飲食店の開業資金調達にはどんな種類がある?資金調達方法のまとめ
飲食店の開業には大きな資金が必要となり、自己資金で全てをまかなうのが難しいケースがほとんどです。資金調達も開業準備の重要なポイントです。
本記事では資金調達の種類やそれぞれの特徴、注意点についてまとめてご紹介します。飲食店の開業をお考えの方、開業資金の調達についてお悩みの方はぜひ本記事を参考にしてください。
自己資金だけじゃない!資金集めの重要性
飲食店の約6割が開業後2年で廃業、3年では7~8割が廃業するという厳しい現実があります。その理由には、過剰な初期投資や運転資金の不足があげられます。
飲食店の成功には、計画的な資金繰りが重要です。
飲食店開業に必要な資金
飲食店の開業にはおよそ1,000万円の資金があると望ましいといわれています。その内容は、物件取得費、内装や設備等の初期投資とオープン後の運転資金(家賃やオーナーの生活費等)です。
これら全てを自己資金で用意できる人は多くはないでしょう。
関連記事:飲食店の開業資金はいくら必要?相場や調達方法も含めた資金計画ガイド
計画的な資金調達の重要性
飲食店を開業後、多くの事業主が資金繰りに悩みを抱えるといいます。
飲食店経営には、開業時の内装や設備にかかる費用以外にも開業後の運転資金がかかりますが、この運転資金の不足に頭を抱えるケースが多いようです。そこで重要なのが、計画的な資金調達です。
開業後、必要なときに手元に資金がある状態にするには、開業前から資金調達を進めておく必要があります。開業後に融資を受けようとすると、店舗運営の実績が審査対象になります。当然、実績が悪ければ融資は受けにくくなります。
また、審査期間が長いものになると、資金が必要なタイミングに間に合わないこともあります。
そして、融資を受けることは、社会的信用を築くためにも重要です。金融機関からお金を借りられたという実績が、社会的信用につながります。ゆくゆく、新たな資金調達が必要になるときのために、金融機関から融資を受けた実績を築いておくとよいでしょう。
資金調達には自己資金も重要
資金調達には、融資を受けて社会的信用を築くのが大事ですが、融資を受けるための審査には自己資金も重要です。
自己資金とは、返済不要な事業主の資金であり、通帳に記帳してあることも大事です。長い時間をかけてコツコツと貯めた資金があれば、返済能力や計画性があることを証明できるからです。貯蓄の他に退職金も自己資金と認められます。
タンス預金など金融機関に預けていないお金は、出所や持ち主をはっきりと証明できないので自己資金と認められにくいです。
また、審査を有利にするために、一時的に借金をして集めたお金を通帳に記帳しても「見せ金」とみなされることがあります。「見せ金」は法律にも反する行為ですので、注意しましょう。
資金調達方法まとめ
飲食店の開業資金は、自己資金のほかに、金融機関からの資金調達や自治体からの資金調達など、さまざまな方法があります。それぞれの特徴や注意点をご紹介します。
公的金融機関からの資金調達
公的金融機関である日本政策金融公庫の創業関連融資は、飲食店を開業する方に利用しやすい資金調達の方法です。個人事業主や中小企業に積極的に融資を行っており、創業前でも融資を受けられる点と無担保、無保証、低金利で融資を受けられるのがメリットです。
「新規開業資金」は、「新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方」に向けた融資制度で、最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)の融資が受けられます。
なかでも、「女性、若者、シニアの方で創業する方」は、通常よりも有利な条件で利用できるというメリットもあります。
ただし、融資には審査がありますので、必ずしも限度額の融資を受けられるとは限らないという点は念頭に置いておきましょう。
自治体などからの補助金や助成金
資金調達の方法として、融資だけでなく、自治体からの補助金や助成金の活用も検討してみるとよいでしょう。
補助金も助成金も、返済しなくてよいというのが共通するメリットです。
