適切な人件費管理のポイントとは?正社員とアルバイトそれぞれの特徴を解説!

飲食店を開業する際に、必要となるものが「お店のコンセプト」「物件」「従業員」です。

どのようなお店にしたいのかを事業計画書に起こして、コンセプトに合った物件を見つけたら、お店で働く従業員が必要になります。

店舗運営の面からは、なるべく多くの従業員を揃えるほうが、接客や調理などの業務オペレーションを円滑に進められるため望ましいですが、多くの従業員を雇い入れると多くの人件費が必要となります。

安定した飲食店経営を継続していくためには、人件費などのコスト管理を徹底し、利益を最大化する必要があります。そのためには、運営面とコスト面のバランスを考えた従業員の配置が大切です。

本記事では、飲食店経営における適切な人件費について、正社員とアルバイトの特徴などに触れながら解説します。

飲食店の適切な人件費とは?

飲食店にとっての適切な人件費とはいくらぐらいになるのでしょうか?

まずは、ご自身のお店にとって最適な人件費を考える際に必要な3つのポイントを紹介します。

人件費は売上の30%以内が理想

飲食店の適切な人件費を考えるときに「売上の30%以内」がひとつの目安となります。

飲食店経営で生じる主な経費は「人件費」「食材費」「家賃」「光熱費」です。

そのなかでも「人件費」と「食材費」は合計で売上の60%程度を占めると言われ、人件費は30%以内に抑えるのが理想とされています。

家賃と光熱費は、それぞれ売上の10%程度が経費管理の目安とされており、その他諸経費などを除くと、お店に残る利益は10%前後です。

店舗経営を安定的に継続させるためには、10%以上の利益を確保する必要があるため、人件費は30%を目安に管理するよう心がけましょう。

ホールスタッフの必要人数=客席数÷10

人件費は固定費として毎月発生する必要経費のため利益確保の観点では少なく抑えることが理想です。

しかし、人件費を抑えることは同時に従業員の人数を減らすことに繋がるため、過剰な人件費の抑制は店舗営業に支障をきたすリスクがあります。

店舗営業に必要な従業員の人数を考える際に、参考となる計算式として「ホールスタッフの必要人数=客席数÷10」があります。

例えば、客席数30席のお店であれば、ホールに必要なスタッフの人数は3名となります。

接客スタイルや業態によって目安となるスタッフ数は異なりますが、概ね10席あたり1名のホールスタッフが必要となることを参考に適切な人員配置を検討しましょう。

人時売上高(にんじうりあげだか)

飲食店の適切な人件費と人員配置に対する重要な指標に「人時売上高(にんじうりあげだか)」があります。

「人時売上高」とは、「ひとりの従業員がいくらの売上を創出しているか」を示す指標で、「1カ月の総売上÷全従業員の総労働時間」で算出します。

人時売上高の目安はひとり当たり5000円と言われており、5000円を下回る場合には売上に対して従業員数が多い可能性があります。

一方で、5000円以上の人時売上高がある場合には、従業員ひとり当たりの業務負担が多過ぎるリスクがあり、サービスの質の低下や従業員満足度の低下などに注意が必要です。

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人件費を管理するポイント

人件費の目安は売上の30%以内ですが、営業オペレーションを円滑に進めるためには一定数の従業員が必要になります。

営業の質を落とさずに、人件費を適切に管理するためのポイントを解説します。

雇用形態を考える

従業員を雇い入れる場合、正社員やアルバイトなどさまざまな「雇用形態」があります。

正社員とアルバイトなどの雇用形態によって、必要な人件費や働き方が異なります。

限られた人件費の枠のなかで、営業に必要な人数を最大限確保するためには、正社員とアルバイトを上手に組み合わせることがポイントです。

正社員

「正社員」の特徴は、雇用期間に定めがない直接雇用の社員である点です。

多くの場合、1日8時間、週40時間の労働時間のなかで、フルタイムで勤務します。

正社員での雇用の場合、社員に対して給料以外に社会保険料や厚生年金の企業負担分の支払いが発生します。

正社員の役割としては、料理や接客などの営業オペレーションだけでなく、店舗運営全体に関わる経費や従業員の管理業務など一定以上の責任が生じる重要な役割が与えられます。

一方で、コスト面ではアルバイト社員に比べると、より高い人件費が必要となります。

アルバイト

「アルバイト」の特徴は、雇用期間に定めがある有期雇用契約となる点です。

労働時間に関しては、正社員と同じく1日8時間、週40時間が上限として規定されている点は同じですが、短時間での勤務を前提に1年単位での雇用契約を締結するケースが大半です。

正社員の場合、加入が必要な社会保険などに関してはアルバイトの場合、以下の条件に該当しないケースでは加入の義務がないため、正社員と比べて必要な人件費が少ない点も特徴です。

(社会保険への加入が必要となる条件)

フルタイムで働く方及び、週所定労働時間及び月所定労働日数がフルタイムの4分の3以上の場合

週所定労働時間20時間以上、月額賃金8.8万円以上、勤務期間1年以上見込み、学生ではない、従業員数501人以上の企業で働いている場合

アルバイト社員は、正社員のようなフルタイム勤務ではなく、短時間勤務が前提のため営業状況に合わせた勤務調整が可能です。また、社会保険や厚生年金の加入義務がないケースでは人件費の負担も少なくなります。

時間帯売上に応じた人員配置

飲飲食店には、1日の営業のなかでも来客が集中するピークタイムと来客の少ないアイドルタイムが存在します。

また、曜日によっても来客数が異なるため、曜日毎の集客人数を把握し、曜日ごとの人員配置の適正化も重要です。

正社員は、週5日のフルタイム勤務が基本となるため、営業状況に応じた人数の調整が必要です。

アルバイト社員は、短時間勤務が前提の有期雇用となるため、ピークタイムを中心に出勤調整をし、経営状況によっては契約更新を見直すなどの人件費管理を行うポイントとして重要です。

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飲食店の営業活動において、従業員による人的業務が欠かせません。

そのため、より高いサービス品質を目指すと人件費が過剰となり、経営状況を圧迫するリスクがあります。

飲食店を安定して経営するためには、人件費を適切に管理し、一定水準以上のサービス品質を維持しつつ、事業経営の継続に必要な営業利益を創出するための工夫が欠かせません。

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