飲食店の開業準備は備品選びも重要!備品の選び方のポイントとは
飲食店の開業には、備品の準備も必要です。備品も、お客様の目に触れますから、店舗イメージへの影響は大きなものです。店舗設計には、レイアウトや内装工事に意識が向きがちですが、備品も重要な開店準備のうちのひとつですので、しっかりと準備をしましょう。本記事では、飲食店の備品選びのポイントについて解説していきます。
飲食店の備品が与える影響
まず、飲食店の備品がお客様の印象に与える影響についてみていきましょう。
コンセプトと統一感がある備品選びが重要
飲食店の備品は、お店のコンセプトや業態に合ったものを選ぶことが重要です。
近年は、消費者が体験価値を重視する傾向にあります。飲食店においても同様のことがいえるでしょう。備品も店舗の空間演出のうちのひとつとして、重要な役割を果たします。
たとえば、高級な料理を扱うお店で、カジュアルな食堂で使うような紙ナプキンが出されたらいかがでしょうか。お客様は違和感を覚えるのではないでしょうか。高級感のあるお店では、インテリアや備品も重厚感があるものがマッチします。
コンセプトは、お店のあらゆる基準を決める理念のようなものです。内装や備品の統一感のある演出から、お客様はお店のコンセプトを理解します。備品とはいえ、コンセプトとブレがあると、お客様にお店のコンセプトが正しく伝わりません。
飲食店に必要な備品
飲食店に必要なのは、大きく分けて客席、厨房、レジ周りに必要な備品です。
客席の備品は、最も長くお客様の目に触れますので、見た目の統一感や店舗のコンセプトと一致していることが重要です。
厨房の備品は、見た目だけでなく、使い勝手などの実用性や耐久性などを重視するとよいでしょう。
レジ周りでのお客様の滞在時間は短いですが、小物類も目に触れ印象に残りますので、できるだけスッキリと見せるような備品選びを意識しましょう。
お客様の目に触れやすい備品選びは特に注意を
食器や客席まわりなど、お客様の目に触れやすい備品は、特にコンセプトにあった備品選びが重要です。ここでは、お客様の目に触れやすい備品選びのポイントについて、具体的にご紹介していきます。
食器・卓上
料理に使う食器やグラス類は、お客様の目に触れる時間が長い備品です。お店のコンセプトに合っているか、料理の演出効果があるかという視点で選ぶことが重要です。
サラダやスープとセットで提供する場合やコース料理などは、その組み合わせのバランスも大事です。ナイフやフォークなどのカトラリーも食器に合ったものでコーディネートしましょう。
卓上に用意しておく調味料入れなども、業態や料理に合っていないと違和感を覚えますので、お店のコンセプトや他の食器とのバランスも考えて選ぶようにしてください。
ファミリー向けでお子様連れを想定する場合には、小さな子どもにも適した割れにくい食器類の準備もしておきましょう。
客席まわり
客席まわりのクッションや座布団などの備品は、内装の壁の色やテーブル、座席の色とのバランスも考慮して選びましょう。お店のキーカラーなどがあれば、その色も意識するとよいでしょう。
各客席に用意する荷物入れも忘れずに用意してください。荷物で客席を占領してしまうと、全体の客席稼働率にも影響してしまいます。内装やインテリアに対して違和感のないものを選びましょう。
その他、客席まわりの植物やディスプレイ用のインテリア雑貨なども、内装全体のバランスやお店のコンセプトにあったものを選ぶことが大切です。漠然と飾るのではなく、空間演出のひとつとして捉えましょう。
トイレ
トイレの清潔さがお店の口コミにも影響するほど、トイレはお客様の注目が高い場所です。清潔さだけではなく、アメニティ選びも意識しましょう。
新型コロナウィルスの流行で、ハンドソープや消毒液への意識が高まりました。機能性だけではなく、見た目や製品のブランドにも意識を向けることをおすすめします。
オーガニック食材を扱っていることを売りにしている店舗なら、トイレで使うハンドソープも天然由来の成分を使ったものにするなど、一貫したメッセージが伝わるようにしましょう。
メニュー表・メニュー看板
