飲食店の水道光熱費はどのくらいかかる?利益を残すために今すぐできる削減方法を解説!
飲食店を経営するうえで、毎月の水道光熱費は無視できないコストです。特に、営業時間が長い居酒屋やレストランでは電気やガス、水道の使用量が多く、これらの費用が経営を圧迫することも少なくありません。
本記事では、飲食店の水道光熱費の平均や削減方法など、日々の経費削減に取り組みたい方にとって役立つ情報をお届けします。
飲食店の水道光熱費の平均は?
水道代や電気代、ガス代といった水道光熱費は、飲食店経営において重要なコスト要素の一つです。
一般的には、飲食店の水道光熱費は売上の3〜10%程度を占めることが多いといわれています。例えば1ヵ月の売上が200万円の飲食店の場合、水道光熱費だけで6〜20万円かかっているという計算になります。
飲食店の業態によっても異なります。例えば、水道やガスを多く使うラーメン店などであれば7〜10%、料理をあまり提供しないバーなどであれば3〜5%程度といわれています。
ほかにも、季節によって冷暖房のために電気代がかさむなど、水道光熱費は店舗の規模や営業時間、メニュー内容、設備の種類によって変動します。
飲食店の水道光熱費がかさんでしまう理由
飲食店の水道光熱費がかさんでしまう理由はいくつかあります。
飲食店では、料理を提供するために水やガスを多く使用します。飲食店のなかでも、中華など強い火力で調理したり長時間煮込んだりすることが多い店舗ではガス代の比率が高くなります。麺類やお寿司など調理過程で多くの水を使用する場合は、水道代の比率が高くなるでしょう。食器を洗うためにも多くの水を使います。
また、食材を大量に保管するために業務用の冷蔵庫や冷凍庫、メニューによってはオーブンなど電気を必要とする設備が多いため、電気代もかさみがちです。店内の照明や冷暖房のための大型空調設備にも電気を使用します。飲食店では法律や条例で明るさ確保が定められているため、地下にある店舗などではさらに電気代が高くなる可能性があります。
また、飲食店の水道光熱費がかさんでしまう理由には、営業時間の長さも関係してきます。朝から夜まで営業する店舗では照明や空調、調理時間も長くなるため、電気代やガス代が大幅に増加します。夏場や冬場は空調設備の使用が増えるため、さらに光熱費が増えるでしょう。
飲食店の水道光熱費の削減方法
利益を残すためには、売上を伸ばすだけでなく固定費である水道光熱費を見直すのがおすすめです。売上を伸ばしても、経費が多ければ利益は残りません。家計の固定費を抑えるために節電や節水に取り組むのと同じように、店舗でも使用方法を工夫することで毎月の水道光熱費を削減できる可能性があります。より多くの利益を残せるように、まずはできるところから取り組みましょう。
ここからは、コストを抑えて利益を残すためにすぐに取り組める水道光熱費の削減方法を解説します。
水道代の削減方法
水道は毎日欠かさず使用するからこそ、まずは店舗で実際に水道を使用する従業員に節水の意識を促しましょう。食器洗いの時に水を流しっぱなしにしない、店内清掃で水を出しっぱなしにしないなど、簡単に意識できることから始めてみましょう。
節水の意識だけでは削減には限界があるので、節水ノズルや節水型の蛇口を設置するのもよいでしょう。これらの装置を導入することで、必要な水量を確保しつつ水流を抑えることができます。蛇口につけるだけで水量を抑えられる節水ノズルや節水コマなどの節水グッズは、数千円から数万円ほどで手軽に導入できます。1年以内に費用を回収できる可能性もあるので、設置していない場合は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
設備投資が可能であれば、節水型の食器洗浄機の導入もおすすめの方法です。食器洗浄機は手洗いに比べて使用水量を削減できるだけでなく、従業員が食器洗いに割いていた時間を他の作業のために使うことができるようになるため、業務効率アップも見込めます。
電気代の削減方法
飲食店では電気を必要とする設備を多く使用するため、電気代の削減は、大幅なコスト削減につながる可能性があります。電気代の削減方法は、電気の使用場所ごとに削減方法を考えてみましょう。
照明をLEDに替える
従来の白熱電球や蛍光灯に比べてLED照明は消費電力が少なく、同じ明るさを確保しながら電気代を抑えることが可能です。具体的には、LEDは白熱電球の約1/5、蛍光灯の約1/2の消費電力ですむとされているため、長期的に見れば初期投資を上回るコスト削減が期待できます。
LED照明に変更するメリットは消費電力だけではありません。もう一つの大きなメリットとして、寿命の長さが挙げられます。LED照明は白熱電球の約25倍、蛍光灯の約2〜3倍の寿命があり、交換頻度が低いためメンテナンスの手間や費用も削減できます。
さらに、LED照明は発熱量が少ないので室温上昇を抑える効果もあり、冷房費用の軽減にもつながります。
飲食店では照明の雰囲気が店全体の印象に影響するため照明選びには慎重さが求められますが、最近ではLED照明でも暖かみのある色合いやデザイン性の高いものが増えているので、雰囲気を損なうことなく経営効率を向上させることができるでしょう。
コスト削減と環境への配慮の両立のためにも、照明のLED化を検討してみてはいかがでしょうか。
ほかにも、電気をこまめに消すことも、手軽に実践できる削減方法です。使っていない場所の電気は消す、お客様にも協力してもらいトイレを使っていない時は消すようにするなどがあります。従業員にも節電の意識を持ってもらうように取り組むなど、お店全体で取り組むことで効果が期待できるでしょう。
