ラーメン屋の開業資金はいくら?資金の調達方法や節約するコツについても解説
ラーメン屋は行列ができているお店も多く、麺や味付けにこだわって自分のラーメン屋を開業したいと考える方もいらっしゃるでしょう。ラーメン屋の開業を目指す方にとって、開業資金がいくらかかるのか気になるところではないでしょうか。
今回は、新しくラーメン屋を始めたいと考える方に向けて、開業資金の目安や資金の調達方法、資金節約のコツをお伝えします。
ラーメン屋の開業資金はいくら?
お店を始める際にかかる初期費用には、開業する場所の物件費やお店の内装・外装工事費・棚やテーブルなどの什器備品、設備費用、食器などの備品、開業後6ヶ月分の運転資金・登録料とさまざまな費用がかかってきます。
これらの費用がどのくらいかかるかは、お店の規模や立地、業態などでも変わります。2024年には、昨今の経済状況から材料費が高騰し、初期費用が1,000万円以上かかるケースが多いため、費用を総合的に考慮し、開業前にしっかりと計画を立てることが成功の鍵となります。
物件の取得費用
ラーメン屋は小さなスペースでも開業できるため、物件の取得費用には幅があります。
例えば、個人で自宅を店舗にしてラーメン屋を開業する場合、物件の取得費用はかかりません。一方、店舗を借りるか購入する場合には、敷金や礼金、数ヶ月分の家賃を最初に支払う必要があります。賃貸であれば、管理費や光熱費が含まれることもあります。
また、土地を購入して一からお店を開く場合には、登記費用や不動産手数料なども考慮しなければなりません。
これらの要素を踏まえ、どの場所でどのような形で開業するかを考えると良いでしょう。
内装・外装工事費
飲食店の経営は食品衛生の安全を保つために、内装や外観に関する規定があります。具体的には、調理場の設置に加え、手洗いのための水場や火を使うための防災設備を整える必要があります。このような衛生基準を満たすためには、内装や外装の工事が必要になります。
ラーメン屋の内外装は、スケルトン物件で一から工事をする場合、工事費用は500〜1,000万円程度かかることもあります。
什器費
飲食店の運営に欠かせない「什器(じゅうき)費」には、以下のようなアイテムが含まれます。
- 製氷機
- 食器洗浄機
- テーブル
- 椅子
- カウンター
- 棚やラック
- 作業台
新品の什器を用意すると500万円程度かかりますが、運営に問題なく使用できれば良いため、すべてを新品にする必要はありません。中古品やレンタルを活用することで、コストを抑えることもできます。
厨房の設備費
厨房の設備費は、厨房で調理を行う際に必要な設備の費用を指します。
具体的には、以下のアイテムが含まれます。
- ガスレンジ
- オーブン
- ボイラー
- 冷蔵庫
- 冷凍庫
- フライヤー
- シンク
- 手洗い場
一般的に200〜250万円が目安とされています。什器費と同様に、専用のリサイクルショップなどを利用してみるのもひとつの方法です。
食器・調理道具・備品費
食器や調理器具、備品には以下のものが考えられます。
- お玉
- ボール
- 湯切りのザル
- まな板
- 包丁
- 食品カッター
- 計量器
- ラーメンどんぶり
- コップ
- 調味料入れ
- 割りばし
- レンゲ
食器や調理器具などの備品を一通り揃えるには、100万円程度かかることがあります。なくしたり壊れたりする可能性を考慮し、開店前にまとめて購入しておくことで、安く仕入れることができます。あらかじめ多めにストックを用意しておくと良いでしょう。
開業後6ヶ月分の運転資金
運転資金とは、開業にあたって必要な固定費や変動費を指します。
固定費には、家賃、光熱費、従業員の給与、保険料、税金などが含まれます。一方、変動費は月によって変動し、食材や備品の仕入れ費用、広告費などが該当します。これらの金額は立地や規模によって大きく異なるため、運営前に事業計画書を作成し、詳細に算出しておくことが重要です。また、予想外の支出に備えて予備費を確保しておくとさらに良いでしょう。
ラーメン屋の開業資金の調達方法