客席で目にするメニュー表や店内または入口に掲げているメニュー看板は、お客様がじっくりと見るものです。メニュー表全体のデザイン、文字のフォント、文字のサイズも含めて、お店のコンセプトや業態にあっているか、気を配りましょう。
特に、入口にあるメニュー看板は、ターゲット層への訴求や集客の役割もありますので、コンセプトとずれていない見た目であることが重要です。
レジ周り
レジ周りでのお客様の滞在時間は短いものの、お客様の目につきやすく、最後に利用するため印象が残りやすい場所です。
現金を授受する際に利用するカルトンや、カードのサインを頂く際のサインバインダーなど、素材や色がお店にあっているか意識しましょう。レジ周りに伝票類や文具類が散乱しないように、収納用の備品も用意しておきましょう。
照明
照明は、お店の印象に与える影響が非常に大きい備品です。
カジュアルで回転率の高いお店なのか、高級感があるお店なのか、アルコールを提供する大人の空間なのか、営業時間帯によっても、マッチする照明のデザインや明るさは変わります。
蛍光灯のように白い照明は、清潔感や明るさを、オレンジの照明は温かみや雰囲気の演出など、色によっても与える印象や演出効果が大きく変わります。
備品の選び方と購入前の準備
備品の購入にも事前準備が重要です。飲食店の開業にはたくさんの備品が必要になりますので、予算と照らし合わせながら、金額や数量を予め計画する必要があります。本章では、備品の数量の決め方や準備について、解説していきます。
数の決め方
各客席に配置する備品は、客席数に合わせて用意し、可能であれば少しの予備があるとよいでしょう。迷うのは食器類の数かもしれません。
予定しているメニューのうち、メインで出るメニューや共通で使える食器を検討し、数を決めていきます。
メインで使う食器の数は、目安として座席数の1.5倍程度の数を用意しておくことをおすすめします。ランチタイムなど注文が集中して忙しいときに、洗い物が追いつかず料理が提供出来ない、といった事態になるのを避けるためです。事業計画を立てる際に算出した来店数や回転数の予測を参考にするとよいでしょう。
備品リストを作りましょう
備品を購入する前に備品リストを作成することをおすすめします。
いざ開店してから、「必要な備品がない!」「気づいたら予算オーバーしていた」などということを避けるためにも、リストは有効です。
備品のカテゴリや購入先、数量、金額にわけてリスト化し、予算に照らし合わせてみましょう。
コストのかけすぎに注意
備品は、店舗の空間演出に重要な役割を果たし、見た目も重要ですが、運営上の使いやすさやコストを考慮することも忘れてはいけません。
特に、食器類はスタッフやお客様が割ってしまうリスクもあります。開店直後はスタッフがオペレーションや店内の導線にも不慣れで、割ってしまう頻度が高いでしょう。ある程度の破損も想定したうえで、コストを決めていきましょう。
備品の購入先
備品の購入先は、主に以下の3つです。
【専門店】
備品や店舗用資材、プロ用の調理器具などを扱っている専門店に買いに行く方法です。東京でいうと「かっぱ橋道具街」などです。実際に現物を確かめて購入できるのがメリットです。
【インターネット】
店舗用の備品を扱っているECサイトで仕入れる方法があります。店舗まで足を運ぶ手間がかからないので、忙しい開店準備中にも便利です。一般消費者も購入できる仕入れサイトよりも、事業者だけが利用できる仕入れサイトの方が安価に購入できる可能性が高いです。
【卸業者】
店舗用の備品を専門に扱う卸業者から仕入れる方法もあります。購入する数量によっては、価格交渉に応じてくれる可能性もあります。
まとめ:備品の調達にも統一感や演出への意識をもつことが大事
今回は、飲食店の備品をテーマにお伝えしました。
お店づくりには、内装だけでなく、備品など細部にも統一感や演出の意識を持つことが重要です。コンセプトにブレないことが、お客様へのアピールや差別化につながるからです。それには、開業準備段階でのコンセプト決めが重要です。しっかりとコンセプトを練って、ブレないお店作りを目指しましょう。
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