飲食店に「あってよかった備品」「必要なかった備品」とは?備品調達の失敗談も
飲食店の開業にはたくさんの備品が必要です。お店がオープンしてから、「これはいらなかった」「これが必要だった」となることはできるだけ避けたいものです。
今回は、飲食店にあってよかった備品と必要なかった備品について解説していきます。飲食店を開業予定の方、備品購入を検討中の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
飲食店にあってよかった便利グッズ
飲食店では、厨房、客席、掃除用品などさまざまな備品が必要になります。その中でも、調理や下ごしらえに役立つグッズや、接客をスムーズにする備品があると便利です。順にご紹介していきます。
厨房
厨房では、千切りや大根おろしなど、手間がかかる作業の時短になる道具が重宝されます。道具があれば技術を問われないので、調理に慣れていないスタッフにもその作業をまかせることができます。具体的には、以下のようなグッズがあると便利です。
・ピーラー
根菜の皮むき、サラダ用の玉ねぎや大根のスライス、キャベツの千切りに便利です。
・万能スライサー
千切りキャベツ、刺身のつま、きんぴらの下ごしらえなどに使えます。
・フードプロセッサー、ミキサー
野菜を刻むほか、ジュースやスープを作る際にも便利です。
・解凍用のボード
熱伝導の高いアルミニウムの板に乗せると、冷凍食品をすばやく解凍できて、時短になります。
客席や店内
客席や店内では、お客様に向けたサインや接客のサポートになるグッズがあると便利です。
・タブレットスタンド
客席でお客様がタブレットを使うためのスタンドです。立てたままお客様が操作できるのも良い点です。
・タブレットケース
スタッフ用のケースです。首などからかけられるひも付きが便利です。
・卓上用の「予約席」のプレート
予約席確保用のプレートがあると、確保済みの席がひとめでわかります。
・「OPEN」「CLOSE」のサイン
営業時間外にお店を訪れたお客様へのアナウンスとして使えます。
・二重構造のウォーターピッチャー
客席に設置しておくと便利なウォーターピッチャー。冷たい水を入れておくと、水滴が出てきてしまい、濡れたテーブルをふくなどの手間がかかるのが難点です。水滴がつかない二重構造のウォーターピッチャーであれば、その手間が省けて便利です。
掃除用具
掃除機やモップ、デッキブラシなど、主だった清掃用品は事前に揃えてあることでしょう。しかし、そういった大がかりな掃除用具は営業前か営業後にしか使えません。営業中に、気になったところを、さっと掃除できる小型で音を立てない掃除用具があると便利です。
・ハンディモップ
営業中に気になった場所を、さっと掃除するのに便利です。場所も取らないのでよく利用する場所に置いておきましょう。
・ミニほうき&ちり取り
営業中に気になったゴミがあっても、掃除機をかけるわけにもいきませんから、ミニほうきとちりとりのセットがあると便利です。
・コロコロ
客席やクッションなどのファブリック、入口のマット等に糸くずや汚れがあったときに、さっと掃除できるので重宝します。ミニサイズなら、置き場所も取りません。
飲食店の備品準備の失敗談
ここまで、飲食店の備品の中で「あると便利なもの」をご紹介しました。次に、備品を準備する際によくある失敗例をご紹介していきます。事例を参考に、同じ失敗が起こらないようにチェックしてみてください。
採寸ミス
家具や什器のサイズが合わなくて、店舗の運営に支障をきたす、搬入時に入らない、など採寸ミスによる失敗例もよくあることです。以下のような事例があげられます。
【事例】
・トレイごと定食スタイルで商品を提供することを想定していたが、テーブルのサイズがトレイより小さかった。
・テーブルやイスがイメージよりも大きいサイズだったため、客席間のスペースが狭くなってしまった。
・冷蔵庫が大きすぎて、入口を通らなかった。
【ポイント】
客席に使うテーブルは、メニュー、調味料、紙ナプキンなど、常にテーブル上に設置しておく備品がありますので、その分のスペースも想定しておく必要があります。
また、テーブル席の間隔は、400〜600mm の幅が目安です。狭すぎるとお客様に圧迫感を与え、且つお客様の動線がスムーズではなくなりますので、そのことも踏まえて家具選びをしましょう。
家具は写真やデータだけで決めてしまうと、現物を見た時にサイズやイメージのギャップを感じることがあります。初めて飲食店を開業する方は、現物を見て決定するのが望ましいでしょう。