ラーメン屋の開業を考える際、開業資金はどのように用意すればよいのでしょうか。資金調達の方法は大きく分けて、自己資金、融資、そして補助金や助成金の3つがあります。
自己資金
自己資金は、ラーメン屋を開業する際の資金の一部ですが、必ずしも必要ではありません。会社を設立して運営する場合、どの会社形態でも最低資本金は0円から始めることができます。そのため、最初に自己資金を用意していなくても開業は可能です。
しかし、実際には店舗の賃料や工事費、手続きに伴う各種費用がかかるため、ある程度のまとまった金額を持っておくと安心です。また、融資を受ける際には自己資金があるかどうかが審査の通りやすさにも影響があります。
金融機関からの融資
自己資金では開業資金を用意できない場合、融資を受ける方法が一般的です。
融資を受ける場合、マーケット分析、競合分析、売上予測、費用の見積もりを含む事業計画書が必要です。スムーズに審査を進めるためにも、必要な資金やその使途を具体的に説明できるようにしておきましょう。
また、銀行、信用金庫、ノンバンクなど、金融機関の種類によって金利や返済方法にも違いがあります。お金を借りた後に金利が高く、返済できなくなることがないよう、どのような金融機関に借入するのかをよく調べておくことも大切です。
融資が受けられる予定ができても、審査などで時間がかかることがあります。具体的な条件や必要書類は金融機関によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
補助金・助成金
ラーメン屋開業にあたって利用できる補助金や助成金は、地域や国によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。
- 地域の創業支援補助金:各都道府県や市町村が提供する創業支援制度で、新規開業や起業を促進するための資金援助が受けられます。
- 中小企業の支援制度:中小企業や個人事業主向けのさまざまな助成金があり、開業資金や設備投資に使えることがあります。
- 商工会議所の支援:地元の商工会議所が提供する補助金や融資制度も存在します。
このほかにも一時的に募集される融資やメディア企画による融資制度、女性限定の融資制度などがあります。また、クラウドファンディングで資金を募り、事業内容や活動に賛同して融資をしてくれる方を募る方法もあるため、いろいろな方面から探してみましょう。
ラーメン屋の開業資金を節約するコツ
ラーメン屋を開業する際、資金を賢く節約することは非常に重要です。いくつかの具体的な方法を紹介します。
居抜き物件や小店舗で開業する
ラーメン屋の開業において、立地と店舗の内容は非常に重要です。一から内装や備品を整えると高額な資金が必要になりますが、居抜き物件や小規模店舗を利用することで、初期費用を抑えることができます。
居抜き物件とは、以前に飲食店があった場所をそのまま借りる方法で、既存の調理器具やテーブル、椅子などが利用できるため、コストを削減できます。ただし、その場所で売り上げが上がらず閉店していることも考えられるため、過去の業態や売上状況を事前に調査することが大切です。
メニューを絞る
ラーメン屋のメニューはラーメンだけでなく、餃子やチャーハン、丼など多岐にわたります。開店当初はあらかじめメニューを絞ることで、コスト削減と無駄の発生を抑えることができます。
しかし、同じメニューばかりでは顧客の満足度が下がるため、定番メニューに加えて、限定メニューを提供するのも良い方法でしょう。
また、スープが終わった場合の再仕込みに時間がかかることを考慮し、冷凍保存可能なメニューを用意することもおすすめです。品数を少なくすることで看板料理を強化し、トレンドに敏感になって魅力的なメニューを開発することが、売上アップにつながります。
厨房機器は中古品を活用する
厨房機器は開業資金の中でも大きな負担となりやすい部分ですが、中古品やレンタルを活用することでコストを節約できます。
飲食店用の専門的な厨房機器が多く揃っているお店で実際に現物を見て触れることで、サイズや使い勝手を確認し、気に入った中古品を探せるでしょう。
