飲食店のカウンター造作費用は?依頼する工事業者選びのコツも解説

飲食店のカウンターは、まさに「店舗の顔」とも言える重要な場所です。カウンターのデザインは、店内のイメージを大きく左右し、店舗の雰囲気やお客様の居心地にも影響を与えます。そのため、細部までこだわり抜いてデザインすることが重要です。

理想のカウンターを実現するためには工事業者選びが非常に重要です。工事業者を慎重に見極めることが満足度の高いカウンター作りに繋がります。

本記事では、カウンターの造作にかかる費用相場や工事業者選びで失敗しないためのポイントを解説します。

飲食店のカウンターについて

ここではまず、カウンターの形状、サイズ、素材の種類について確認しましょう。

カウンターの形

飲食店のカウンターの形状は大きく分けて3種類あります。

  • コの字型:従業員の作業スペースをぐるりと囲むような形状
  • L字型:厨房に対して、カウンターがL字型に配置された形状
  • I字型:お客様がカウンターに沿って一列に並ぶ形状

それぞれの形状によって必要な設置スペースや従業員の作業効率は異なります。そのため、どのような店舗にしたいのかをイメージしながら慎重に検討することが大切です。

I字型のカウンターは、お客様と従業員が対面で向き合う形状となるため、コミュニケーションを重視するバーやカフェなどに適しています。

また、コの字型のカウンターは回転寿司店や牛丼チェーン店など、回転率を重視する店舗でよく見られます。多くのお客様にスピーディーにサービスを提供する必要がある業態でよく採用されており、従業員が中央の作業スペースで効率的に作業できるよう設計されているのが特徴です。

L字型は厨房に対してL字型に配置された形状で、限られたスペースを有効活用できる点が魅力です。コの字型とI字型、それぞれの特徴を併せ持ち、小規模店舗から中規模店舗まで柔軟に対応できます。また、カウンターの形状に沿って複数の座席を配置できるため幅広い客層をターゲットとする店舗に適しています。

飲食店にカウンターを設置する際には、上記のようなカウンターの形状ごとの特徴を考慮し、店舗のコンセプトやターゲットとする客層に合わせて最適な形状を選ぶようにしましょう。

カウンターのサイズと素材

飲食店のカウンターを設計する際には、高さ、幅、奥行きのサイズを慎重に検討することが重要です。

カウンターの高さは、70cm程度の高さのローカウンター、85〜95cmの高さのミドルカウンター、100cm以上の高さのハイカウンターに分けられます。

また、カウンター席の幅はお客様の滞在時間や店舗の雰囲気に影響を与えます。他人に近づかれると不快に感じる空間、いわゆる「パーソナルスペース」は、一般的に50cm〜100cm程度と言われています。カウンター席では、一人あたり、最低でも60cm程度のスペースを確保することで、お客様が、不快感なく過ごせると考えられています。また、圧迫感のない、ゆとりのあるカウンター席にしたい場合は、一人あたり75cm以上の幅を、確保することが望ましいです。カウンター席の総幅を計算する際には「一人あたりに必要なスペース」×「席数」で算出すると良いでしょう。

カウンターの奥行きは、一般的に45cm程度あれば問題ないとされています。しかし、実際に設計する際には提供する料理の内容、使用する食器の大きさなどを考慮して、最適な奥行きを検討しましょう。しっかりとしたコース料理を提供する場合や、一度に複数の料理を提供する場合には、50cm以上の奥行きを確保することが望ましいです。

カウンターの素材は、主に以下の3種類が使用されます。

  • 木材:店舗のコンセプトに合わせて、柔軟に加工できる
  • 左官材:モダンな雰囲気を演出したい場合に最適
  • メラミン化粧板:豊富なデザインから選択できる

それぞれの素材の特徴、メリット、デメリットを理解した上で、店舗のコンセプトに最適な素材を選択しましょう。

飲食店のカウンター造作にこだわるべき理由

飲食店のカウンターは店舗全体の雰囲気やお客様の居心地を大きく左右します。そのため、カウンターを設計する際には、店舗のコンセプトやターゲットとする客層を明確にすることが重要です。これらの要素は店舗の方向性を決定づける重要な要素となるため、計画段階で慎重に検討する必要があります。ここでは、なぜ飲食店のカウンター作りにこだわるべきなのか、その理由を解説します。

