食材の保存方法はどうする?ロスを減らすための工夫
飲食店を経営していくにあたり、利益を最大限に伸ばすためにも食材の管理は大きなポイントです。保存方法を誤ると食材を腐らせてしまったり、鮮度が低下してお客様に提供できない状態になってしまいます。
消費者庁の調査によると、令和3年の食品ロス量推計値は523万トンとなっています。家庭よりも多くの食材を取り扱う飲食店によるフードロスを減らすためにも、適切な食材の保存方法を知っておくのは大切です。この記事では食材の保存法について解説・紹介します。
飲食店にとって食材の保存が重要である理由
食べ物を取り扱う飲食店にとって、食材の保存を上手に行えるかどうかは重要なポイントです。特に開店したばかりだと売上の状況が不透明なので、料理がなかなか出ないこともあります。とはいえ食材がないと料理を作れないため、鮮度良く長期保存する技術が求められます。
飲食店の場合は料理の味でお店の評判が決まると言っても過言ではありません。それぞれの食材から生み出される料理を提供することによって売上が発生するので、美味しい料理を提供するためにも鮮度を落とさないように保存したいところです。
食材の鮮度が落ちる原因は微生物
フードロスになってしまう原因の多くは、鮮度が低下して食べられない状態になるからです。鮮度が落ちる原因には、食品に付着している微生物の影響が大きいとされています。食品に含まれる有機物(タンパク質など)が微生物に分解されると食材の腐敗が進みます。
微生物を増やさないためにも温度や湿度(水分)などの条件を適切に管理することが必要となります。
知っておくべき賞味期限と消費期限の違い
賞味期限と消費期限の違いについて簡単に説明します。
- 賞味期限:おいしさなどの品質が保たれる期限
- 消費期限:安全に食べられる期限
消費期限を過ぎてしまった場合は衛生上の安全性が担保できないので、食べないようにしましょう。
一般的な保存方法の種類
保存方法には様々あり、食材によって適切な保存方法があります。最適な保存方法かどうかは実際にお使いいただく食材で保存を試してみてください。
- 常温保存:冷暗所が良い
- 冷蔵保存:冷蔵庫で10℃以下(品目による)
- 冷凍保存:冷凍庫で保存
- 真空保存:真空パックで保存
食品衛生法により保存管理温度が規定されています。
- 冷蔵保存:10℃以下
- 冷凍保存:−15℃以下
冷蔵保存は品目によって推奨される管理温度が異なるため、仕入先に確認しておくと安心です。
冷凍保存は「一般社団法人 日本冷凍協会」にて品質保持の観点から「−18℃以下で保存・流通すること」と定められています。なので、−18℃以下に設定している場合も多く見受けられます。
食材は、冷蔵保存することが向いていることが多くなっています。前述のとおり食材は空気に触れると劣化することが多いので、冷蔵・冷凍保存する際も密封してから保存することをおすすめします。
各食材の一般的な保存期間
食材における保存期間は異なるものの、おおよその保存期間を以下に紹介します。
こちらで記載するのはあくまで一般的なものなので、参考程度としてください。
肉類
肉類の場合は、基本的に冷蔵保存を行います。常温で保存すると、短時間で鮮度が低下してしまいます。肉から出ているドリップを取り除いておくと鮮度の低下速度を抑えられます。
冷凍で保存する場合は肉類のさらなる劣化を防ぐため、保存袋などに小分けして密封することが大切です。ラップで小分けしておくと空気に触れにくくなるので、劣化が抑えられます。
魚類
魚類は種類・鮮度・購入時の状態、および保存条件によって変わりますが、基本的には冷蔵保存を行います。冷蔵保存をする場合は、一般的には1〜2日以内に調理することをおすすめします。