また、厨房機器は大型のものが多いため、輸送費も考慮する必要があります。事前に送料や設置費用を確認し、予算を計画しましょう。
自家製麺にこだわらない
麺はラーメンの味を決定づける重要な要素ですが、自家製麺には製麺機や材料費、人件費が必要です。特に開業資金を抑えたい場合は、製麺所から専用の麺を発注するのも一つの方法です。スタート時はあまりこだわらず、外注することでコストを抑えることができます。
ほかにも、食材の仕入れは季節による価格変動があるため、流動的な食材を使用することで、価格変動の影響を抑え、安定した利益を確保することができます。
ラーメン屋開業を成功させるポイント
ラーメン屋の開業を成功させるポイントは5つあります。
まず重要なのは、集客しやすい立地です。理想的な場所が見つかれば、小規模な店舗からスタートするのが良いでしょう。
ほかの飲食業種の店舗でランチタイムのみの貸し出しを受けたり、キッチンカーを利用したりする方法もあります。小さなスタートを切ることで、失敗のリスクを軽減できます。
次に、お店独自の売りを作り、顧客の心をつかみましょう。流行や人々の嗜好に敏感になり、常に新しいアイデアを取り入れることが求められます。
継続的な販促活動も欠かせません。SNSを利用したプロモーションや地元イベントへの参加など、多様なマーケティング戦略を駆使して、周囲とのつながりを大切にしましょう。ラーメン業界では、有名店での修業が注目を集めるため、開業前に人気ラーメン店での経験を積むことも効果的です。また、地元の食材を利用し、農家や業者から直接仕入れることで、新鮮で低価格な食材を確保することも良いでしょう。
開業する際には、余裕のある資金計画を立てることも重要です。改装費用を抑えるために専門業者に頼らず、内装や家具を自分で製作することも一つの方法です。事前にしっかりとしたコンセプトを持ち、資金計画を立てることで成功の可能性が高まります。
最後に、最も重要なのが、明るく心地よい接客です。お客様がラーメンを食べて笑顔になり、「また食べに行きたい」と思ってもらえるようなサービスを心がけましょう。
ラーメン屋開業のメリット・デメリット
ラーメン屋を開業する際のメリットやデメリットはどのようなものでしょうか。詳しく解説していきます。
ラーメン屋開業のメリット
ラーメンは多くの人に愛されている料理であり、安定した需要があります。特に飲食業の中でもラーメン屋は、比較的低資金で始めやすく、初めての開業に適しているといえます。メニューや味に独自性を持たせることで自分のスタイルを表現でき、これにより一度来店した顧客が再度訪れる可能性が高まります。お店のファンが増えればリピート率も高くなり、安定した収入源になります。
さらにラーメン屋は専門的な資格が不要で、成功すれば複数店舗の展開やフランチャイズ化のチャンスも広がり、経営者としての幅を広げられるのも魅力の一つです。
ラーメン屋開業のデメリット
ラーメン業界は競争が非常に激しく、差別化が難しいため、顧客を引きつけるのが大変です。また、原材料費の負担も大きく、特に質の高い食材を使用する場合、コストがかさむことがあります。さらに営業時間中は立っていることが多く、スープやチャーシューの仕込みなどで長時間労働になりがちで、身体的な負担も大きくなりやすいです。
まとめ
開業資金の目安や資金の調達方法、資金節約のコツを中心にお伝えしました。
ラーメン屋の開業の際には、コンセプトをしっかり持って事前に詳しい事業計画を立てることが重要です。
こだわりのラーメンを提供するために追求しすぎると、開業費用がかさむこともあります。最初のうちは製麺所を頼り、中古の備品を使用するなど、費用をかける優先順位を決めることが、開業資金を節約するコツです。
そしておいしいラーメンを作って多くの人から愛される店になるためには、日々の研究と努力と真心が大切だということを胸に留めて開業をスタートさせていきましょう。
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