レジは0円が当たり前? 最新のPOSレジ事情

お店を開業するとき、さまざまなサービスが必要になります。その中でも真っ先に導入を考えるのがレジではないでしょうか。お客様とのお金のやり取りで毎日使うサービスのため、どれを選ぶかがで、お店の在り方が変わってくるといっても過言ではありません。ただ、ひと口にレジと言っても、大きく「ガチャレジ」「POSレジ」「タブレット型POSレジ」の3種類があります。

ここ数年、特に注目度を高めているのがタブレット型POSレジです。なんと0円で使えるレジも登場していることもあり、現在、多くの飲食店で導入が進んでいます。とはいえ、種類はもちろん、メーカーごとに機能も異なるため、どれを選んでいいのか迷う方も多いでしょう。今回、最新のPOSレジ事情に触れながら、レジを選ぶポイントを解説していきます。

レジの種類によって異なるコストと機能

まず「ガチャレジ」と「POSレジ」「タブレット型POSレジ」の違いを押さえておきましょう。レジといったとき、多くの人がイメージしやすのが、いわゆるガチャレジではないでしょうか。電卓のような文字盤がついていて、会計が終わると開くドロワーにはお金が収容されています。大きな筐体が特徴的で、ひと昔前まで、レジといえばガチャレジといわれるほど一般的でした。しかし、簡単なつくりで使いやすいものの会計計算だけに特化しているため、売上管理などはできません。ですので、売上の管理は別で行う必要があるため、その分、余計な手間がかかってしまいます。

次に、POSレジです。POSレジの代表は、コンビニエンスストアで使われているレジです。実際、1983年にセブンーイレブンが全店舗にPOSレジを導入したことを契機に注目度が高まりました。POSレジの特徴は、商品の売上を単品単位で集計・管理できる「POSシステム」を搭載し、売上情報の管理や集計、分析まで対応できることです。それにより、適切なコストコントロールをしながら、お客様のニーズを捉えた提案が行うことができるでしょう。しかし、POSレジは非常に高価なのも事実です。また、機能が豊富だったり、メンテナンスにコストがかかったりと、個店では運用しづらい一面も持っています。

そして三つ目がタブレット型POSレジです。タブレット型POSレジは、AppleのiPhoneをはじめとしたスマートフォンや、iPadの爆発的に売れた2010年前後に登場しました。一番の特徴はアプリをダウンロードすれば利用できるため、導入コストが非常に低いということです。

また、いわゆるSaaS型のサービスである点も無視できません。 SaaSとは「Software as a Service」の略で、必要なサービスを必要なだけ利用できるモデルを指します。身近なSaaSのサービスを挙げると、GmailやZoomなどです。数年前まで、ワードやエクセルをパソコンで使うため、Microsoft Officeのソフトをインストールしていた方が多いでしょう。ところが今では「Microsoft Office 365」を活用すれば、インターネット上で必要なソフトを必要なときに利用できるようになりました。しかもサブスクリプションモデルなので、コストもかなりリーズナブルです。アップデートもベンダー側が必要に応じて自動で行ってくれるので、常に最新のサービスを使い続けることができます。タブレット型POSレジも同様の特徴を持っています。つまり、メンテナンスなどを自分たちでしなくても、常に最新のサービスを使いたいだけ使えるということです。

以上が、「ガチャレジ」と「POSレジ」「タブレット型POSレジ」の大まかな概要です。お店を立ち上げたばかりで会計機能だけで十分な場合、ガチャレジでもいいでしょう。また、金銭的な余裕があるのなら、POSレジの導入も候補に入ってくるかもしれません。ただ、一号店をオープンさせて、そこから発展をさせていきたいと考えているのなら、タブレット型POSレジを選択するのがお勧めです。その理由を次項以降で、さらに解説していきます。

タブレット型POSレジは0円が当たり前の時代

現在、タブレット型POSレジは、月額0円で提供するのが当たり前となっています。例えば48万8000店舗以上で導入されているリクルートの「Airレジ」は、初期費用や月額費用が0円。決済手数料や周辺機器代のみですぐに利用できます。他にも「スマレジ」や「Square POS」「UNIPOS」など、月額0円で使えるサービスはかなり多いです。

そもそもなぜ0円で提供をしているのかというと、そもそもタブレット型POSレジ自体が一般的なサービスになりすぎて、機能面での差別化が難しいという一面があります。その結果、何が起きているかというと外部連携の強化です。現在、社会環境の変化により、予約台帳やキャッシュレス決済などを活用する飲食店が増えています。そのとき、タブレット型POSレジと、導入するサービスが連携されていると、自動でデータが反映されるなどして非常に便利です。

クレジットカードで支払う際、スタッフがレジとは別の端末に会計金額を打ち込む様子を見たことがある人もいるのではないでしょうか。その操作は、レジとキャッシュレス決済端末が連携していないときに必要になる作業です。連携がされていないと、余計な一手間がかかるため、ミスが起きやすくなります。キャッシュレス決済端末に、レジの合計金額を打ち込もうと思ったら、一桁少ない数字だったというケースも珍しくありません。そうしたミスも連携でなくせると同時にスタッフの負担も減少するので、メリットは大きいです。

なお、こういった周辺機器は有料で、レジを提供するベンダーが提供していることも多いです。同じベンダーのサービスだと、サービスごとにIDとパスワードを入力する必要がなく、一つの端末でお店のあらゆる数字を管理できるといったメリットがあります。どのタブレット型POSレジにするかで、使いやすさはもちろん、その後のお店の在り方まで変わってくるため、先を見据えたサービス選びが欠かせません。

人によるサービスで差別化

タブレット型POSレジに安さや機能性を求める方が多いです。しかし、それと同じくらい、アフターサポートが充実していることを重要視している方もいます。最近、サービスを使っている中で何か困ったことがあっても、botが対応するケースが増えています。しかし、botは指定された応答しかできないため、結局、何も解決しなかったということも珍しくありません。

そうした背景もあり、人によるアフターサポートの価値が高まっています。タブレット型POSレジでも、USEN-NEXT HOLDINGSの「USENレジ」や、NECの「NECモバイルPOS」など、全国に拠点を持つベンダーが提供するサービスで、アフターサポートが充実しているものがあります。どちらも月額0円ではありませんが、24時間365日の電話対応や、緊急時には人が駆け付けてくれるサポートがあり、導入企業からの評価は高いです。

日に日に、ITの重要性は高まっているものの、企業規模が小さなうちはITの担当者をなかなか置けないでしょう。しかし、担当者がいないと、何かあったときに対応できなくなるのも事実です。レジはスタッフとお客様が対面する重要な場所です。そこでトラブルがあると、即クレームにもつながり兼ねません。そんな重要なポジションをサポートしてくれるため、心強いのは間違いないでしょう。

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