲気作り

照明は、バーの雰囲気を決定づける重要な要素です。やわらかな間接照明やスポットライトを効果的に配置することで、空間に奥行き感を与え、より魅力的な印象を演出できます。

例えば、間接照明を活用することでやわらかな雰囲気を演出し、リラックスできる空間を作ることができます。また、スポットライトを使って特定のエリアを強調し、視覚的なアクセントを加えることも効果的です。

さらに、調光可能な照明を採用することで、時間帯やイベントに合わせた空間演出も可能になります。BGMにもこだわる場合は、音響設備の配置も考慮する必要があります。

立地に合わせたデザインの設計

バーの立地条件に合わせた内装デザインを検討することは、お客様のニーズを満たすために重要です。例えば、観光地にあるバーであれば、地元の文化や特産品を取り入れたデザインが効果的です。一方、ビジネス街では、モダンで洗練されたデザインが好まれる傾向があります。周辺環境や客層との調和を意識しながら、オリジナリティあふれる内装を目指しましょう。

ドリンクメニューの検討

一般的に提供の多いドリンクを取り揃えることも大切ですが、内装や季節と連動した独自性のあるメニューを提供することで、他店との差別化が図れます。

例えば、季節感のある限定のメニューや、テーマに沿った酒類を使ったカクテルを提供することで、お客様に特別感を与えたり「ほかの季節も来てみたい」と感じてもらえたりする可能性があります。

また、限定メニューを考案した経緯やドリンクのプレゼンテーションも大切です。こだわった内容がお客様に伝わることで、つながりのあるメニューの追加注文が期待できるほか、SNSでも取り上げられやすくなるでしょう。

バーの内装デザインで失敗しないためのポイント

バーの内装デザインでのよくある失敗例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 統一感のない雰囲気
  • ターゲット顧客や地域制と合わない雰囲気
  • スタッフにとって使いにくい動線や設備
  • お客様にとって居心地の悪い空間
  • 予算をオーバーした内装計画

このような失敗を避けるためには、まず、明確なコンセプトに基づき、統一感のあるデザインを心がけましょう。また、バーの雰囲気が、地域の特性やターゲットとする客層に合っていないと、新規顧客の獲得は難しくなります。事前に、地域性や顧客ニーズを十分に調査し、ターゲットに合わせた空間作りを行いましょう。

さらに、スタッフが効率的に働ける動線設計も重要です。使いにくい動線や設備は、作業効率を低下させ、サービスの質にも悪影響を及ぼします。実際の作業動線をシミュレーションしながら、機能的なレイアウトを考えましょう。

一方で、お客様の快適性を高めるためには、椅子の高さや座り心地、照明の明るさや位置、BGMの音量や音質などに配慮する必要があります。内装を検討する段階で、お客様の視点に立って考えるだけでなく、営業開始後もお客様の意見を参考に、空間を改善していくことが重要です。

なお、ここまでは完成後の失敗に対する対策を解説してきましたが、内装計画が予算オーバーとなるケースも少なくありません。工事中に想定外の出費が発生する可能性もあるため、初期段階で入念なコスト管理を行い、余裕を持った予算計画を立てておきましょう。

バーの内装工事にかかる費用

上記のとおり、バーの内装では利便性・快適性・雰囲気だけではなく予算面もしっかりと検討しておく必要があります。最後に、バーの内装工事にかかる費用の目安と、費用を抑える方法について解説します。

バーの内装工事費の相場

バーの内装工事費用は、規模、デザイン、使用する素材などによって大きく異なります。シンプルな内装であれば500万円程度で済む場合もありますが、こだわりのある内装にする場合は1000万円以上かかることも珍しくありません。

内装工事費用の目安は、1坪あたり20〜80万円程度です。例えば、20坪の店舗であれば、内装工事費用は400〜1600万円程度になります。さらに、キッチン、バーカウンター、冷蔵庫、製氷機などの設備費用として、100〜300万円程度を見込んでおく必要があります。

他店との差別化を図る上で、内装デザインは非常に重要です。内装デザイナーに依頼する場合、設計費用として50〜100万円程度かかるのが一般的です。ただし、デザイン費用は、設計の複雑さやデザイナーによって大きく異なります。さらに、照明器具、壁面装飾、家具などのインテリアを揃えるために、50〜150万円程度の費用がかかります。

バーの内装工事費を抑える方法

内装工事費用を抑えるためには、いくつかの方法があります。まず、物件選びの段階では、設備、什器、家具などがそのまま利用できる居抜き物件を探すことで、初期費用を大幅に削減できます。

また、内装デザインや工事については、複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討することで、適正価格で依頼できる可能性が高まります。ただし、価格だけでなく、バーの内装工事の実績や経験が豊富かどうかも確認することが重要です。

居抜き物件ではない場合や、新たな什器や家具が必要な場合でも、中古品やリース品を活用することで、費用を抑えることが可能です。また、壁の塗装や簡単な装飾など、DIYで対応可能な部分を自分で行うことで、工事費用をさらに削減できます。

すべての費用を抑えるのではなく、必要な部分と妥協できる部分を明確にしておくことも必要です。絶対に必要と考えている部分にはしっかりとお金をかけながら、妥協できる部分を節約すれば限られた予算を効果的に配分しやすくなります。

まとめ

バーをはじめとする飲食店では、メニューや接客だけでなく、内装デザインも新規顧客やリピーター獲得に大きく影響します。

より多くの方にお店での飲食を心地良く楽しんでもらうために、おしゃれで魅力的な店舗になるよう計画してみましょう。

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