その他、店内には置ける寸法の家具や什器でも、入口や建物の階段やエレベーターを通れずに搬入できない、というトラブルもよく耳にしますので、搬入経路の採寸も忘れずに行いましょう。
スペックミス
厨房機器や備品の機能が設備と合わない、オーバースペック、容量不足などの失敗もよくあります。具体的には以下の通りです。
【事例】
・営業担当者に薦められるがままにリース契約をしたが、使っていない厨房機器がある。
・冷蔵庫の容量が足りなかった。
・都市ガスの物件なのに、プロパンガス用の機器を購入してしまった。
【ポイント】
提供するメニューを決定する前に、厨房機器を決めてしまうと、実際は必要なかった、などという事態にもなりかねません。特に、厨房機器は購入するにしても、リース契約するにしても、高額で場所を取るものですので、メニューを確定してから決めるようにしましょう。
そして、冷蔵庫の容量が合わないというのも、よくある失敗です。お店の規模に合わない大型の冷蔵庫にしてしまうと電気代がかさむというデメリットがありますし、逆に容量不足だと、それゆえ、効率よく食材を仕入れられないという事態になります。冷蔵庫の容量は慎重に検討するとよいでしょう。
数量ミス
開業してから備品の数が足りないことに気づいた、お店の収納力よりも多い数量を発注してしまった、などの数量に関する失敗例もあります。
【事例】
・お店をオープンしてから、食器が足りないことに気づいた。
・購入したお皿が、お店の収納スペースに入りきれない。
【ポイント】
食器は混雑する時間帯に、洗い物が間に合わなくなることを想定して用意する必要があります。メインのメニューに使う食器は客席の1.5倍程度、全員が使うお水用のグラスは客席の2倍程度あると安心です。
グラスやお皿などの食器は、重ねて収納しやすいものを選ぶことも重要です。見た目重視で個性的なデザインのものを選ぶと、重ねられずに収納スペースに困ることもあるようですので、注意しましょう。
納期ミス
お店の開店までに、備品や食器が間に合わずに開店日を延期する、などという事態はできれば避けたいものですが、実はそういった失敗も起こります。
【事例】
・欲しいと思った食器の納期ではオープンまでに間に合わず、妥協したものを購入した。
・厨房機器が間に合わず、やむなく開店日を延期した。
・箸を購入し忘れていて、割りばしで代用せざるを得なかった。
【ポイント】
備品の購入時に必要な数量がすぐに手に入るとも限りません。オープン前の1~2週間前の発注では、間に合わないこともあるでしょう。数か月前から余裕をもって備品の購入先を選定し、1か月前には発注できていることが理想です。
また、備品は、必要なものが漏れないように購入前にリスト化して、購入時にはチェックリストとして活用することをおすすめします。
備品を決定するタイミングと決め方のポイント
必要な備品を漏れなく準備し、逆に不要なものを購入して経費を無駄にしないためには、次のポイントを意識しましょう。
厨房機器や備品の手配はメニューを決定してから
先にもお伝えしました通り、メニューを決定する前に厨房機器を決めてしまうと、実際には使わないものが発生する可能性があります。お皿やコップなどの食器、カトラリーも同様です。
少なくともメインとなるメニューは決定してから、購入する機器や食器を選びましょう。
備品リストは優先度別に分けて作成を
発注漏れを防ぐには、備品リストの作成が欠かせません。
その際は、必ず必要なもの、あれば望ましいもの、必要ではあるが開店直後になくても問題ないもの、といったように、重要度や緊急度に分けておくのも、開店時に慌てなくて済むコツです。
開業の1か月前までには備品を発注する
家具や備品が間に合わないために、開店を延期するなどということを防ぐには、早めからの行動が重要です。
仕入れ先は開店の2~3カ月前から探し始めて、1か月前までには発注を済ませておくとよいでしょう。家具は特に、現物も確認しておくとサイズやイメージのギャップを防げます。
まとめ:厨房機器と備品を無駄なく手配するには、決め方やタイミングも重要
今回は、飲食店にあってよかった備品や必要なかった備品、失敗例も交えて解説しました。
ただでさえ、初期費用が多くかかり、やることがたくさんある開店準備ですから、厨房機器や備品は効率よく揃えたいものです。そのためには、購入するものを決める順番や発注のタイミングも重要です。無駄や不足がおきないよう、事前にしっかりと計画を立てましょう。