グルメサイト以外からの集客がお店を救う?

グルメサイトを取り巻く環境の変化

数年前まで飲食店の集客といえば、グルメサイトをはじめとしたペイドメディアが中心でした。しかし、その常識は、もはや過去のものになろうとしています。実際、ここ数年、ペイドメディアを活用せず、集客に成功している飲食店も少なくありません。ペイドメディアが敬遠されている理由は大きく二つあります。それが「費用対効果の低さ」と「コストの高さ」です。

まず費用対効果の低さでいうと、ペイドメディアは高い掲載料を払っても、確実に集客ができるとは限らなくなっています。確かに、現在でも新規集客に関しては、ペイドメディアが強力な効果を持っているのは事実です。しかし、お店を探す手段は多様化していて、現在、特に大きな存在感を発揮しているのがSNSとGoogleです。インスタグラムやTikTokを見て、「自分もこの料理を食べたい」という理由で、行く店を決めるケースは珍しくありません。また、2軒目、3軒目を探すときも、ペイドメディアからではなく、Googleマップで近くの飲食店を調べた上で、行く店を決める人も多いです。その中で、相対的にペイドメディアの影響力が弱まり、以前に比べて効果が出づらい状況になっています。

二つ目はコストの高さです。基本的に、ペイドメディアは掲載料金だけでなく、サイト経由で予約があった場合、送客手数料も取られます。ここ数年、原材料費や人件費などのコストの高騰を受けて、飲食店は無駄なコストをかけられません。キャッシュレスが主流になった結果、決済手数料も相応の額になるなど、新しいコストも発生していて利益を圧迫するようになっています。

そうした背景を踏まえて、ペイドメディアを活用せずに集客を行う流れが加速しています。代わって存在感を高めているのが、先ほども少し触れたTwitterやインスタグラム、TikTokといったSNSや、Googleなどの検索エンジンです。ただし、最終的にお客様からの予約を受け付ける窓口がなければ、こうした方法も機能しません。そこで自店のホームページと、予約フォームが必要になります。

予約管理システムの必要性

インターネット上から、お客様からの予約を受けつけるとき、予約管理システムが必須です。さまざまな会社がそれぞれ趣向を凝らしたサービスを提供していますが、そのタイプは大きく二つに分かれます。それがペイドメディアの提供するサービスと、それ以外のものです。

ペイドメディアに連携できる予約管理システムは、そのメディアからの予約をメインに考えるのならば非常に便利なサービスです。予約の受付だけではなく、配席まで自動で行ってくれるものもあるので、スタッフの作業負担も大きく軽減されるでしょう。中には、予約台帳としてなら無料で使えるものもあり、導入に対するハードルも非常に低いです。しかし、一方で自社のペイドメディア以外からの予約の受付が面倒だというデメリットがあります。また、特定のペイドメディアに依存することで、そのメディアの勢いに集客が左右されてしまうという側面もあるでしょう。加えて、繰り返しになりますが、掲載手数料と送客手数料がかかってしまいます。

もう一方のペイドメディア以外が提供するのは、予約管理に特化したサービスです。そのため、さまざまなペイドメディアからの予約の受付から、配席までを自動で行ってくれます。また、予約フォームをつくれて、SNSや自社ホームページからの予約の導線作りもサポートしてくれるサービスも多いです。もちろん、こうした経路からの予約には、ペイドメディアへの掲載手数料はもちろん、送客手数料もかかりません。デメリットとしては、予約管理サービスを活用するための費用がかかるという点があります。しかし、それを差し引いても、大きなコストの削減は期待できるでしょう。

ホームページに自店の思いを掲載

飲食業界では自店のホームページを用意していないケースが珍しくありません。また、あったとしても無料でつくれる簡易的なものである場合も多いです。しかし、Google検索でお店を検索してもらっても、自店のホームページがなかったり、そこから予約を受け付けることができなかったりすると、結局はペイドメディア経由の予約となってしまい、結果として送客手数料がかかってしまうことになります。そうした事態を防ぐためにも、予約フォームをつけた、しっかりとしたホームページをつくりましょう。

自店のホームページは、どんな思いでお店をオープンさせたかや、メインメニューに込められたストーリーなどを伝える手段としても非常に有効です。現在、外食業界では業態での差別化が熾烈になった結果、ストーリーでの細分化が進んでいます。しかし、ペイドメディアの場合、店舗情報のフォーマットが決まっているので、自店の魅力を存分に伝えることができません。また、Twitterやインスタグラムだと、魅力的なストーリーをつくったとしても、膨大な量の情報を一度に発信するツールではないため、ユーザーに読まれない可能性が高いです。

その中で、自社サイトなら、思う存分に自店の考えや、コンセプトに基づくストーリーを掲載することできます。動画を活用したり、それぞれのメニューの詳細を説明したり、SNSと連携させたりと、表現の仕方も自由なので、さまざまな角度からお店の魅力を伝えることができるでしょう。しかも、サイトを訪れるのは、お店への来店を考えている人なばかりなので、予約につながりやすいです。お店のことを理解した上で来店してくれるため、しっかりと期待を超えるサービスができたら、リピーターにもなりやすいでしょう。

このように自店のホームページには、ペイドメディアだけではなく、SNSにもできないPRができるというメリットがあります。そうした特徴を踏まえて、SNSでお店のことを広く知ってもらい、そこで興味を持った人をホームページへ誘導する流れをつくっている飲食店も多いです。最終的な予約はホームページ経由なので、送客手数料もかからず、非常にメリットの大きな方法になっています。

削減したコストで、ファンづくりを実施

ペイドメディアは新規顧客を集客したい際には非常に効果的ですが、来店されたお客様がリピーターになるかどうかは分かりません。もしリピーターが増えなければ、新規を獲得し続ける必要が生まれ、結果としてペイドメディアへ掲載料を払い続ける状況になってしまいます。集客のために割引クーポンなども出していたら、新規顧客を獲得するコストは莫大になるでしょう。

リピーターは自店の魅力を理解した上で来店してくれる良質なお客様です。それにもかかわらず新規にはお金を掛けて、大切なリピーターにはそれほどコストをかけられていないお店が目立ちます。それを少しでもリピーターにお金を使うことができたら、より熱烈なファンになってもらえるでしょう。来店頻度が高かったり、他のお客を紹介してくれたりとメリットは計りきれないくらい大きいです。こうした理由から、自店のホームページ経由の予約を強化し、削減できたペイドメディアへの掲載料や送客手数料をリピーターに還元する飲食店も増えています。現在、厳しい競争を勝ち残っているのは、多くのファンに支えられているお店です。その意味で、ペイドメディア以外の集客を強化することは、時代に合った方法だともいえるでしょう。

【無料ツール】飲食店開業までに必要なやるべきことを管理!