店舗内装を左右する

例えば、ローカウンターを導入する場合、厨房の高さとカウンター席の高さを合わせるために客席側の床を底上げするケースがあります。このように、採用するカウンターの種類によって店舗全体の内装工事の内容が変わる可能性があるのです。カウンターは一度設置してしまうと容易に変更できない設備です。そのため、店舗のコンセプトに合う内装を実現するためには、カウンターの細部にまでこだわり店舗全体の内装デザインを総合的に検討することが重要です。

お客様の居心地に影響を与える

飲食店のカウンターは、その高さによってお客様の印象や居心地が大きく変わります。カウンターの高さごとのメリットとデメリットは以下の通りです。

カウンターの種類メリットデメリット
ローカウンター・ゆったりとくつろげる・年配の方でも利用しやすい・厨房からお客様を見下ろす目線になる・飲食物の提供が、やや難しい
ミドルカウンター・アットホームな雰囲気を演出しやすい・椅子が低いため、高級感を演出しにくい
ハイカウンター・スタッフと目線が近いため、コミュニケーションが取りやすい・床から座面までの高さがあるため、荷物置き場に困ることがある

上記のように、それぞれのカウンターの高さにメリットとデメリットがあります。店舗の雰囲気に合わないカウンターを設置したり、安っぽいカウンターを設置したりしてしまうと、店舗のイメージダウンに繋がる恐れがあります。そのため、提供する料理や店舗のコンセプトに合わせてカウンターのサイズ、席数などにもこだわり、お客様が居心地が良いと感じられるカウンターをデザインすることが重要です。

飲食店のタイプ別カウンターデザインの選び方

飲食店のタイプ別カウンターデザインの選び方

カウンター席は様々な業態の飲食店で導入されています。しかし、それぞれの業態によってカウンター席に求められる役割は異なります。ここでは、3つの業態別に最適なカウンターデザインの選び方を解説します。

バー・居酒屋

バーや居酒屋では、スタッフとお客様とのコミュニケーションを重視したカウンター選びが重要です。そのため、スタッフとお客様の目線が近くなるI字型やL字型のハイカウンターやミドルカウンターがよく採用されます。また、ハイカウンターやミドルカウンターの場合、椅子の座面が高くなるため、足が床に届かず宙に浮いた状態にならないような工夫や荷物置き場の設置なども考慮する必要があります。

寿司屋・和食店

寿司屋や和食店では、調理の工程そのものを一つの演出としてお客様に楽しんでもらうことが重要です。そのため、調理風景や料理人の技術、盛り付けなどを間近で見ることができる、L字型やコの字型のローカウンターやミドルカウンターを採用する店舗が多く見られます。お客様に調理の工程を楽しんでもらえるカウンター席を設けることで、より特別感のある食事体験を提供できるでしょう。また、カウンターの形状だけでなく、照明や素材にもこだわることでより一層雰囲気を高めることができます。

スタンド飲食店

店舗面積が限られているスタンド飲食店では、回転率を高める工夫が重要です。そのため、立ったままの姿勢でも飲食しやすく、従業員も効率よく作業ができるI字型やL字型のハイカウンターが適しています。また、お客様と従業員、双方の動線と、接客のしやすさも考慮して設計することをおすすめします。さらに、メニュー表の位置や箸の配置など、お客様が快適に過ごせるようなカウンターデザインを心がけましょう。

飲食店のカウンター造作費用は?

