決済手段はどうする?現金以外の決済導入のメリット・デメリット
IT化が進んでいる現代では決済方法は多岐にわたっており、消費者側にとっては決済方法が選択できると利便性が高まります。飲食店では、決済手段を増やしておくと顧客満足度を高められ、その結果として売上向上につながる可能性があります。この記事では、現金以外の決済手段として一般的なものを取り上げ、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
そもそも決済手段の比率は?
経済産業省はキャッシュレス決済を推進しており、「2025年までにキャッシュレス決済比率を【4割程度】を目標とする」と公言しています。決済手段が多岐にわたっていることを述べましたが、実際のところ現金での決済はどの程度行われているのでしょうか?
2022年のキャッシュレス決済比率調査結果より36.0%であったと公開されています。(経済産業省HPより)こちらは【クレジット・デビットカード、電子マネー、コード決済】の合計値です。この結果から、現金での決済は64%であることがわかります。
2010年度のキャッシュレス決済比率は13.2%であったことから、現金での決済が徐々に少なくなっていることが読み取れます。
多岐にわたる決済手段
先述したように、キャッシュレス決済と言っても多様な決済方法があります。以下ではそれぞれの決済手段を紹介します。
クレジットカード決済
キャッシュレスの代表格とも言えるのは、クレジットカード決済です。クレジットカード大手 JCBの2022年度調査によると、クレジットカード保有率は85.7%になっています。
クレジットカードを使うとポイントが付与されたりといった各種特典があるので、クレジットカード決済を使う人も多く、クレジットカードが使えるお店は利便性が高いと評価してもらえることもあります。
デビットカード
デビットカードは銀行口座と紐づいたカードとなっており、利用と同時に銀行口座から利用した金額が引き落とされるキャッシュレス決済方法です。クレジットカードだと利用した金額は翌月に支払うことが多いのですが、デビットカードは口座から即時引き落としされるのが特長です。
タッチ決済
タッチ決済は、「非接触型決済」とも呼ばれ、クレジットカードやスマートフォン、その他のデバイスを決済端末に近づけるだけで支払いが完了するシステムです。具体的にはNFC(近距離無線通信)技術を使用しており、物理的な接触を必要としないため、迅速な支払いが可能となります。感染予防策として、コロナ禍で一気に普及した決済方法ともいえます。
また、カード情報が暗号化されているためセキュリティ機能も高いことから、安全に利用できるというメリットもあります。
各種アプリ決済
現代では各種アプリ決済がとても盛んになっており、PayPayなどの一般的に「電子マネー」と呼ばれるものを使用します。電子マネーは現金の代わりとして使用できる、電子データ上のお金です。
各種アプリへクレジットカードなどから金額をチャージし、QRコードやタッチで決済するという状況なので、現金を持ち歩く必要がありません。
銀行振込
例外的に、支払いを事前に済ませておく「銀行振込」も方法としてあげられます。例えばコースや人数が確定していて追加料金が掛からない場合は事前決済しておいても問題はないでしょう。それ以外にも、店頭で取り扱っている商品をネットショップ経由で購入する場合なども同様の支払い方法が便利です。
インターネットバンキングを使えば銀行まで出向かなくても振込を行えることもあり、その場合は手間も掛かりません。
現金以外の決済方法のメリット・デメリット
現金以外の決済方法は顧客にとってメリットが多いのですが、デメリットも存在します。こちらでは、メリットとデメリットについて解説します。
決済方法を増やすメリット
まずは決済方法を増やすメリットを紹介します。
顧客満足度が向上する
現金以外の決済方法を導入することで、顧客は支払いの選択肢が増え、購買体験が向上します。特にクレジットカードや電子決済は迅速かつ便利であるため、顧客の利便性向上が期待できます。これにより顧客のリピート率が向上し、長期的な顧客関係の構築に寄与します。
売上の増加が見込める
現金以外の決済方法は、特に高額商品の購入時に顧客の支払い能力を向上させます。クレジットカードや分割払いオプションを提供することで、顧客は予算を超えた購入を行いやすくなり、結果的に店舗の平均単価と売上が増加する可能性があります。
効率的な取引処理
現金以外の決済を導入することによって取引処理が自動化され、レジでの待ち時間が大幅に短縮されます。これによりピークタイムの混雑緩和が期待でき、効率的な店舗運営が可能となります。また、現金の取り扱いが減ることで現金管理のリスクとコストが削減されます。
決済方法を増やすデメリット
決済方法を増やすメリットについて説明しました。こちらではデメリットについて紹介します。
初期投資と手数料がかかる
デメリットとして大きいのは「加盟店として支払い手数料が発生する」ことです。各決済方法にて顧客が支払った料金から売上の数%の取扱手数料がかかり、その料金をお店が負担しなければいけません。そのため、利益率が低下してしまいます。また、決済方法によっては導入する際に、端末の設置などの初期投資が必要です。小規模なビジネスにとっては大きな負担となる可能性があります。
セキュリティリスクがある
デジタル決済を導入すると、クレジットカード情報の盗難や不正利用などのセキュリティリスクを伴います。基本的には決済端末等を運営する会社がセキュリティ対策を行っていますが、店舗側での対策としてもセキュリティに関する知識を蓄えておきましょう。
技術的障壁と顧客の適応
決済方法を増やしたとしても、全ての顧客が最新の決済技術に慣れているわけではないことを覚えておきましょう。特に高齢者や電子機器に不慣れな人々は新しいシステムに適応することに抵抗を感じる場合があります。このような顧客がスムーズに決済を行えるよう、適切なサポートが必要です。
現金以外の決済方法を検討してみよう
現金以外の決済手段を導入すると、多くの顧客にとって利便性が高まります。しかし、各決済手段にはそれぞれ特有のメリットとデメリットが存在するため、顧客層や売上規模、地域性を考慮して最適な方法を選択することが重要です。
売上に対して支払うコストがかかりすぎてしまうとお店の存続が難しくなるので、考慮すべき点は多くあります。よく検討したうえで導入を検討しましょう。