小さな飲食店の開業を成功させるポイントとは?

飲食業界は入れ替わりが激しく、業界内の競争は日に日に激化しています。というのも、有限である顧客の「可処分時間」を自店舗に使ってもらう必要があるからです。

個人で飲食店を成功させようとする場合、地域に根ざして長く営業することが鍵となります。この記事では、小さな飲食店の開業を成功させるポイントについて解説します。

そもそも小さな飲食店とは?

冒頭より「小さな飲食店」について触れていますが、どのような店舗を指すのでしょうか。

「小さな飲食店」の定義は決まっていない

細かい定義は決まっていませんが、一般的に「小さな飲食店」と呼ばれる店舗には以下のような特徴があります。

  • 坪数:10坪未満
  • 座席:10席程度
  • 従業員:オーナーのみ(もしくは家族)

小さな店舗では、限られた人的リソースで日々の業務をこなしていかなければなりません。そのため、顧客が増えれば増えるほど提供まで待たせてしまう可能性もあり、結果として顧客満足度が低くなってしまう懸念があります。その反面、顧客との直接的なコミュニケーションが多くなるため、顧客のニーズに細かく対応できる特徴があります。

小さな飲食店のメリット

一口に飲食店といっても、規模や運営スタイルによって収益構造が異なります。前項の「一般的に呼ばれる小さな飲食店」の認識を基に、メリットを解説します。

開業資金を抑えられる

日本政策金融公庫の「2022年度新規開業実態調査」によると、飲食店の開業資金の平均は1,200万円です。しかし、個人で小さな飲食店を開業する場合は多額の資金を準備しておく必要はありません。居抜き物件で開業する場合には、さらに費用を抑えることもできます。

人件費が抑えられる

小さな飲食店では従業員を雇用しないため、人件費がかかりません。そのため、飲食店経営における「FLR」を大きく下げられます。

「FLR」は飲食店経営における三大費用のことで、以下の略称です。

  • 食材費(Food Cost)
  • 人件費(Labor Cost)
  • 賃貸料(Rent Cost)

このうち「L」がかからないので、コストを抑えられます。特に開業当初は来客数が少ない傾向があるので、小さな飲食店をはじめるにあたって最大のメリットと言っても過言ではありません。

個性を活かしたお店づくりができる

小さい飲食店は規模が小さいので、オーナーの意見がそのまま反映されます。オーナーのやりたいことを、誰から指摘されることもなく好き放題できます。そのため、新しいアイディアをすぐに試したり、顧客からのフィードバックに基づいてメニューを調整するなど、フレキシブルな店舗運営が行えるのが特徴です。もちろん店舗のデザインや内装にも個性を反映しやすく、特定のニッチ市場や流行トレンドにも迅速な対応ができます。市場の変動に応じて柔軟に対応できるのも小さい飲食店にとって大きな強みです。顧客の好みや季節に応じたメニューの変更が容易で、例えば地元のイベントや祭りに合わせた特別メニューを準備することもできます。

質の高いサービスを提供できる

小さな飲食店は規模が小さいため、顧客一人ひとりに目が行き届きやすく、より価値のある体験・サービスを提供することができます。チェーン店などの大手では行き届かない、一人ひとりにフォーカスした、細かい点に気付くことが小さな飲食店が勝ち残れるポイントです。

質の高いサービスを提供することによって顧客満足度が高まり、リピーターが増える可能性があります。

地域密着型の経営ができる

地域の文化やコミュニティに密接に結びついた経営を行うことができるため、地元の方々に支持されやすく、長期的な顧客関係を築けます。地元産の食材を使用するなど、地域の資源を活かして地産地消を推進し、新鮮な食材を使うことによって顧客満足度は向上すること間違いありません。

小さな飲食店のデメリット

メリットを紹介しましたが、もちろんデメリットも存在します。こちらでは小さな飲食店をはじめるデメリットについて紹介します。

業務負担が大きい

従業員がオーナーしかいない場合だと接客から調理・配膳・レジ対応など、すべて自分ひとりで対応しなければなりません。お客様が増えるのはありがたいことですが、あまり増えすぎても対応できかねる状態になってしまいます。提供速度やお客様対応が遅れてしまうと顧客満足度が下がってしまうので、オペレーションで工夫したいところです。

売上の上限が決まってしまう

先述した通り一人でオペレーションするには業務負荷が高く、対応できる顧客の人数も限られてしまいます。ということは売上の上限が決まってしまうので、お店の運営が厳しくなってしまいます。顧客が来るタイミングはある程度同じなので、来客を分散できるようなキャンペーンを行うと良いでしょう。

マーケティングの予算に限りがある

小さな飲食店では、予算管理がとても重要になります。そのため大規模なマーケティング活動や広告キャンペーンを展開するのが難しい場合があります。予算の制約もあるため、費用帯効果の高い方法で市場にアプローチする必要があります。地元のイベントに出店したり、SNSを活用したプロモーションが重要となります。

小さい飲食店を成功させるポイント

ここまではメリットやデメリットを軸に解説してきました。では、小さな飲食店を成功させるにはどのようなポイントがあるでしょうか?こちらで解説していきます。

コンセプトの確立

市場での競争を勝ち抜くためには「独自のコンセプト」や「専門性」が不可欠です。例えば、特定の国の料理を専門とする、オーガニック食材のみを使用する、地域文化を反映した内装やメニューを提供するなど、他とは一線を画す特色を打ち出す店舗コンセプトにすると強いコンセプトができあがります。

高品質な料理/サービスの提供

料理の品質は、顧客がリピーターになるための最も重要な要素の一つです。新鮮な食材の調達、独自のレシピ、魅せ方の工夫など料理とサービスの質にこだわることが求められます。また、配膳する際のサービスにおいても質の高いサービスを提供することが重要です。

効果的な顧客関係の構築

顧客との良好な関係を築くことで、口コミや推薦による新規顧客の獲得が期待できます。顧客からのフィードバックを積極的に受け入れ、改善につなげることが重要です。また、記念日などのイベントの日に顧客を招待するイベントを開催するなど、顧客との絆を深める取り組みも効果的です。

地域社会との連携

地元の生産者や地域のビジネスと協力し、共同でプロモーションを行うことが効果的です。地域の祭りやイベントに積極的に参加して地域社会へ貢献したり、店舗の認知度と好感度を高められます。

小さな飲食店でも成功できる

小さな飲食店はその規模の小ささから様々な制約を持ちながらも、地域密着型で柔軟な対応が可能です。そしてオーナー自身の個性を出せるので、非常にやりがいが高いのも事実です。

地域コミュニティとして長く運営できるように、地域に根ざしていくのが小さな飲食店が成功する秘訣です。

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