飲食店にカウンターを設置する方法は、主に以下の2つです。

  • 新規にカウンターを造作する
  • 既存のカウンターを塗装、またはリメイクする

それぞれの方法で費用が大きく異なるため、事前に費用相場を把握し、無理のない資金計画を立てた上で最適な方法を検討しましょう。

新規カウンター造作の費用相場

新規でカウンターを製作する場合、費用相場は、1メートルあたり約10〜20万円です。ただし、使用する素材、デザイン、形状などによって費用は大きく変動します。特に、素材にこだわり過ぎたり、複雑な形状に設計したりすると、製作費用が高額になるため注意が必要です。

カウンター塗装の費用相場

カウンターの塗装費用相場は、1平方メートルあたり約2〜3万円です。ただし、カウンターの状態や使用する塗料の種類によって費用は異なります。中古のカウンターを塗装する場合、シミや塗装剥がれなど、状態が悪いものは古い塗装を一度剥がす必要があるため、費用が高額になる傾向があります。そのため、事前にカウンターの状態を確認し、工事業者に見積もりを依頼することをおすすめします。

飲食店のカウンター造作の流れ

ここでは、新規でカウンターを製作する場合の流れと、既存カウンターの塗装やメンテナンスについて解説します。

新規カウンターの造作工程

新規でカウンターを製作する場合、一般的に以下のような流れで進められます。

  • 工事業者へ相談
  • ヒアリング、デザインの方向性を決定
  • 現地調査、採寸
  • 素材の選定
  • 工場で製作
  • 現場で組み立て
  • 最終仕上げ、検査

新規カウンターを製作する際には、店舗の雰囲気やコンセプトに合わせてオーダーメイドでデザインすることも可能です。ただし、オーダーメイドの場合、費用が高額になる傾向があるため、事前に予算を明確にした上で慎重に検討しましょう。

既存カウンターの塗装とメンテナンス

既存のカウンターを活用する場合は、塗装や必要なメンテナンスを施すことで、新品同様に蘇らせることが可能です。店舗のイメージに合わせて、カウンターを塗装しメンテナンスすることで、新規でカウンターを製作するよりも費用を大幅に抑えられます。さらにコストを抑えたい場合には、塗装ではなく化粧シートを貼るという方法もあります。

カウンター造作を依頼する工事業者選びのコツ

飲食店のカウンター製作を請け負う工事業者は数多く存在するため、どの業者に依頼すべきか、悩んでしまうこともあるでしょう。そこで、ここでは、カウンター製作を依頼する工事業者選びで失敗しないためのポイントを解説します。

飲食店の内装工事の経験が豊富な業者を選ぶ

内装工事業者と一口に言っても、店舗、オフィス、住宅など、それぞれ得意とする分野が異なります。また、同じ店舗内装でも、飲食店、美容院、アパレルなど、業種によって、得意、不得意があります。そのため、飲食店の内装工事実績が豊富な業者であっても、自身の開業予定の業態と合致しているかどうかが業者選びの重要なポイントとなります。例えば、バーを開業予定であれば、バーの内装工事実績、特に、バーのカウンター製作実績が豊富かどうかを確認することが重要です。

自身の開業予定の業態の内装工事経験が豊富な業者であれば、希望のイメージをより具体化し、最適なデザインを提案してもらえる可能性が高まります。また、工事に精通しているため作業効率も良く、トラブル発生時にも柔軟に対応してもらえることが期待できるでしょう。多くの工事業者は、ホームページに過去の施工事例を掲載しています。それらを参考に、工事業者を選ぶことをおすすめします。

相見積もりで費用を比較検討する

工事費用は依頼する業者によって異なります。複数の業者から見積もりを取得する「相見積もり」を行うことで、各業者の費用設定の違いを明確に把握できます。

見積書を比較する際には、どの作業工程にどのくらいの費用がかかるのか、追加費用が発生する可能性はあるのか、アフターサービスの内容など、詳細に確認しましょう。さらに、見積もり依頼時の各業者の対応なども考慮して、総合的に判断することをおすすめします。

まとめ

飲食店にカウンターを設置する際には、新規で製作するのか、既存のカウンターをリメイクするのかによって、費用が大きく異なります。また、カウンターの種類によっては、床や天井の高さ調整など、内装全体を総合的に検討する必要があることも考慮しておきましょう。

理想のカウンターを実現するためには、工事業者選びが非常に重要です。複数の業者から見積もりを取得することはもちろん、ホームページで過去の施工事例や飲食店の内装工事実績などを確認し、信頼できる業者を慎重に見極めましょう。

細部にまでこだわり抜いたカウンターを実現し、コンセプトに合致した理想の店舗を創り上げましょう。

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