魚は鮮度が味に直結するので、購入したらできるだけ早く冷蔵庫に入れて鮮度を維持しましょう。また、生物なので他の食品へにおいが移ってしまうおそれがあります。専用の保存容器や鮮度維持フィルムに入れてから保存すると安心です。
野菜類
野菜類の保存期間は、種類や保存方法によって大きく異なります。葉物野菜は短く、数日から1週間程度が目安です。じゃがいもや玉ねぎなどの根菜類は、適切な条件下では数週間から数ヶ月持つことがあります。野菜を購入した際は早めに消費することが推奨されますが、適切な保存方法によって鮮度が良い状態を長く保てます。
野菜類の保存において最も大切なのは、適切な方法で適切な場所に保管することです。一般的には冷蔵、常温、乾燥のいずれかの方法が用いられます。
おすすめの保存方法
おすすめの保存方法は、食品ごとに適切な保存方法を選ぶことが重要です。以下に、食材別のおすすめ保存方法をご紹介します。
肉類
冷蔵保存:消費する1~2日以内に使う場合は冷蔵庫で。肉の表面をキッチンペーパーで拭き、空気に触れないようにラップで包みます。
冷凍保存:長期保存する場合は、小分けにしてから冷凍用の密閉袋に入れ、空気を抜いて冷凍庫に。解凍時は冷蔵庫でゆっくり解凍するのがおすすめです。
魚類
冷蔵保存:魚の表面をきれいに洗い、水気を拭き取った後、ラップで包んで冷蔵庫へ。消費はできるだけ早めに使用する。
冷凍保存:新鮮なうちに小分けにし、空気を抜いた密閉袋に入れて冷凍。解凍は冷蔵庫内で行うか、急いでいる場合は冷水に入れて解凍します。
果物類
柑橘類やりんごなど:冷蔵庫で保存します。密封された袋や容器に入れることで鮮度が長持ちします。
バナナやトマトなど:室温で保存し、追熟を促します。冷蔵すると風味が落ちるため注意が必要です。
全般的なポイントとしては、食材を清潔に保ち、適切な温度で保存することです。さらには保存容器を適切に選ぶことが最重要事項になり得ます。食材の種類に応じて最適な方法を選び、新鮮さを長く保ちましょう。
野菜類
野菜類は「葉物野菜」と「根菜類」に大別できます。それぞれのおすすめ保存方法を紹介します。
- 葉物野菜:キッチンペーパーで水気を拭き取った後、開封したプラスチック袋や保存容器に入れて冷蔵庫で保存します。空気を抜くことで鮮度を保ちます。
- 根菜類:土を落とさずに涼しく暗い場所で保存します。じゃがいもや玉ねぎは常温保存が適していますが、直射日光を避けることがポイントです。
また、野菜は種類に応じて冷蔵・常温・乾燥の保存方法が主となります。
冷蔵保存
ほとんどの野菜は冷蔵保存が適しています。野菜を冷蔵する際は、まず水分を適度に取り除き、乾燥しすぎないようにビニール袋や専用の保存袋に入れます。葉物野菜は、キッチンペーパーで包んでから袋に入れると、余分な水分を吸収し、鮮度が長持ちします。冷蔵庫の野菜室は温度と湿度が野菜の保存に適しているため、できるだけ利用しましょう。
常温保存
じゃがいも、玉ねぎ、にんにくなどは常温での保存が適しています。これらの野菜は直射日光を避け、風通しの良い涼しい場所に保管するのがベストです。直射日光や高温は品質を落とす原因になるため注意が必要です。
乾燥保存
乾燥した環境は、ニンジンや大根のような根菜類に適しています。根菜類を乾燥させて保存する場合、土を払い落とした後、乾燥した砂や新聞紙に包んで涼しい場所に置くと良いです。
まとめ
今回の記事では、食材のおすすめ保存方法について解説しました。夏場などの気温が高い時期は特に痛みやすいので、衛生面に注意しなければなりません。それぞれの食材に適した保存方法で食品ロスを削減し、食材コストを抑えて利益につなげていきましょう。