空調設備のメンテナンスや使用方法の見直し
空調設備のメンテナンスや使用方法の見直しは、上記の水道光熱費削減と快適な店内環境の維持に不可欠となります。
空調設備は定期的なメンテナンスを行って汚れをためないようにすることで、効率よく稼働させることができます。フィルターの清掃や交換、冷媒の点検を怠ると、電気の使用量の増加や、故障の原因となる可能性があります。
次に、空調の使用方法も見直しましょう。設定温度を少し調整することで、年間で考えると、大幅な電気代削減が期待できます。ただし、過度な温度変更はお客様の居心地の悪さやサービスの質の低下につながる可能性があるため注意が必要です。
空調を効率的に使用するために、プロペラファンを使うという方法もあります。プロペラファンは、空調の風をフロア全体に送る装置です。これにより空調効果が高まり、消費電力の削減が期待できます。また、場所による温度差も防げます。
冷蔵庫や冷凍庫の使用方法を見直す
まず、冷蔵庫や冷凍庫の適切な温度設定を確認することが重要です。冷蔵庫は3~5℃、冷凍庫はマイナス18℃が一般的な適正温度とされています。温度を適切に管理することで、エネルギー消費を抑えながら、食材の品質を維持できます。
次に、冷蔵庫や冷凍庫に食材を詰め込みすぎないようにすることも大切です。食材を詰め込みすぎると冷気の循環が悪くなり、庫内全体が均一に冷えにくくなります。冷却効率が低下すると電力を多く消費するため、冷蔵庫や冷凍庫には適切な量の食材を保管するよう心がけ、冷気が十分に循環するよう工夫しましょう。
この際、使用方法も見直すのがポイントです。冷蔵庫や冷凍庫は、扉を開閉するたびに冷気が外に漏れます。家庭ではあまり気にしないかもしれませんが、飲食店の一日の開閉回数は数百回に及ぶ可能性もあります。頻繁な開閉は温度上昇を招き、冷却機能を補うために余分な電力が必要となります。扉を開けたらできるだけ手早く閉められるよう、庫内を整理整頓しましょう。
ガス代の削減方法
ガスは、無駄なガス消費を防ぐためにガス機器のメンテナンスを行い、良好な状態で使用できるようにしましょう。
また、店舗のメニューによっては火力の強さが重要だったり、長時間煮込む必要があったりするでしょう。そういった場合は熱伝導率の高い調理器具の導入を検討してみてください。調理器具に合わせて火加減を調整することで、ガスの使用量を削減できる可能性があります。
電気とガスは契約内容の見直しがおすすめ!
開店以来、一度も契約内容の見直しをしていないということはありませんか?
水道光熱費削減のためにも、この機会に一度チェックすることをおすすめします。
まずは、現在の契約内容を見直してみましょう。契約中の会社の新しい料金プランに変更することで削減できる可能性があります。電気とガスは小売全面自由化により、従来の会社だけでなく新しく参入した事業者も販売できるようになりました。これにより契約会社や料金プランを自由に選択できるようになり、さまざまな選択肢が増えています。契約内容だけでなく契約会社を見直すことで、よりよい選択肢が見つかるかもしれません。
例えば日中の営業時間がメインの飲食店であれば、昼の時間帯の料金が抑えられるプランなど、店舗の規模や営業形態に合ったプランを見つけることで、電気代とガス代を抑えて利益を確保するための一助となります。
料金プランは長期契約が条件となっているものや解約時に違約金が発生するもの、インターネット回線などとのセット割引など、注意が必要なケースもあります。また、日本卸電力取引所(JEPX)の価格と連動して電気料金の単価が決まる市場連動型プランは、自然災害や燃料費の急騰の影響を受けて電気代が急騰する可能性があります。契約の変更を検討する際は、しっかりと確認しましょう。
設備のメンテナンスや省エネ設備の導入
設備のメンテナンスは、エネルギー効率の低下や故障を未然に防ぎ、将来的なエネルギー消費を抑える効果が期待できます。
飲食店では空調や照明、調理設備など電気とガスを使用するものが多いので、費用はかかりますがエネルギー効率のよい省エネ機器に入れ替えるのも効果があります。短期的には導入コストがかかるものの、日常的なエネルギー消費を抑えることで、長期的にはコスト削減が期待できます。
まとめ
飲食店における水道光熱費の現状と削減方法について解説しました。
水道光熱費は店舗運営において無視できないコストであり、売上に対する割合も大きいため、削減することで経営効率を高めることができます。飲食店の水道光熱費の平均は売上の3〜10%程度です。10%を超えている場合や、より削減したい場合は、まずは店舗全体で節約を意識することからはじめましょう。営業時間や調理内容に応じたエネルギー使用の最適化など、できることからはじめることで着実に結果が出るはずです。
また、小売全面自由化を受けて電気とガスは契約内容の見直しもおすすめです。
必要に応じて、長期的なコスト削減を見込んでエネルギー効率を考えた省エネ設備の導入を検討することも大切です。
ただし、水道光熱費削減に取り組む際には注意点もあります。費用対効果に見合うものなのか、サービス低下につながらないかはきちんと検討したうえで実施するようにしましょう。
すぐに取り組むことができることからはじめて、水道光熱費の削減だけでなく、持続可能な店舗運営と利益の確保を目指しましょう。
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