補助金には審査があるのに対して、助成金は要件を満たせば原則支給されます。ただし、人気の助成金は早期に募集終了するなど、タイミングが合わずに活用できないこともあります。
補助金は審査があるので、助成金より交付を受ける難易度があがりますが、助成金と比べて金額が大きい傾向にあります。
どちらも申請から支給までに時間がかかり、開業後の後払いになるため、開業準備の資金にあてるのは難しいでしょう。いずれも税金の対象にもなります。
飲食店開業に活用できる制度として、東京都の創業助成事業、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金などがあります。
助成金も補助金も制度が終了することもありますから、最新情報をチェックするようにしましょう。
民間金融機関からの資金調達
金融機関からの資金調達としては、創業融資とよばれる開業者向けの融資があります。
創業融資は金利が低く、開業前に受ける融資であるため実績を求められないことのほか、保証人や担保も求められないというメリットがあります。開業時だけにチャンスがある好条件の融資ですので、創業融資をうまく活用しましょう。
民間金融機関による創業融資には、金融機関によって異なりますが
- 民間金融機関によるプロパー融資
- 地方自治体による制度融資
- 信用保証協会の保証付き民間金融機関による融資
等があります。
■民間金融機関によるプロパー融資
プロパー融資とは、金融機関が直接行う融資で保証協会の保証を受けないものです。そのため、実績がない開業時には審査が通りにくいというのが難点です。
開業時には、保証協会が間に入る制度融資の利用を検討するとよいでしょう。
■地方自治体による制度融資
地方自治体、信用保証協会、金融機関の3者が連携して行う融資です。
万が一、融資を受けた事業主の返済が滞った場合に、信用保証協会が代わりに金融機関に返済を行う仕組みです。銀行が大きなリスクを取らなくても済むため、プロパー融資よりも審査基準が低く、低金利で連帯保証人なしで融資が受けられます。
返済時には利子に加えて、信用保証協会に保証料を支払う必要がありますが、この保証料の一部を補助してくれる自治体もあります。
注意点は、審査工程に地方自治体、信用保証協会、金融機関の3つの機関が関わるため、審査に2~3カ月程度の時間がかかることです。
■信用保証協会の保証付き民間金融機関による融資
地方自治体による制度融資と同様に、信用保証協会の保証がつきますので、連帯保証人が不要で、プロパー融資より審査のハードルが下がります。
ただし、地方自治体を介さないので保証金の補助は受けられず、自己負担となります。
親族や知人からの資金調達
親族や知人からの資金調達は、利子がかからず、審査もないためすぐに調達できるのがメリットです。親族からの譲渡なら、自己資金と認められることもあります。
譲渡を受ける場合には、親族の名義がわかる口座から振り込んでもらい、返済の義務がないことを示す「贈与契約書」を締結しておくとよいでしょう。
返済義務がある場合には、「借用書」など書面にしておくことをおすすめします。親族や知人など親しい関係性だからこそ、のちにもめごとに発展してしまうのは避けたいところです。状況に応じて、弁護士に相談することをおすすめします。
クラウドファンディング
近年では、インターネットで不特定多数に支援を募れる「クラウドファンディング」も資金調達方法のひとつとして、活発に利用されています。
目標金額まで支援が集まったという成功事例もありますが、一方で、支援金が目標金額に達しない場合もあります。
しかし、クラウドファンディングは、資金調達のみならず、認知度アップに活用できるという側面があります。支援のリターンに、お店で使える特典や食事などを設定しておけば、事前集客にもなりますので、活用してみるのもよいでしょう。
まとめ:飲食店の成功には資金調達が重要
今回は、飲食店の開業資金の調達方法について、まとめてご紹介しました。開業した飲食店を成功に導くには、資金調達が重要なポイントです。
また、資金調達には、自己資金の準備やタイミングなど計画性も必要になります。開業前からしっかりと計画をしておきましょう。
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